
こんな話ありか? バカバカしい設定をコメディにもホラーにもせず、「恋愛もの」とも「青春もの」とも言い切れない微妙な立ち位置でお話を展開をする。恋人が遭難して死ぬ。死んだ後、彼が1週間限定で彼女のところにやって来る。設定だけみるとなんだか切ない青春恋愛ものだ。だけどなんか違う。そんな不思議な出来事を描く7日間のレポートである。彼はこの7日を通してお別れに来た。これは自分が突然いなくなっても彼女が困らないためのトレーニングだ。
彼は姿は見えないが、確実に彼女の側にいる。誰にも聞こえない声で話しかけてくる。こちらからは触れられないが、向こうからは触れることができる。そんなふたりに彼の写真仲間である加茂くんが絡んで来て、彼女は加茂とふたりで死んでしまった彼の遺体を探し出す旅に出る。
7章仕立て。7日間を順を追って描いていく。ただ彼の家族がまるで心配しないとか、毎日加茂くんとふたりで彼の足取りを追う過程でのふたりとの関係とか、あっさり描かれる。もちろん三角関係の恋愛ものにしろ、とか言うわけじゃないけど、お話に説得力はないし、 7日目があまりあっさりしすぎ。せっかくのなかなかない上手い設定を活かしきれていないのは少し残念。ただ無理はしないでかなりグロい(死体の彼は日々傷んでいく)描写も取り込んで描いたのは冒険だなと感心した。そこに甘いだけの作品にはしないという覚悟を感じた。