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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

有事のドル売り・・・ドルは過大評価されているのか?

2014-07-18 11:35:00 | 時事/金融危機
 

■ ウクライナや中東情勢を受けてドルから円やユーロのシフトが起きている ■


ウクライナの旅客機撃墜やイスラエル軍の地上戦の動向を睨んで、「ドル売り」が発生しています。「有事のドル買い」ならぬ「有事のドル売り」が発生しているのです。

リーマンショック後、度々発生した「有事のドル売り」ですが、これをして「ドルが危険」と言うわけではありません。ただ、一昔前の様に機軸通過のドルが一人勝ちしてい時代とは違い、ユーロも円もそこそこの信用を築いて来たので、リスクの分散化が起きているのだと思います。

■ ドル資産やドルは買われ過ぎているのか? ■

一方で、調整としてドルが売られるならば、現在の為替レートや債券、株式市場はドルやドル資産が少々買われすぎていると考える人達が居るのいう事でしょうか?

今回の様な「ささい」な危機で資金を動かすのは、ヘッジファンドなどの短期筋でしょうから、彼らなりの読みがあっての事なのだと思います。

■ リーマンショック以降、経済の常識が通じなくなっている ■

リーマンショック以降、従来の経済の常識が通用しない事が起こります。「有事のドル売り」も、「株と債券の同時高」も従来の経済の動きでは起こり得ない事です。

これらの「変則」が発生するのは、各国中央銀行の発行する通過が過剰になっており、どの市場も過剰に買われているからに他なりません。要は、市場にどんどん資金が流入してくるので、どの市場も中期的には上昇傾向にあり、誰が買っても値上がりする状況になっています。

これこそ「バブル」の最大の特徴です。

■ グロバル化によって局所的なバブルが起こり難くなった ■

かつては、投資の対象が限定されていたので、一部の市場でバブルが急拡大して、そして崩壊していました。

しかし、現在はグローバルに資金が動き回るので、一箇所に過剰な資金が集まるというよりも、過剰な流動性が市場を徘徊しながら、全体的に市場規模が緩やかに上昇しています。

逆に言えば、市場参加者が弱気な為に、そこそこ稼ぐとその市場が過熱する前に投資先を他に移してしうのではないでしょうか?

こうして、弱気ながらも、リスクが軽視されているのが現在の最大の特徴です。皆、現状がいつまでも続く訳が無いと思いながらも、具体的なリスクを指摘する事が出来ないのです。だから、ゲームを降りる事が出来ません。

■ 中央銀行や政府が支える市場 ■

日本株市場や日本国債市場、さらに米国債市場などは中央銀行や政府が半ば支えている市場とも言えます。下落するとPKOが発動されて大きく崩れる事無く価格は持ち直します。

これはこれで市場の安定に大きく寄与していますが、値動きの乏しい市場は魅力に欠けるので、日本株市などはヘッジファンドなどが必ず仕掛けて来るはずです。ただ、余程のキッカケが無ければ売り崩せないのが、現在の日本国債や日本株市場ではないでしょうか。日銀や年金資金が機動的に買い支える市場はなかなか暴落はしません。

米国債市場に至っては、世界で支えていますから、ドルの信用よりもシステムの安定が優先されます。

■ 過熱感の無いまま市場が腰砕けになるのでは無いか? ■

どうも昨今の市場を見ていると、明らかなバブルは起こり難いのではないかと思われてきます。そんな市場が崩れるとしれば、明らかな原因が無いのに、なんだか市場の様子がおかしいなと思っている内に、腰砕けになる様にズルズルとあらゆる市場で下落が進行する状況になるのでは無いでしょうか。

こういう下げ方をする時は、誰か大口の資金が「頃合」を見て、こっそりと手仕舞いをする様なケースでしょう。さすがに誰もが「おかしい」と気づく頃には、どこかの誰かは利益を確定して安全な所に資産を置いているはず。

そして最後に逃げ遅れるのが、中央銀行と年金基金になるのでは?

今まさに日本株市場は、世界に先駆けて危険域に近づいており、経済的に株価が上昇する材料が無いままに、一進一退を演じています。外国人投資家は冷静にアベノミクスの本質を見抜いていますから、円安や期待という追い風が逆転して、円高や支持率低下が顕著になれば、流れが逆転する可能性は大きい。


これをオリンピックへの期待感で支える事が出来るかどうかですが・・・はたして国民はマスコミ報道で踊り始めるのか・・・・?


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (モモ)
2014-07-19 16:16:14
この子の7つのお祝いにお札を納めに参ります
行きはよいよい帰りは恐い
恐いながらも
とうりゃんせ
とうりゃんせ

七回設計して七回壊した。
映画マトリックスの終わりにネオ(主人公)に対してアーキテクチャが言ってましたね。

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Unknown (kyu.)
2014-07-21 00:05:25
長期的には米国が金融緩和縮小、日本が金融緩和継続でしょうから、現状維持もしくは円安方向に動くのではないかと予想しています。マネーは実物の100倍近くになっていますので、短期的には投機筋の動きに左右されるのでしょうが。

おそらく安倍総理は消費税10%への引き上げを阻止できない(今、盛んに周囲は外堀を埋めています)と思いますので、来年には景気悪化で日銀は追加緩和に動くのではないかと。

増税の悪影響で金融政策の否定に繋がるのではないかと懸念しております。
もし来年景気が悪化して安倍政権が倒れるようなことがあれば、次政権は金融引き締めに走り再度デフレになる可能性が高いと思います。


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Unknown (人力)
2014-07-22 04:43:49
kyu. さん

アベノミクスで永らく停滞していた日本の経済が動き出
した事は確かですが、インフレ率の改善は景気回復では
無く輸入物価の上昇がもたらしたものですね。昨年前半
は株価回復による富裕層の消費が景気を支え、後半は消
費税増税前の駆け込み需要が支えました。これらの効果
が剥落した4月以降の各統計は悲惨としか言いようがあ
りません。

一方で人出不足が発生しており、失業率も自然失業率ま
で下がっていますが、雇用の質が悪化した結果、所得は
上がらずに物価だけが上層しています。実質賃金が低下
する中で、デフレの方が生活に優しかったと、一般の人
や年金生活者が気付き始めています。

追加緩和のタイミングは国内事情よりはアメリカ国債の
金利動向に左右されると私は見ています。FRBが利上げ
に踏み切るタイミングで日銀は追加緩和に踏み切るでし
ょう。サプライズは何回も使うと効果が薄れるので、FR
Bの利上げサプライズを打ち消す形でドーンと大型の追
加緩和があるのではないでしょうか?

消費税10%は日本の景気を回復させないために実行さ
れると思います。景気回復からの金利上昇に日本の財政
は絶えられませんから、経済を生かさず殺さずといった
状態に置きつつ、インフレだから景気は回復していると
強弁するのでは?
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Unknown (人力)
2014-07-22 04:48:49
モモ さん

中央銀行の仕事はバブルを利用してダイナミックに世界経
済を変革する事だと私は考えています。
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