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福島の子供の甲状腺癌が18人(疑いを含めると43人)・・・これって全国平均では?

2013-08-25 23:48:00 | 福島原発事故
 

■ 福島の甲状腺癌が18人、疑いを含めると43人に ■


甲状腺がん確定の子ども18人に 福島県調査、原発関連は否定的 (News47 より)

http://www.47news.jp/CN/201308/CN2013082001001704.html

<全文引用>

 東京電力福島第1原発事故による放射線の影響を調べている福島県の「県民健康管理調査」検討委員会が20日、福島市で開かれ、甲状腺がんと診断が「確定」した子どもは、前回6月の12人から6人増え、18人になったと報告された。「がんの疑い」は25人(前回は15人)。

 会合で、福島県立医大の鈴木真一教授は、「(がんの状態から)2、3年以内にできたものではない」と述べ、原発事故との関連に否定的な見解を示した。

 甲状腺検査は、震災当時18歳以下の約36万人が対象。

<引用終わり>


■ 18歳未満の子供でも甲状腺癌は普通に存在するのでは? ■

「放射脳」の方で無くとも、10万人に一人の割合(0.001%)の確率の小児甲状腺癌が、福島では36万人中18人(0.005%)、疑わしきを含めれば43人(0.012%)で発生すると聞けば、福島原発の影響があると思うのは当たり前では無いでしょうか。

上の記事の最後の部分、会合で、福島県立医大の鈴木真一教授は、「(がんの状態から)2、3年以内にできたものではない」と述べ、原発事故との関連に否定的な見解を示した。は、医学的には至極真っ当な事を言っていますが、多くの人達は、政府や報道は「ウソ」を付いているに違いないと疑念を抱きます。

今回発見されている乳頭がんは進行が比較的遅く、福島県の検査でも癌の成長が遅い事が確認されていますから、福島原発事故以前から癌が発生していた事は医学的には疑い様の無い事かと思われます。

では、何故、10万人に1人の確率のはずの小児甲状腺癌が、福島ではこんなに沢山発見されるのか?

答えはいたって簡単で、小児甲状腺癌は通常発見されないだけで、今回の福島のケース同様に普通に存在する癌なのです。

1) 進行の遅い甲状腺の乳頭がんが、18歳未満の年齢で触診等で発見される確率は低い
2) 解像度の高い最新の超音波診断で大規模な検査をすれば、本来発見出来ない癌が見つかる

■ 千葉大学と岡山大学の例 ■

千葉大では学生の健康診断で甲状腺の触診を行い、その結果甲状腺に腫瘍がある可能性がある学生に再検査を行なっいました。

その結果9988人に4人の甲状腺癌が見つかっています。(0.04%)

https://docs.google.com/file/d/0B9SfbxMt2FYxMF81UkFYeHdjbmM/edit?pli=1

岡山大学でも同様の検査で、2307人に対して3人の甲状腺癌が発見されています。(0.13%)

年齢的に18歳+αの学生なので、18歳未満の罹患率より高くなるのは当然ですが、これらの診断は触診で明らかに甲状腺に異常が認められてから、超音波診断をしています。従って、福島やチェルノブイリの様に、超音波診断を全ての学生に対して行えば、触診では見つからない大きさの癌や結節がゾロゾロと見つかる事は容易に想像出来ます。

この結果から考えれば、「18歳未満の甲状腺癌は10万人に一人などという発生確率より高率で存在しているが、癌の大きさが小さく進行も遅いケースでは、自覚症状も無い為に癌が発見される事が少ない」と表現すべきでは無いかと思われます。

■ ウソは言っていないが、積極的に誤解を解こうともしていない不可解さ ■

医療関係者の多くは、「福島の小児甲状腺癌の多発?が原発事故由来とは考え難い」と発言していますが、積極的に国民の誤解を解く様な説明をしていません。

今後、事故から4年、5年経過した後で、チェルノブイリの様に、小児甲状腺癌が有意に増加した場合を想定すると、安易に事故と甲状腺癌の関係を否定出来ないからです。

■ 福島の小児甲状腺癌は、明らかに年齢の高い子供に多い ■



上のグラフは福島の小児甲状腺癌(疑いを含む)の年齢・性別グラフです。
10歳以上の子供での癌の発生が多い事が一目瞭然です。これは、癌細胞が発生して、癌が成長するまでにある程度の時間が経っている事を裏づけます。

福島原発による放射線によって癌が発生したならば、甲状腺へのヨウ素の取り込みが活発な低年齢層で、もっと多くの癌が発生しているはずです。

■ 事故後4年、5年が経過した後に、事故と小児甲状腺癌の関係が明確になる ■

私は原発事故で放出される放射性物質の中でヨウ素131とヨウ素132は危険だと考えています。ですから、小児甲状腺癌の増加を完全に否定はしません。

しかし、それは事故後4年、5年と経過した後に話しであって、現在の小児甲状腺癌の数ではありません。

そして、福島原発の事故対策や、食品や水道水の規制が適切であったかどうかは、この時点で初めて明らかになると考えています。

日本政府は食品流通に関しては適切と言える処置を取りましたから、多分、有意な小児甲状腺癌の増加は見られないでしょう。

しかし、事故に関係無い小児甲状腺癌は一定の確率で発生するはずですから、「放射脳」の人達はそれをも「放射線の影響」として、非難を続けるのでしょう。ほぼ、洗脳に近い状態ですから、論理的に説明しても彼らが理解する事は無いと思います。

■ 福島原発の漏水は止まらない ■

一方で、福島第一原発の汚染水漏れは止め様が無いと思います。事故当初から伝えられている様に、2号機の格納容器のサブプレッション・プール付近が破損しているならば、冷却水はここから漏れ出して行きます。

多分、核燃料の熱量自体は下がっていますから、格納容器底の分厚いコンクリートにめり込んだ常態で燃料は存在するのでしょうが、既に格納容器の密閉が破られているのならば、燃料が格納容器の中にあろうが、外にあろうが、問題に大差はありません。

漏れ出した水は地下のトンネルを通って、他の建屋の地下にも浸水しているはずで、復旧工事は汚染水との戦いになるのでしょう。

こちらは長期戦です。
不測の事態というよりも、予測可能な事態が悪化しているという感じですが、一方で再稼動の動きも活性化しており、日本全体としては、白黒付けずに、部分的再稼動でしばらくは様子を見るのでしょう。

結局、何も変わらず、LNT仮説も揺るがずという状況です。
日本的妥協主義ではありますが、国民の不安だけは蓄積されて行きます。





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