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増殖するイメージ・・・「ブラック・ロック・シューター」

2012-09-27 11:20:00 | アニメ
 





■ 文句無しでカッコイイと思うもの ■


デジタルの世界は「無限増殖の世界」です。

一つの情報がコピーを繰り返して増殖し、
さらには、その過程でバリエーションを生み続けて進化します。

「ブラック・ロック・シューター」をご存知でしょうか?
一般的には、黒髪、痩身で重厚な武器を携えた
ツインテールの女の子のキャラクターとして認識されています。

少し以前に岡田磨里の脚本でTVシリーズのアニメも放映されていましたので、
アニメ作品の一つと思われている方も多いでしょう。

実は、「ブラック・ロック・シューター」はネットに発表されたイラストから生まれました。

「元々は日本のイラストレーターのhukeが2007年12月26日に
pixivや自身のブログにおいて発表していたキャラクターイラスト」(Wikipediaより)

supercellのryo(ギルティー・クラインのOPなど)がこのイラストにインスパイアされ、
楽曲を付け、hakuがそれに動画を付けててニコニコ動画に発表したのが2008年6月13日。
この動画は2008年末までに100万回のヒットを記録します。







多分これがオリジナルだと思うのですが、
現時点のアクセスは4,934,077アクセス。
5百万アクセスも目前となっています。

CGも「初音ミク」の完成度も、現在の技術と比較すれば「程々」と感じられますが、
2008年当時としては、多くの若者の心に強いインパクトを与えた様です。


■ ハルヒのスタッフでOVA化された「アニメ」は傑作です ■

私が最初にブラックロックシューターを知ったのは、
ネットで、OVA版のアニメを観たのがきっかけでした。
このOVAは2010年3月に発売されています。

それまで、画像な何度か目にしていましたが、
「初音ミク」の類のキャラクターだと思っていました。

OVA版の「ブラックロックシューター」は、
脚本を「涼宮ハルヒ」の「谷川流」が担当し、
監修を京アニのハルヒで一躍有名になった「山本寛」が担当しています。
監督の「吉岡忍」も、作画の「松尾祐輔」も京アニ出身のハルヒ組です。

中学に入学した黒衣マトは(くろい)、同じクラスの小鳥遊ヨミ(たかなし)と仲良しになります。
ところが2年に新級した二人は別々のクラスに。

お互いに何となくすれ違う日々が続いた後、
突然ヨミが行方不明になります。
警察もヨミを捜し出す事は出来ません。

マトは街が見下ろせる高台へ行ってみます。
ヨミと二人の大切な場所へ。

すると、マトは異世界へと引きこまれてしまいます。

・・・その世界でヨミはマトを攻撃してきます。
ヨミはマトとの思い出など忘れてしまったかの様に、
執拗にマトを攻撃し、そして終にヨミはマトの存在を思い出します。

OVAのアニメ版は、日常描写と異世界の描写が交互に現れます。
日常パートは、少女達の細やかな心の機微が見事に表現されていて、
日常パートだけでも、十分に優れた作品です。

ところが、このOVAの真骨頂は異世界パートの戦闘シーンです。
白と黒で彩られた、何処とも知れぬ城砦の中、
剣を手にした二人の戦いは、そのスピード感といい、構図といい、
背筋に電撃が走るような映像が連続します。

いつしか、マトの片手は大砲に変わり、
ヨミは幾条もの鋼鉄の鎖で襲い掛かります。
華奢な中学生の体に「不釣合い」な鋼鉄の重量感。
それを軽々と振り回して戦い、跳躍する二人。

まさにアニメでしか表現出来ないシーンの連続です。

「カッコイイ」とは、この戦闘シーンの為にある言葉です。
・・・ただただ。「カッコイイ」

■ 増殖を続けるイメージ ■



この「カッコイイ」は増殖のエネルギーに転化します。

googoleの画像検索で「ブラックロックシューター」を検索すると
様々な人達が描いた、沢山の画像がヒットします。

その何れもが、かなりのクォリティーです。
少し紹介します。





■ 自律進化するキャラクター ■

一個人のイラストから生まれた「ブラックロックシューター」は、
ネットの中で増殖と、進化を繰り返しています。

これは多くの作家がキャラクターを共有して
複雑に進化を遂げた、アメコミキャラクターに似た現象に思えます。

著作権的には、コピーは禁じられています。
一方、ネットの世界は、基準が緩い事も事実です。
その、「緩さ」こそが、新たな進化のエネルギーになっています。

現在、ネットの世界は多分に「同人化」しています。
二次製作などが溢れています。

動画や音楽を製作するソフトの高性能化は、
隠れていた多くの才能を開花させています。
若い世代は、私達とは全く異なるネット文化を生み出しているのです。

ネットの規制が強化されると、これらのエネルギーも失われてしまうのか、
それとも、アングラパワーを爆発させるのか?

20年前に、会社で「インターネットとは何か調べて報告しろ」という課題が出された時、
私は、ネットショッピングなどの、サービスの充実くらいしかイメージできませんでした。
今なら、「ネットは自律進化する生き物である」と定義するでしょう。

そんな進化の一つの例として、私はブラックロックシューターに惹かれるのです。




<追記>

偶々、youtubeに、OVA版がアップされていたので、
消されてしまう前に、紹介してみました。

TV版は、私は好きでは無いので最初の3分程しか見ていません。
OVA版のイメージを損なう様な気がします。






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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (鍛冶屋)
2012-09-27 15:44:31
10月からの規制強化で、果たしてネット界に変革は来るのか?。
今後の成り行きが 気になります!。
返信する
Unknown (人力)
2012-09-27 16:12:00
鍛冶屋さん

著作権を厳密に守ったばかりに衰退したSONY、違法スレスレで大躍進したapple。

アニメもアップされると直ぐに消されてしまうものと、DVDの宣伝の為か、しばらく放置されているものとに分かれていますよね。

どちらが、最終的に売り上げが多くなるのか?情報は拡散の度合いがある閾値を越えると、自発的に拡散し始めます。いわゆるブームという奴です。

凡作は、DVDの売る上げを少しでも確保する為に、ネットでの拡散は避けたいでしょう。一方、傑作は、一人でも多くの人に見ても貰いたいというファン心理によって、消しても、消してネットにアップされ、ファンを増やし行きます。結果的に大ヒットとなり、グッズやタイアップ企画で、売り上げを増大させます。

結局、著作権云々に神経質になるのは駄作で、傑作は規制に関わらず拡散して行くのでしょう。

10月から、このブログも気を付けなければいけませんね。
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