日産の電気自動車「リーフ」
■ モーターショーでも電気自動車は注目ですが・・・ ■
自動車に乗らない私が車の事を語るのは、どうも後ろめたいのですが、
東京モーターショーが近付いてきました。
・・・実は、私は一度も行った事がありあませんが・・・。
今回のモーターショーは各社、環境適応車を前面に押し出しているようです。
大きな流れとしては、電気自動車と、小型低燃費車。
電気自動車では日産が来年発売予定の「リーフ」と二人乗りコンセプトカーを出展する様です。
■ 日本車も低燃費化に本格的に舵を切った ■
マツダのコンセプトカー「清」
ダイハツ「e:S(イース)」
小型低燃費車は、ダイハツ、スズキ、マツダがガソリンエンジンで、
10-15モード燃費30Km/ℓを看板に掲げているようです。
ハイブリットや電気自動車とは別の動きとして、
超低燃費車の市場が活気付くかもしれません。
■ 省エネ車と言えばシャレード ■
そもそもダイハツのお家芸は省エネ車。
初代シャレードは初のリッターカーだったと思います。
10モード燃費が19Km/ℓと当時としては驚異的。
その後のリッターカー・ブームに先鞭をつけました。
そして、低燃費と言ったらコレ。
2代目シャレードのディーゼルターボ。
20年程前に、60Km定地走行 38Km/ℓは立派です。
91年に記録した、実走行36.54Km/ℓの燃費の世界記録は
2001年にフォルクスワーゲン・ルポに抜かれるまで、塗り替えられる事はありませんでした。
ちなみにルポの記録は、42.29Km/ℓと、驚異的です。
http://www.arealink.org/air/nenpi_report1.html
ダイハツやスズキが本気になって、高性能エンジンを開発すれば、
ハイブリット車並みの燃費は実現不可能では無いのでしょう。
本田もインサイトでハイブリットに方針変換した様に見えますが、
高性能ディーゼルエンジンを研究し続けています。
■ 儲かるハイブリット ■
低燃費エンジンの技術を有する日本のメーカーが、
ハイブリットを指向するには訳がありそうです。
シャレードの例を思い出すまでも無く、
ただの低燃費車は、「貧乏人の乗り物」というイメージが日本で強いのです。
確かに、従来、低燃費に反応するユーザーは、
ガソリン代を気にするユーザーでした。
中には環境指向の方もいらしたでしょうが、
あまり金持ちが、シャレードに乗っているなんて聞いたことがありません。
ですから、メーカーは二酸化炭素の排出規制が本格的に厳しくなるまでは、
低燃費車を市場投入するつもりは無かったのでしょう。
これは、近年、温暖化とは裏腹に、日本車の排気量が増大していった事と無縁ではありません。
売れる内は、利益の多く出る車を売りたいというのが、資本主義の原則です。
ハイブリットは研究費や、利潤率を考えると、小さなメーカーに利益があるとは思えません。
ホンダが2代目インサイトで勝負を掛けたのは、
低コスト化で、ハイブリットでも利益が見込める技術を確立したからです
高性能デーゼルよりもハイブリットの方が、環境イメージが高く、
よって車体価格も高く設定できるので、儲かる。
・・・このホンダの目論見は、プリウスの価格破壊によって脆くも崩れ去りましたが・・・。
■ 売れてナンボ ■
マスコミはメーカーとグルになって、
ハイブリットや電気自動車こそが、省エネの大本命というプロパガンダに余念がありません。
ですから、日本にはヨーロッパの省エネ車事情も正確には伝わりませんでした。
しかし、リーマンショック後の自動車需要の落ち込みで、
ダイハツやスズキやマツダの売り上げは大幅に減少します。
彼らとて、プリウスの一人勝ちを指を咥えて見ている訳には行きません。
そこで、彼らも今まで培ってきた技術、
即ち低燃費エンジンを市場に投入するのでしょう。
従来、大型化、高出力化のトレンドを推進して、
売り上げの向上を図っていたメーカーにとって
180度の方向転換ですが、
単価が仮に下がったとしても、全然売れないよりはマシです。
■ ハイブリットの催眠はすぐ醒める ■
今はマスコミの煽りもあって、ハイブリット=ECOですが、
他メーカーの超低燃費車が普及してくれば、消費者も暗示か解けるはずです。
以前は「貧乏臭く」て敬遠されていた超低燃費が、
ECOでオシャレな乗り物に変わってしまったのですから。
多分、女性向けの軽自動車から普及して行くでしょう。
彼女達は、多少のパワー不足なんて気にしません。
自分の車が、空気を汚していないという事が、オシャレなのですから。
次に満を持してホンダがECOディーゼルを投入してくるでしょう。
インサイトとプリウスでは決着が付いてしまいましたから、
低燃費でハイパワー、さらにクリーンな排気ガスを売り物に、
シビックあたりで、スポーティータイプの車種から展開するのではないでしょうか?
ディーゼルはトルクフルでハイパワーで環境に優しいというイメージを確立すれば、
充分、車格の高い車に搭載出来ます。
■ トヨタも無視は出来ない ■
「ハイブリット VS エコ・エンジン」 という図式が日本でも出来上がります。
ここで、ハイブリット車が、何か特別なメリットを提示出来ない限り、
ハイブリッドの一人勝ち状態もそう長くは続かないでしょう。
ハイブリッドが優位を確立する為には、
蓄電池の技術の革命を待つしかありません。
蓄電池の高容量化と充放電の高速化技術は、
現在、各国が凌ぎを削っている技術です。
この技術が確立すれば、ハイブリットを通り越して、
一気に電気自動車の社会が到来します。
もっとも、それまでには、未だ10年程の時間が必要でしょう。
次回は、電気自動車について考えてみたいと思います
<追記>
ホンダが小型ディーゼルエンジンの開発をストップした背景には、
厳しい排ガス規制をクリアーするコストが、高くなりすぎる点が問題になったようです。
日本でクリーン・ディーゼルと呼称されるのは
ポスト新長期規制に適応する、PMやNOxの排出量が少ないディーゼル車です。
このポスト新長期規制(平成22年排出ガス規制)の内容はかなり厳しく、
触媒や様々な排ガス浄化装置を用いる必要が生じます。
トルクが太く、加速がスムーズな最新のディーゼルエンジンは、
燃料噴射を細かく制御する事で、かつての振動や騒音と無縁のエンジンになっています。
ヨーロッパで高級車にでもディーゼルエンジンが採用される理由は、
むしろ走りの確かさと、静粛性を評価した結果とも言えます。
しかし、高性能なディーゼルエンジンは製造コストも高く、
ディーゼル=トラック的な発想の日本においては、
その付加価値を価格転嫁し難いという問題を抱えています。
「ハイブリッド=エコで先進的」というイメージの定着して日本では、
クリーンディーゼルよりは、ハイブリッド車の方が確実に利益を出せると
ホンダは考えたようです。
しかし、ハイブリッド=トヨタという図式が定着しつつある現在、
ホンダが再度、小型のクリーンディーゼルの開発を再開する日も近いのではないでしょうか?
少なくとも、ヨーロッパでの販売を考えれば、ハイブリットより有効な技術です。
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