■グリンニューディール政策はビジネスとして成立するか■
オバマが提唱するグリーンニューディール政策が話題となっています。
「環境ビジネスで500万人の雇用創出」という言葉が一人歩きしています。
しかし、環境ビジネスって、いったい何なのでしょう?
はたして、環境ビジネスは新しい富を生み出すのでしょうか?
■ITも初めは意味不明だった■
実は、今では主要産業に成長しているIT分野も初めは意味不明な分野でした。
ネット産業などというものが本当に成立するのか、半信半疑でした。
しかし、現在、IT産業は多くの雇用を生み出し、
我々は、インターネットの恩恵にあずかっています。
環境ビジネスも将来は無くてはならない産業になるのでしょうか?
■環境技術の実利■
人が物やサービスにお金を払うには、実利が必要です。
それでは、環境技術の実利とは何でしょうか?
それは、節約されたエネルギーのコストが、設備の導入コストを上回る事です。
家電品は年々省エネが進みますが、価格はそれ程上昇しませんので、
消費者は分かり易く「省エネ」による実利を手にします。
「今度、買い換えるなら省エネタイプにしましょう。」となります。
二酸化炭素の削減は実利にはなりません。
炭素税でも掛かっていれば別ですが、実利は電気代として表れます。
■プリウスはお徳か■
今はやりのハイブリットカーはどのくらい実利が出るのでしょうか?
プリウスのSクラスが車体価格が215万円、
カローラの1.5ℓが192万円で価格差が23万円。
燃費がプリウス35km/ℓで、カローラが15km/ℓとしてます。
ガソリン価格が120円/ℓの場合を検証してみましょう。
1週間に50kmだけ車を使うサンデードライバーの場合、
プリウスの方がガソリン代が228.5円おお徳。1年で\11,887円お徳。
車体価格差をガソリンの節約分で割ると・・・損益分岐が19.34年。
という事はサンデードライバーのおじさんは20年で元が取れます。
20年もプリウスに乗る人はいないでしょうから、
サンデードライバーはプリウスに乗っても実利がありません。
1年間に1万キロの人はどうでしょう。
1週間の走行距離が192Kmだとして、
一週間で877.7円お徳。一年間で\45,640円お徳。
損益分岐は5.04年で、だいたい5年で元が取れます。
ここら辺がプリウスの購入者のターゲットでは?
実利は5年以降でしか発生しませんが、
ハイブリット車に乗るという付加価値が5年で買えます。
実際の街乗りでのプリウスの燃費は20km/ℓ程度、
カローラが12km/ℓでもだいたい5年で損益分岐が発生します。
これが比較がヴィッツであったりすと、なかなか損益分岐が発生しません。
■ECOという満足■
結局、補助金や減税が無ければ、ガソリン代の節約による実利は
5年目以降に発生する事になりますが、
長距離走行を経たバッテリーの性能低下により、
プリウスの燃費はガソリン車並みに下がるというデータも見受けられます。
結局、ハイブリット車はバッテリーとモーターという余分なパーツが発生します。
量産効果が上がったからといって、ガソリン車並の値段にはなりません。
バッテリーやモーターの廃棄コストも上乗せされますから、
燃費の良いガソリン車や環境対策されたディーゼル車の方が消費者には有利です。
さらに、プリウスは戦略車でトヨタとして利益の薄い商品です。
通常の価格転嫁をすれば、ガソリン節約によるメリットは消し飛んでしまいます。
結局、消費者は「環境に貢献している」という優越感を23万円で購入するのです。
ようするにプリウスにおいての付加価値は、コスト節約よりも
「ECO」意識の充足にあるようです。
■温暖化防止とプリウス■
プリウスが公証値通りの燃費ならば、年1万キロ運転するドライバーは
カローラ比較で1916ℓのガソリンを5年間で節約出来ます。
これは結構大きな数字の様にも思えます。
但し、バッテリーやモーターなどの製造と廃棄に要するライフサイクルコストと
その時消費するエネルギーが価格等価と考えるならば、
ガソリン節約分の二酸化炭素は既に、あるいは将来的に発生するとも考えられます。
■ハイブリットが当たり前の時代■
もしハイブリット車が普及し、
「お宅、まだハイブリットでないの?」という時代がやってきたら、
多分、皆さんハイブリット車を購入するのでしょう。
その場合は、価格上昇が個人負担であるならば、事実上の値上げですし、
税的優遇処置や補助金であれば、税金による不公平なコスト負担となります。
いずれにしても、「ハイブリットが当たり前」の時代が到来すれば、
車の車体価格は値上がりし、価格転嫁が適正に行なわれれば、
自動車メーカーは収益が上がります。
しかし、現在の様に価格転嫁が適正でない状態が続けば
ハイブリット化は企業収益を圧迫します。
■究極のECOカー■
インドの大衆車は25万円です。
これをハイブリット化する事は、ちょっと考えられません。
そもそも、燃費の良い小型車は、街乗りではプリウス同等の燃費です。
ですから、新興国の大衆は、皆プリウスユーザーと同等の環境貢献をしています。
ハイブリットの為の付属部品が無い事を考えれば、プリウス以上の貢献です。
(昔のサニーやシャレードは20km/ℓ以上走りました)
そもそも自家用車を所有出来る人が少ないので、
彼らは、地球に優しい生活をしています。
大衆はエアコンも使いません。
そのような国に、環境対策技術を移転しようとしても、
そもそもが環境に低負荷なので、なかなか普及しません。
結局環境技術は、既に大量のエネルギーを消費する先進国にこそ必要な技術で、
一人当たりのエネルギー消費量が少ない国には魅力の無い技術です。
■石油価格に左右される環境ビジネス■
環境ビジネスを成長させる最大の要因は石油価格の高騰です。
世界の経済活動が低迷している現在、原油価格は低いままです。
この情況では省エネの実利は発生し難い情況です。
バイオエタノールの盛衰を見るまでも無く、
エネルギーと言えども、市場原理を無視する事は出来ません。
結局、温暖化の二酸化炭素原因説を拠り所とするしか無いのです。
その根拠が磐石で無い事がだんだん明らかになってきています。
昨日の読売新聞の社説は、産業界の現在の心境を良く代弁していました。
「グリーンユーディール政策の波には乗りたいが、経営コストの増大は避けたい。
日本としても、次期温暖化対策協定で京都議定書の様な不利益は何としても避けたい。
そもそも、二酸化炭素による温暖化説自体が怪しいのだから・・・。」
と読めるのですが、いかがでしょうか。
政府の掛け声とは裏腹に、産業界は環境ビジネスに昨年程は熱心ではありません。
新聞はそこら辺の温度を敏感に反映しています。
さて、オバマのグリーンニューディール政策は環境バブルを起せるでしょうか?
オバマが提唱するグリーンニューディール政策が話題となっています。
「環境ビジネスで500万人の雇用創出」という言葉が一人歩きしています。
しかし、環境ビジネスって、いったい何なのでしょう?
はたして、環境ビジネスは新しい富を生み出すのでしょうか?
■ITも初めは意味不明だった■
実は、今では主要産業に成長しているIT分野も初めは意味不明な分野でした。
ネット産業などというものが本当に成立するのか、半信半疑でした。
しかし、現在、IT産業は多くの雇用を生み出し、
我々は、インターネットの恩恵にあずかっています。
環境ビジネスも将来は無くてはならない産業になるのでしょうか?
■環境技術の実利■
人が物やサービスにお金を払うには、実利が必要です。
それでは、環境技術の実利とは何でしょうか?
それは、節約されたエネルギーのコストが、設備の導入コストを上回る事です。
家電品は年々省エネが進みますが、価格はそれ程上昇しませんので、
消費者は分かり易く「省エネ」による実利を手にします。
「今度、買い換えるなら省エネタイプにしましょう。」となります。
二酸化炭素の削減は実利にはなりません。
炭素税でも掛かっていれば別ですが、実利は電気代として表れます。
■プリウスはお徳か■
今はやりのハイブリットカーはどのくらい実利が出るのでしょうか?
プリウスのSクラスが車体価格が215万円、
カローラの1.5ℓが192万円で価格差が23万円。
燃費がプリウス35km/ℓで、カローラが15km/ℓとしてます。
ガソリン価格が120円/ℓの場合を検証してみましょう。
1週間に50kmだけ車を使うサンデードライバーの場合、
プリウスの方がガソリン代が228.5円おお徳。1年で\11,887円お徳。
車体価格差をガソリンの節約分で割ると・・・損益分岐が19.34年。
という事はサンデードライバーのおじさんは20年で元が取れます。
20年もプリウスに乗る人はいないでしょうから、
サンデードライバーはプリウスに乗っても実利がありません。
1年間に1万キロの人はどうでしょう。
1週間の走行距離が192Kmだとして、
一週間で877.7円お徳。一年間で\45,640円お徳。
損益分岐は5.04年で、だいたい5年で元が取れます。
ここら辺がプリウスの購入者のターゲットでは?
実利は5年以降でしか発生しませんが、
ハイブリット車に乗るという付加価値が5年で買えます。
実際の街乗りでのプリウスの燃費は20km/ℓ程度、
カローラが12km/ℓでもだいたい5年で損益分岐が発生します。
これが比較がヴィッツであったりすと、なかなか損益分岐が発生しません。
■ECOという満足■
結局、補助金や減税が無ければ、ガソリン代の節約による実利は
5年目以降に発生する事になりますが、
長距離走行を経たバッテリーの性能低下により、
プリウスの燃費はガソリン車並みに下がるというデータも見受けられます。
結局、ハイブリット車はバッテリーとモーターという余分なパーツが発生します。
量産効果が上がったからといって、ガソリン車並の値段にはなりません。
バッテリーやモーターの廃棄コストも上乗せされますから、
燃費の良いガソリン車や環境対策されたディーゼル車の方が消費者には有利です。
さらに、プリウスは戦略車でトヨタとして利益の薄い商品です。
通常の価格転嫁をすれば、ガソリン節約によるメリットは消し飛んでしまいます。
結局、消費者は「環境に貢献している」という優越感を23万円で購入するのです。
ようするにプリウスにおいての付加価値は、コスト節約よりも
「ECO」意識の充足にあるようです。
■温暖化防止とプリウス■
プリウスが公証値通りの燃費ならば、年1万キロ運転するドライバーは
カローラ比較で1916ℓのガソリンを5年間で節約出来ます。
これは結構大きな数字の様にも思えます。
但し、バッテリーやモーターなどの製造と廃棄に要するライフサイクルコストと
その時消費するエネルギーが価格等価と考えるならば、
ガソリン節約分の二酸化炭素は既に、あるいは将来的に発生するとも考えられます。
■ハイブリットが当たり前の時代■
もしハイブリット車が普及し、
「お宅、まだハイブリットでないの?」という時代がやってきたら、
多分、皆さんハイブリット車を購入するのでしょう。
その場合は、価格上昇が個人負担であるならば、事実上の値上げですし、
税的優遇処置や補助金であれば、税金による不公平なコスト負担となります。
いずれにしても、「ハイブリットが当たり前」の時代が到来すれば、
車の車体価格は値上がりし、価格転嫁が適正に行なわれれば、
自動車メーカーは収益が上がります。
しかし、現在の様に価格転嫁が適正でない状態が続けば
ハイブリット化は企業収益を圧迫します。
■究極のECOカー■
インドの大衆車は25万円です。
これをハイブリット化する事は、ちょっと考えられません。
そもそも、燃費の良い小型車は、街乗りではプリウス同等の燃費です。
ですから、新興国の大衆は、皆プリウスユーザーと同等の環境貢献をしています。
ハイブリットの為の付属部品が無い事を考えれば、プリウス以上の貢献です。
(昔のサニーやシャレードは20km/ℓ以上走りました)
そもそも自家用車を所有出来る人が少ないので、
彼らは、地球に優しい生活をしています。
大衆はエアコンも使いません。
そのような国に、環境対策技術を移転しようとしても、
そもそもが環境に低負荷なので、なかなか普及しません。
結局環境技術は、既に大量のエネルギーを消費する先進国にこそ必要な技術で、
一人当たりのエネルギー消費量が少ない国には魅力の無い技術です。
■石油価格に左右される環境ビジネス■
環境ビジネスを成長させる最大の要因は石油価格の高騰です。
世界の経済活動が低迷している現在、原油価格は低いままです。
この情況では省エネの実利は発生し難い情況です。
バイオエタノールの盛衰を見るまでも無く、
エネルギーと言えども、市場原理を無視する事は出来ません。
結局、温暖化の二酸化炭素原因説を拠り所とするしか無いのです。
その根拠が磐石で無い事がだんだん明らかになってきています。
昨日の読売新聞の社説は、産業界の現在の心境を良く代弁していました。
「グリーンユーディール政策の波には乗りたいが、経営コストの増大は避けたい。
日本としても、次期温暖化対策協定で京都議定書の様な不利益は何としても避けたい。
そもそも、二酸化炭素による温暖化説自体が怪しいのだから・・・。」
と読めるのですが、いかがでしょうか。
政府の掛け声とは裏腹に、産業界は環境ビジネスに昨年程は熱心ではありません。
新聞はそこら辺の温度を敏感に反映しています。
さて、オバマのグリーンニューディール政策は環境バブルを起せるでしょうか?
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