人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

異次元緩和の見えないリスク・・・リスクフリーなどあり得ない

2019-06-05 09:54:00 | 時事/金融危機
 

■ 無限国債は成立するのか ■


MMT理論が成立する様な状況では「無限国債」が成立するはずです。

1) 政府は赤字国債を大量に発行し続ける
2) 間接的、或いは直接的に中央銀行が国債をファイナンスし続ける
3) 国債の最後の引き受け手の中央銀行は無限に通貨を発行出来るので国債は無限に発行できる
4) 日銀は政府の子会社なのだから日銀の資産である国債は政府の負債と相殺される

ネトウヨの主張を延長すると「無限国債は成立する」となりますが、彼らとて、こんなに都合の良い事が現実に起きるとは信じていないでしょう。(一部の方を除いて)


上のループが成立する為には「インフレ率が十分に低く、金利が抑制されている」事が絶対条件になります。

日銀の国債買い入れは市場を通して行われますが、その過程で日銀は民間に大量の円を供給しますから、円が巷に溢れれれば、通常ならば通貨の価値が減少してインフレが発しします。



■ 日本の低成長が支える異次元緩和 ■


先の記事にも書きましたが、日本の成長率はゼロ近傍に張り付いています。これは少子高齢化の影響が大きいのですが、結果として日本国内の金利を押し下げ、国内での投資機会を減少させます。

国内金利が低下すると、相対的に海外の金利が高くなります。金利3%の米国債は、為替リスクを考えるとあまり魅力的な商品とも思えませんが、それすらも魅力的に見えてしまうのが現在の日本の国内金利です。

こうして、日銀が異次元緩和によって民間に供給した大量のマネーの多くは、海外に流出します。(リスクを取り得る一部のマネーは、日本株や国内の不動産に流れ込みプチバブルを形成しています。)


■ 金融危機が発生すると極端に円高に振れる ■

異次元緩和による円の増加と、円キャリー取引の発生によって円は実力以上に円安になっています。リーマンショック後にアメリカも一気にマネタリーベースを拡大したので、現在の為替水準はもっとドル安円高で良いハズです。

リーマンショック以降、市場がリスクオフになる度に、為替市場は円高に振れますが、円キャリートレードの手じまいで円高バイアスが掛かる所に、市場の関係者の思惑も絡んで、円高が加速します。

■ 次なる金融危機で壊滅的なダメージを受ける日本 ■

仮に、リーマンショック級の金融危機が発生したならば、再び急激な円高が一時的に発生するハズです。為替ヘッジの想定以上に円高が加速すれば、内外金利差など簡単に吹き飛んで、日本の海外投資は大きな含み損を抱える事になります。

私は次なる金融危機で日本の金融機関は危機的状況に陥ると妄想しています。ゆうちょ銀行、農林中金を筆頭に、地銀なども経営危機に陥る可能性が高い。

GPIFのダメージも相当なものでしょう。

■ 株価下落で債務超過に陥る可能性が有る日銀 ■

海外資産を持っていないので安泰と思われる日銀も、国内株の下落で下手をすると債務超過に陥る可能性が指摘されています。日銀は最後の買い手として、日本株を高値掴みしていますから、大幅な下落で含み損が拡大します。

■ 為替市場で円の下落が始まり、インフレが加速する ■

日本国内の金融機関の経営がガタガタになり、日銀も大量の含み損を抱えるとなると、さすがに為替市場で円高を維持する事は不可能になるでしょう。

ここで急激に円安が加速して、1ドル150円を超えて来ると、原油をはじめとした輸入品の価格が上昇して、日本国内のインフレが加速します。


■ フリーランチは存在しないと世界に示す日本 ■

円安を止める為には金利を上げるしか方法がありませんが、財政赤字を積み上げた日本で金利上昇は命取りになります。

この段階にもなれば、国民は銀行も政府も信用できなくなりますから、銀行から預金を引き揚げ様とするハズです。ここで、銀行はシャッターを開ける事が出来なくなります。

多分、事がここまで進む前にIMFが救済に乗り出すハズです・・・。これが異次元緩和の結末だと私は妄想しています。


尤も、次なる金融危機でドルや他国通貨の信用がどれだけ保たれているかは疑問なので、世界中の通貨の価値が等しく棄損すれば、最悪のシナリオは回避出来るかも知れませんが・・・。






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32 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (鍛冶屋)
2019-06-05 14:44:33
>3) 国債の最後の引き受け手の中央銀行は無限に通貨を
>発行出来るので国債は無限に発行できる
・・・等々は、いったい何処のMMT提唱者さんの見解・ご主張でしょうか?。
何度も申し上げますが、MMTには”(無条件に)通貨発行上限が無い”などという主張はありません!。

>ネトウヨの主張を延長すると・・・
MMTer=ネトヨウですか?(主張者のすり替えですよ)。
ちゃんとした議論をしましょうよ・・・__)

※人力さんにとってネトヨウさんがどんな存在か存じませんが、御記事々々が完全に煽り目的のみでおられるら、当方の書き込みはもう無視して下さい。
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Unknown (はぬまん)
2019-06-05 17:10:29
人力さん
お疲れ様です。

MMTは一度味わうとやめられなくなりそうな怪しさがありますね。
だけどドナルド場外乱闘ツィートで含み損を抱えこむ投資家たちには非常に
魅惑的なのです。
しかし金融緩和を助言してきた多くのリフレ派もMMTそのものはキワモノ扱
いしてますね。

あれこれ見てみて一番腑に落ちたのは以下の動画です。

https://www.youtube.com/watch?v=LsxRSrnhpNc&t=2s

需要供給曲線が無効となっては市場は成り立ちません
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Unknown (鍛冶屋)
2019-06-05 18:32:01
>■ 無限国債は成立するのか ■

理屈的には可能だと言われます。
しかし、税には”富の再分配”・”通貨流通量の調整(景気の刺激・冷却)”などなど 経済操作機能があり、また徴税によりその通貨を”法定通貨たらしめる役目(租税通貨論)”を担っているので、現実的では無いと言われています。
そもそも、無税とMMTとは全く関係がありません(そんな論旨はありませんって!)。
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Unknown (鍛冶屋)
2019-06-05 20:04:45
なぁるほど・・・、こういう方々⇓がズレた論を拡散なされてるんですね。

https://www.youtube.com/watch?v=LsxRSrnhpNc&t=2s
(いやこの方、絶対MMTのこと分かってないですって)

動画内でも仰っていますが、MMTは政策モデルを含んでいません。なぜなら、MMTはあくまでも現代の貨幣経済はこういう仕組みで動いているんだよっと説明しているに過ぎい”純粋理論”だからです。
とうぜん、それを採用すとかしないとか、その方法でもって問題が解決するとかしないとかの内容ではありません。

野党議員が、”5,000兆円支出しても大丈夫っと言っている”って?・・・言う方も言う方ですが、それを一笑にふせない方もどうかしています。そんなの、MMT(貨幣理論)とは何の関係もありません。

MMTの中で、”(円やドルなどの)自国通貨建て国債(内債)はデフォルトしない”っという所だけ切り取り揶揄する所は鉄板ですね。
ちなみに⇑は、日本財務省(黒田総裁発)の公式見解⇓でもあります。

https://www.mof.go.jp/about_mof/other/other/rating/p140430.htm
返信する
Unknown (一ブログ読者)
2019-06-05 20:48:19
究極的には、MMT肯定派と、否定派(ただし意味を正確
に理解している当局者・経済学者に限る)の違いは哲学
の違いだけだと思います。

MMT肯定派は「インフレが許容可能なうちは歳出を増や
してよく、インフレが許容不可能な水準に近づけば歳出
を減らせば良い」という発想のはずです。
対してMMT否定派は「将来の許容不可能なインフレの発
生が確定する瞬間を、事前に見極めることはできない」
という発想に立つ。「MMTを実行すると、きっと気づか
ないうちにデッドラインを踏み越えるだろうから、やめ
ろ」という主張です。
MMT否定派は本音で言えば、現状がデッドラインを越え
る前なのか越えた後なのかも判断できないでしょう。そ
れでも、まだ越えていない可能性に賭けるなら、これ以
上踏み出すべきではない。

経済が不確実で非線形なものである以上、それに挑む人
間の取るべき立場としては後者の方が穏当と個人的には
考えます。
返信する
Unknown (鍛冶屋)
2019-06-06 07:19:46
コメント欄お借りします。

こんにちは 一ブログ読者さん。

>MMT肯定派と、否定派・・・
”MMT=財政出動”と捉えておいでの方が多いとおもいますが(⇐これはマスゴミの策略ですね)、MMTに政策的モデル(こうすればこうなる・・・的なモノ)は含みません。肯定するとか否定しないとかそう言った類の実践的な論ではなく、あくまでも現在の貨幣経済のシステムを解説・説明した”純粋理論”なんです。

論旨の中の一文を切りとりあげ、
 政府の財政に予算的制限はない(※供給能力的制限はある)よねぇ
  =政府は国債をバンバン発行して通貨を無限に供給できる!・・・っと言ってる

 予算的制限は無いので、失業者を公が雇用すれば完全雇用社会も可能だよねぇ
  =失業者を全て税金で雇え(ベーシックインカム=無税社会)!!・・・っと言っている

っと故意に歪めて広められているのです。


現在の車は高性能で、故障もせず燃費もよく、速度だって200~km/hなんてすぐ出てしまいます。
その車の構造や諸元を、(わりと^^;)わかりやすく解説しているのが”MMT”だとしますと、その車を使い何処に向かうのか?、誰を載せ何を運ぶのか?、どのコースを取って何処でアクセルを踏み、何処まで行ったらブレーキを掛けるのか?・・・これらはドライバー(施政者)の役目・裁量によるということでです。


有名な動画⇓ですが。

”必視!太郎が日本の借金について超わかりやすく説明!”
https://www.youtube.com/watch?v=CqKUtpHQNWc

現財務大臣が、(比較的)まともだった頃ですね。
この頃の阿部さんも同じような事を仰っていましたので、少なくともこの方々はMMT(現在の貨幣経済の仕組み)がどう言ったモノであるかを分かってらっしゃるはずです。それでも動かない(動けない?)施政者って、一体何なんでしょうね?。
返信する
Unknown (鍛冶屋)
2019-06-06 15:26:04
     ⇑
※政府の当座預金の使い方はひとまず置いておいて・・・

QE(量的緩和政策)が発動され、日銀が銀行の国債を買い取ります(⇐強制です)。

”銀行国債売り¥1兆 ⇛日銀国債買い ¥1兆 ”
    =”銀行当座預金+¥1兆⇐日銀当座預金ー¥1兆”

つまりQEとは、”銀行の当座預金額を増やし、日銀の当座預金額を減らす”事と同義であり、QEで増えるのは”銀行の日銀当座預金額”という事となります。

さて、日銀当座預金を使えるのは、”政府”・”日銀”・”市中(民間)銀行”のみと決められていますので、このままでは増えたこのお金を民間の会社に融資や投資したりはできません。
このお金(日銀当座預金)を民間で使えるようにするシステムこそが、”信用創造”と言う事になります。

ではその過程は、
返信する
Unknown (鍛冶屋)
2019-06-06 15:26:31
”マネタリーベース”と”マネーサプライ”の違い・関係性と、”信用創造”について。


貨幣経済の社会においては、お金には沢山の種類があり、その性質により、それを”使える人(組織)”・”使える範囲(売買できるモノやサービス)”が決まっています。

現代貨幣経済においてとくに重要(で難解?)な、”マネタリーベース”と”マネーサプライ”の違い・関係性を理解・納得できれば、(さして根拠もなく)国債が暴落して金利が高騰するとか、財政が破綻する・ハイパーインフレになる・・・などなどが起こり得ない事も分かるおもいます。

”マネタリーベース”とは、中央銀行(以下 日銀)にある”当座預金(以下 日銀当座預金)”と、中央銀行発行の貨幣(紙幣=現金)・政府発行の硬貨(500円玉とか=同現金)を合わせたものを指します。

※現金はひとまず置いておいて・・・
”日銀当座預金”に口座を持てる・そこに預金する・されているお金を使えるのは、”政府”・”日銀”・”市中(民間)銀行”のみと決められています。
また使える範囲も、各相互間取引の決済もしくは貸借と限定されます。

政府が国債を発行し、市中銀行がそれを引受け(買う)場合、この日銀当座預金間のやり取りでのみ決済されます。

”政府国債発行 ¥1兆 ⇛銀行国債買い ¥1兆”
    =”政府当座預金+¥1兆⇐銀行当座預金ー¥1兆”

っとなり、つまり国債発行とは、”政府の当座預金額を増やし、市中銀行の当座預金額を減らす”事と同義となります。

この取引で、政府は¥1兆の当座預金(負債)を入手し、銀行は¥1兆分の国債(資産)を得ました。

     ⇓
返信する
Unknown (鍛冶屋)
2019-06-06 17:48:22
加筆訂正 前2件のコメとコレは、破棄でお願いします _(__)_。
返信する
Unknown (鍛冶屋)
2019-06-06 17:49:20
     ⇑
※政府の当座預金の使い方はひとまず置いておいて・・・

QE(量的緩和政策)が発動され、日銀が銀行の国債を買い取ります(⇐強制です)。

”銀行国債売り ¥1兆 ⇛日銀国債買い ¥1兆 ”
    =”銀行当座預金+¥1兆⇐日銀当座預金ー¥1兆”

つまりQEとは、”銀行の当座預金額を増やし、日銀の当座預金額を減らす”事と同義であり、QEで増えるのは”銀行の日銀当座預金額”という事となります。

さて、日銀当座預金を使えるのは、”政府”・”日銀”・”金融機関(銀行・証券会社等)”のみと決められていますので、このままでは増えたこのお金を民間の会社に融資や投資したりはできません。
このお金(日銀当座預金)を民間で使えるようにするシステムこそが、”信用創造”と言う事になります。

ではその過程は、

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