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株価は何故上昇するのか?

2009-05-16 01:07:00 | 時事/金融危機

■景気は底打ち・・・本当ですか■

最近、新聞やニュースで良く目にする「景気に底打ち感が・・」というフレーズ、
仕事をしていると、底打ち感どころかこれからが正念場という感がするのですが、
どうなのでしょうか?

大手企業が10年度も赤字を予測する中で、
日本経済のファンダメンタルが改善しているとはとても思えません。
むしろ、国内経済が崩壊しても、外需が好調だったバブル期の方が
実体経済は底堅かったようにも感じます。

現在は失われた10年で、本来淘汰されるはずだった業界や企業に
とどめをさしているような感じです。
私自身、建築業界の末席に身をを置いていますが、
国内から仕事が一瞬で消えてしまった・・・そんな感じがしています。

■株価上昇は実体経済を反映しているのか■

日経平均株価も9000円台に回復して、
一時の6000円台からは1.5倍になっています。
しかし日本の株価回復は、アメリカの株価回復に連動しているだけ。

そのアメリカの株価回復の原因は、金融危機の緩和が挙げられるでしょう。
ダメダメだった金融機関が軒並み黒字決算、
ストレステストも、そこそこにパスして、
金融危機は一時のフリーフォール状態を脱したとの判断なのでしょう。

■市場は本当に騙されているのか■

しかし、米金融機関の黒字決算は、誰が見ても粉飾決算です。
暴落した債権を、時価会計しない。
「負債評価益」などという、損失を利益として計上するウルトラCまでしている。
ストレステストも結果ありきのパラメータ設定で無難な結果となっています。

当然、投資家からすれば、こんなのはデタラメだという事は一目瞭然です。
それでも、市場は好感して株価が持ち直しているのは不思議です。

結局、投機筋は短期利益で動きます。
少しでも好感できる材料が出そうであれば、直前までは「買い」。
材料が出揃えば、利益確定の「売り」で推移します。
ほんの少しフライングする事で、利益を確保していきます。

一方、一般投資家は萎縮して動きが鈍いですから、
株価がそこそこに回復した所で買い出して、
決算などが出るのをを待って「売り」か「買い」を決めていますから、
どうしても、一歩出遅れる。
結局美味しい所は投機筋に持っていかれてしまいます。

■マネーゲームは続くよ、いつまでも■

結局、プレイヤー達は少しでも利益を出したい。
実体経済の崩壊が決定的になるまでは、
株価を微妙に変動させて、少しずつ利益を出していく。
微妙に上下するルアーに釣られる魚のように一般投資家の資金を誘いながら、
最後は売り浴びせて、「空売り」で設けるポジションも取っているはず。

だから、アメリカの株価も日本の株価も実態経済を少しも反映していない。
政府がジャブジャブと財政出動しているのだから、
経済指標は短期的には上向いたように見えますが、
アメリカの失業率は9%にせまり、これから自動車関連から失業者が発生します。
日本も雇用調整資金による水増し分を考慮すれば実質8%に迫る勢い。

これらの雇用の悪化は、実体経済をジワジワと蝕んでいます。
アメリカでは、普通の住宅ローンが焦げ付き初めています。
商用不動産の価値も、日本のバブル期と同じで低下が著しくなっています。
これらは新たな不良債権を生み出して、銀行の経営を圧迫します。

■税金で救済される金持ち■

結局、財政出動で市場に投入されてた資金は、
困っている中小企業や個人には回らず、
金融市場や、商品先物市場に流入しています。
円キャリーも復活しています。

株価の維持、底支えと言えば聞こえが良いですが、
結局将来の税金を使って、金持ちの資産が守られていくのです。

AIGの救済にしても、公的資金をジャブジャブ投入して
CDSの返済をしている状態。
税金で投資家の損失が補填されているだけ。

クライスラーやGMにしても、あれだけ税金を投入しても
チャプター11の申請を免れ得ません。
一部の債権者は、会社が下手に存続して債権放棄したり、
紙くず同然の株になるよりも、
会社が倒産して、CDSという形で債権を回収した方が儲かるからです。
GMやクライスラーのCDSをどこが引き受けていたかにもよりますが、
AIGやシティーバンクあたりが、CDSの支払い引き当ての為に又経営難に陥り、
さらなる公的資金の注入を余儀なくされていくのでしょう。

我々日本人のお金も、アメリカ国債というものに姿を変えて
ドンドン吸収されていく・・・。
結果、金融危機が収束して、日本の老人達が持つ金融商品の価値が戻れば良しとするのか?

それとも、米国債の売れ残りから長期金利の急上昇、
ドルの暴落から、アメリカのデフォルトという最悪のシナリオに付き合わされるのか、
米経済の舵取りに、日本人の将来が掛かっていると思うと、
良い心持はしません。




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