■バグダット・カフェって懐かしい■
私が会社に入社した年に流行った映画「バグダット・カフェ」。
ご記憶の方もいらっしゃるかと思います.
寂れたドライブインにドイツ女のマリアが流れ着きます。
デブだけど人柄の良いマリアは、
掃き溜めの様なドライブインの人々に希望を与え、
ドライブインは音楽と人々の歓声が溢れる活気を取り戻すというお話でした。
主題歌の「コーリング・ユー」をホリー・コールが歌い、ヒットしました。
映画は若者を中心に支持され、渋谷でロングヒットを記録しました。
■ロザリー・ゴーズ・ショッピング■
「バグダット・カフェ」の前に監督のパーシー・アドロンが
マリアンネ・ゼーゲブレヒトとのコンビで撮った映画が
「ロザリー・ゴーズ・ショッピング」です。
アメリカで、しがない農場を経営する夫と子供達と暮らす主婦ロザリー。
醜悪に太ったロザリーはかなりのやり手。
何がって、カード詐欺の・・・。
クレジット・カードを何十枚も持っていて、
限度額一杯まで買い物や借金を繰り返す。
あっちのカードからこっちのカードにと、
次々とカードを変えては、借金を付け替えていく手法で、
家族は愛情と栄養タップリの豪華な食事を楽しみながら
日々を平和に暮らしています。
ある日、農場経営が破綻し、
夫は唯一の楽しみの農薬散布用の飛行機を失います。
ところが、ロザリーは小切手詐欺で見事大金を手に入れ、
夫の飛行機を取り戻し、農場経営も危機を脱します。
■妙にに明るく爽快な犯罪■
ロザリーのしている事は犯罪です。
しかし、彼女には罪の意識は皆無です。
システムに欠陥があって、
自分はそれを利用して家族を幸せにする。
その事は、彼女にとって当然の権利でした。
映画も妙に明るくて爽快。
決してロザリーとその家族を憎む事なんて出来ません。
■ドイツ人が見た20年前のアメリカ人■
パーシー・アドロン監督はドイツ人です。
ドイツ人の彼の目から見た、20年前のアメリカ人の生活は
まさに、借金漬けの放蕩生活を楽しむ人々の姿だったのです。
サブプライム危機は今に始まった事ではありません。
強いドルを背景に、
アメリカの一般家庭で繰り広げられた過剰な消費の結末が、
現代の金融危機なのです。
「ロザリー・ゴーズ・ショッピング」を見ると、
それでもアメリカ人は明るくこの危機を脱してしまいそうな気もします。
彼らには詐欺だってビジネスなんだから。
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