人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

「偏在」を無視するMMT・・・

2021-12-17 22:55:00 | 時事/金融危機
 

鍛冶屋。さんが色々書かれていますが、私自身MMTにそれ程詳しく無く、さらに経済にもそれ程詳しくありませんが、一応、私なりの考え方を。(ミクロとマクロをごちゃ混ぜにするなとお叱りを承知で書きます)


■ 通貨発行は納税によって国庫に還元するから財政破綻はあり得ない? ■

MMT系の方は「通貨発行権のある統合政府において、自国通貨建ての国債はいくらでも発行できる」という主張します。確かに金利をゼロに固定出来れば可能ですし、今の日本はそうなっている。

これに対して「為替が下落してインフレ率が上昇する(通貨の価値が棄損する)」と私は三橋教批判で10年以上書き続けていますが、MMT系の方々は、「円の本当の需要は円を使い納税する日本人によって支えられるから、通貨の価値は失われない」と反論します。「通貨は国債発行によって生まれるが、一方でそれは納税とし国庫に還流するから財政の均衡は保たれる」と主張する。

■ 通貨は発行された後、様々な経路を通って流通する ■

通貨は発行された後、実際には様々な場所に偏在します。

基本的には貧乏人から金持ちの手に渡り、預金や投資によって資産市場で運用される。金利の低下した日本では円は為替市場でドルに替えられて(円売りドル買い)外貨で運用される。海外市場が順調な時は、適当な金利を稼いで、所得収支が黒字化し、納税にもいくばくかのメリットがある。為替市場は円売りドル買いが続くので円安傾向が続きます。

一方、世界的なバブル崩壊などが起きて海外市場が暴落すると、日本の海外投資は大きく棄損します。日本の金融機関や投資家は慌てて海外資産を売却して円に資金を戻すので「円買いドル売り」が発生して、為替が大きく円だかに振れます。

簡略化すると 100円を1ドルで海外投資 → 暴落で0.5ドルで売却 → 円高で30円に目減り

■ あれ、70円は何処に行ったの?? ■

これ私も不思議なのですが、多分「強い通貨は買われる」の法則で、一時的に為替市場にプールされているのでは無いか。これは安くなったドルの価値保存の意味も兼ねています。

しかし、しばらくすると日本国内は資産市場の損失によって不景気になるので、緩和政策が始まり円が下落する。この時点で為替市場では円売りドル買いが加速するので、円安になります。

バブル崩壊、リーマンショックと、だいたい同じ道を辿っています。

注目するべきは、資産市場と為替市場が大量な円やドルをトラップしているという点。これに民間の信用創造と信用収縮が加わるので、実査にはこれ程単純ではありませんが、円を大量に発行したにも関わらず、円安で物価が上昇して、一方で日本人が使えるお金が目減りしています。

これが777さんが書かれた金融緩和によるデフレの正体では無いか。金融緩和をして国民にお金を配っても、貧乏人の手元には残らず、さらにはバブル崩壊によって雇用まで失われる。長期的には経済は冷え込むが、目先ではインフレが進行して、長短金利が逆転して逆イールドカーブが発生する。

投資は高い長期金利を、安い短期金利の差で奪い取るゲームですから、長短金利が逆転すると市場は崩壊する。


■ 会計学的な処理では「偏在」は存在しない? ■

MMT系の人達は、「海外でのお金の流れは相殺されるので考えなくて良い」「民間の信用創造はプラスマイナスゼロ」と片付けてしまいますが、それこそ机上の話であって、実際の経済では、ここら辺の影響が非常に大きい。むしろ、相場や金利は「偏在」によって生まれるので、偏在を無視するMMT系の理論は偏在が大きくなると破綻する。インフレ率の上昇も偏在の結果だが、偏在を認めないMMTでは対処が出来ない。

MMTの基本は「会計学的な財政論」、或いは「バランスシート財政論」ですが、「貸方」「借り方」の他に「特別損失」みたいな物が存在するのが実際の世界の様な・・・。この損失は誰かの利益ではあるのですが。


考察が雑なので、詳しい方々のツッコミ承知で書いてみました。

2021冬アニメ・・・お勧め?

2021-12-17 03:29:00 | アニメ
 
■ 2021冬アニメ・・・アニメが面白く無いと感じる・・・ ■

最近、アニメを観ても面白く無い。理由は簡単で、アニメを観て育った世代が作るアニメに興味が持てないから。演出手法や作画の完成度は標準をクリアしていますが、「〇〇に似ている」作品ばかりが量産されて、驚きに乏しい。

そんなアニメ・ダウナーな気分で今期アニメのオススメをセレクトしてみました。



『吸血鬼すぐ死ぬ』より

少年チャンピオン連載のギャグ漫画のアニメ化。「昔のギャグアニメってこうだったよね」という雰囲気に満ちていますが、流石はベテラン監督とマッドハウス。「今のアニメに欠けているもの」が良く分かっている。

「見た目の完成度」ばかりファンが評価する時代に、あえて「低い完成度の持つ強靭さ」を前面に押し出しています。アニメや漫画は2次元の絵に過ぎませんが、如何に立体的に見せるかに作画は情熱を注いで来た。CGの時代に、海外では、この苦労も最早昔話になりつつありますが、日本人は未だに疑似3次元に拘りを持っています。

一方で、漫画では2次元的な作品も未だに多く存在します。多くは作家の作画能力が低い事に起因しますが、それでも面白い作品は面白い。『吸血鬼すぐ死ぬ』は、この系統の作品。とにかく原作漫画の会話のテンポが良いらしい。それをアニメは声優の演技力との相乗効果で見事に再現している。

次々にネタをブッコミながら、テンポ良く繰り出されるギャグは、古い漫画やアニメファンならば懐かしさを感じるでしょう。私などは「アニメーションはこうでなくちゃ!!」って喝さいを送りたい。

OPもEDも良く出来ています。OPは曲と動きのマッチング、そして、EDはアヌシー(カンヌのアニメ部門)受賞の『カラミティ』をモロにパクった演出ですが・・・それだけの衝撃が『カラミティ』には有る。『カラミティ』自体、作画の完成度とは別のベクトルを持った作品ですが、アニメの可能性を拡張する力は強い。これをパクった事は私的には高評価です。(ちなみに『カラミティ』劇場予告とネットのPVしか観てません・・・)




『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』より

この題名・・・多分一生掛かけても覚えられません・・・。
評価すべき点は、「リットがカワイイ、リットがカワイイ、リットがカワイイ・・・」以上!!

モトイ!!評価すべき点は「素直な作品」である事。

人々が「加護(適正)」を持って生まれる世界。「勇者の加護」や「盗賊の加護」など、人々は加護に従って職業を選択すると成功し易い。主人公レット(ギデオン)の加護は「導き手」、そして妹は「勇者」。レットは勇者になるべく約束された妹を支え導きますが、「戦闘能力不足」を理由に勇者パーティーを追放されます。

そんなレットが辺境の国で薬屋を営む人生を選択する。勇者パーティーの一員であった過去を隠して。そこに、かつて勇者パーティーが救った国の王室の娘のリットが現れます。英雄とされるリットは密かにレットに恋をしていましたが、いきなりレットと一緒に住むと言い出す。いわゆる「押しかけ女房」。最初は手を握る事も恥ずかしがっていた二人は・・・。

とまあ、他愛の無い「爆ぜろリア充」な内容の序盤ですが、レットの誠実さとリットの可愛さでついつい視聴を継続してしまいます。とにかく、物語が素直で優しい。しかし、「魔族」「加護」にまつわる不穏な空気は辺境のムラにも忍び寄ります。

在り来たりな異世界作品ですが、構成がしっかりしているので観るに堪える。というよりも、物語のステロタイプ(神話の体系)に忠実な作品です。現在の異世界モノの原点は「ロールプレイングゲーム」ですが、その根本は「神話」にあります。「魔王を勇者が倒す」物語。

一般的な異世界モノは「魔王が勇者を倒す」という表面をトレースします。しかし、この作品は「幸せな生活を脅かすモノを倒す」という神話の本質に忠実です。だから、レットとリットのキャッキャ・ウフフの生活や、村人との交流の描写が重要になります。この幸せを脅かすのは魔物だけではありません。レットを勇者パーティーに連れ戻したいと願う仲間の善意も、二人の幸せにとっては脅威です。だからレットは頑なに勇者パーティーに戻る事を拒絶しますが、リットとの幸せを守る為ならば剣を取ります。

「この剣を取る理由」が重要です。多くの異世界モノは「異世界に勇者として召喚されたから戦うのは当たり前」という所からスタートします。これはゲームのスタートボタンには忠実ですが、物語の作法としては最初から破綻しています。だから異世界召喚モノを私は嫌うのです。

決して『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』が優れた作品と褒める訳ではありませんが、物語のプロットとしては素直で好感が持てます。これをジブリが上手く料理すれば、劇場でヒット作品が生まれる。そんな素材の一つだと思って鑑賞するのも楽しい。

でも「リットがカワイイ」成分が99%ですが・・・。

OPの曲は今期No1。



『先輩がうざい後輩の話』より

これも「優しいお話」。新入社員の低身長女子が、体育会系の先輩に付いて働く職場日常系作品。新しい所は一切有りませんが・・・好感が持てる作品。

コロナで世の中がギスギスした時代、そしてテレワークで「職場」自体が消滅しつつある時代に、人々が集う協力し合い、そして優しく相手を気遣う「理想の職場」に強く郷愁を感じてしまう。



『ワールドトリガー 3rdシーズン』より

何故か戦闘シーンよりも、作戦会議や、上官との会議のシーンが面白い作品。戦闘シーンは「永遠に続くナルトの中忍試験」と言えば分かり易いかな。



『無職転生』より

完成度は高い。だけど・・・・何かが足りない・・・・。
さらにエリスが消えたとなると・・・何を楽しみに観れば良いのか・・・・。


以上、アニメ熱が下がっているからか、それとも良い作品が極端に減った為か、アニメに熱くなれない昨今ですが、個人的には「素直で優しい作品」を好んで観ている気がします。


以上、2021冬アニメのオススメでした。