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野村証券の巨額損失・・・市場は不安定になっている

2021-04-01 08:55:00 | 時事/金融危機
 

■ 野村ホールディングスの巨額損失 ■

株価は堅調に見えますが、水面下では大きな変化が起きている様です。

野村ホールディングスの米国子会社の「アルケゴス・キャピタル・マネジメント」が約2200億円の損失を出したと報じられています。損失額はマダマダ膨らむ可能性も在ります。

いったい何が起きたのか・・・。
色々と噂はありますが・・

アルケゴスは巨額の借り入れを元に、レバレッジを掛けて特定の銘柄にブロック投資する企業の様で、米バイアコムCBS、ディスカバリー、米国に上場した百度(バイドゥ)、騰訊音楽娯楽集団(テンセント・ミュージック・エンターテインメント・グループ)、跟誰学(GSXテックエデュ)などの中国企業などが投資先です。

リーマンショック後、ヘッジファンドなどにはレバレッジの規制などが掛けられましたが、アルケゴスは個人のファンド(ファミリー・オフィス)なので規制の網が掛かりません。


巨額資金を借り入れ、大きなレバレッジを掛けた株取引で、株価が下落した為、銀行に追証を求められましたが、入れる事が出来なかった様です。

野村ホールディングスとクレディー・スイスがレバレッジの資金を提供していた様で、アルケゴスのポジションは未だ残っている為に、さらに損失が拡大する可能性が有ります。


■ ジリジリと上昇する金利 ■

FRBは前回のFOMCで金利上昇に対応する為に、金融緩和を拡大するのでは無いかと見られていましたが、パウエル議長は効果的な金利上昇対策を打ち出しませんでした。むしろ・・・

・FOMCの何人かが利上げを見込むことは驚くべきことではない
・SLR(補完レバレッジ比率)の規制については数日中に発表する


など、市場の予測を裏切る様な発言をしています。「金利上昇は容認出来る範囲」「補完レバレッジ比率の引き上げは、後で協議するよ~」って感じ。

これはFRBが金利上昇をある程度容認していると市場には受け取られています。当然、米国金利は上昇を続けており、10年債金利は2%に近づいています。


■ 金利上昇で市場環境は一転したが・・・ ■

本来であれば、金利上昇予測によって株価が大きく下がるハズですが、意外にも下落幅は少ない。

一つの原因としては個人で小口の株式投資がスマホで出来るロビンフットの影響も在ります。素人の集団が株取引をしているので、「下落=安く買える」という思考が働き易く、株価を下支えしています。これは空売勢には大きな障害となっている様で、ヘッジファンドが空売りでロビンフットに売り負ける様なケースも出て来ています。

本来、景気回復を伴わない金利上昇局面では株価は軟調に推移しますが、どうも小口の個人取引が下支えをしている感がある。但し、本格的に下落が始まると、素人は恐怖に取り付かれて売り逃げ様と必死になるので、一機に株価が下落する原因ともなり得ます。


■ ドル高が支える日本株 ■

日本株は米株に連動する値動きが続いていますが、米金利上昇を受けてドル高が進行しているので、しばらくは海外勢の日本株への投資は安定しているでしょう。

巨大な過剰流動性はあらゆる市場に流れ込んでいるので、多少、米国の金利が上昇した所で、市場はしばらくは大きく崩れる事は無い。

但し、米10年債の金利が2%に近づくと、市場はかなり騒がしくなりそうです。FRBが何等かの対策を打ち出さないと、米国株が下落し、日本株もそのお付き合いをする事になる。


■ 繰り返される中国危機説 ■

アメリカの市場がキナ臭くなると、何故か中国危機説が台頭して来ます。「本当に怖いのは中国だよ」とネットに噂が広がる。

中国は独裁国家ですから、何かあれば「裏ワザ」はいくらでも使えます。だから、私はあまり心配はしていません。過剰債務が積みあがる一方で、成長力もそこそこ在りますし、コロナの影響も欧米に比べて少ない。

私は「中国危機説」が台頭した時は、「資金をアメリカに誘導している時」だと妄想しています。


■ FRBは確信犯的にバブルを壊す? ■

私は常々、「中央銀行がバブルを作り、中央銀行が壊して来た」と妄想しています。

サブプライムローンが崩壊した時も、「今がバブルかはバブルが弾けて初めて分かる」と言っていたグリーンスパンやFRBの利上げのタイミングが遅くなった事が被害を拡大させました。

その点、金利上昇をある程度容認するパウエル議長の判断は正しい様にも見えますが、既にコロナ禍以降、前例の無い金融緩和が世界中で継続していますから、ダムは満水を越え、危険水位に既に達しています。後はアリの人穴からも決壊する。

これが中央銀行の意図的なバブル潰しかどうかは分かりませんが、現在の通貨システム、金融システムを延命させる為には、中央銀行はジャバジャバと市場に資金を投入し続けるしか無く、やがてそれは限界を迎えます。

「MMT派が確信犯的に無視する市場」の崩壊によって、金融システムは必ず崩壊する。


表から見れば、「中央銀行は市場をコントロールする事が不可能で、バブル崩壊を防ぐ手立ては最初から存在しない」。裏から見えれば「バブルの生成と崩壊こそが中央銀行の仕事」。

真実はどうあれ、結果は同じ。