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民主主義の体裁・・・反則を目の当たりにして笑う国民

2018-03-09 06:12:00 | 時事/金融危機
 

■ 議会制民主主義 ■

「民主主義は素晴らしい」と刷り込まれている私達ですが、そのシステムを「選挙によって民衆の代表を選ぶ」程度にしか理解していない人は結構多い。

「選挙によって民衆の代表を選ぶ」事は「議会制民主主義」と呼ばれますが、では選ばれた議員は何をするのでしょうか?国会は国権の最高機関ですが、基本的には法律を作る会議(立法府)です。「法治国家」においては全ての事柄が「法律」に則って進行し判断されます。

さらに国会は国家予算を承認する機関でもあります。議員は納税者の代表として、税金が正しく使われているのかチェックするのです。

■ 王権に対抗する為の民主主義 ■

ヨーロッパでは近代はでは専制君主(国王)と貴族が国家を支配していました。国王やその臣下が「増税」を決めれば、国民はそれに従いました。増税の理由が王族の浪費であったとしても、国民は逆らう術を持ちませんでした。ただ、その対価が全く無かった訳では無く、一旦戦争が起きると貴族達は軍隊を率いて率先して戦闘の場に出て行きました。この場合の軍隊は「職業軍人」であり、一般市民ではありません。

近代になって商人や資本家(ブルジョア)が台頭して来ると、専制君主と利害が対立する様になります。専制君主は彼らから税金を巻き上げ様としますが、彼らとて快く従うばかりでは面白くありません。

その結果、「議会を設立して、法によって王権を縛る」=「議会制民主主義」が生み出されます。これを一般的には「市民革命」と呼びます。イギリスでは王権の制約がゆるやかに進行し、フランスではフランス革命という流血によって一気に王権が剥奪されます。

1) 議会は税金の使途を監視する
2) 議会によって定められた法律は国王の専制を縛る

初期の議会制民主主義において「一般庶民の権利」を守る意識など含まれておらず、納税者である商人や資本家の権利を守る事が重要視されます。当然、選挙権はある一定額の納税をしている者に限られていました。

■ 資本家が国民に監視される普通選挙 ■

初期の議会制民主主義は「国王から資本家への主権の移譲」と捉える事が出来ます。国家の主権者が専制君主から資本家に変わったのです。

議会は国民へも税金を課していましたし、近代戦争には国民が兵士として徴兵される様になります。この状況は「資本家が庶民を支配する」事に変わりありません。そこで、かつて資本家が国王の権利を縛る為に議会を利用した様に、庶民も議会を利用して資本家の権利を縛ろうとします。

庶民は「自分達にも選挙権をよこせ」と要求します。これが「普通選挙法」を求める運動です。始めは成人男子が選挙権を獲得し、さらに成人女性がこれに加わり現在の議会制民主主義が出来あがります。

■ 議会制民主主義の墜落 ■

選挙権が全ての成人に与えられる様になって民主主義は進化したのでしょうか?

例えばワイドショーばかり見ている家庭の主婦が民主主義の何たるかを理解しているとは思えません。「民主主義=選挙」と考えている多くの庶民にとっては、「国会運営=多数決」程度の認識しか無いはずです。

選挙権を獲得する為の先人達の闘いと苦労を知らない現在の国民にとって、選挙は「自分達に都合の良い政策を主張する人物」への人気投票の場となりました。

その結果、与党も野党も、「自分達を支持する有権者の利益になる政策」だけを主張する様になります。

■ 国会で森友問題を追及する事を「時間の無駄」と言う人々 ■

国会が森友問題の財務省の資料捏造疑惑で空転していますが、これをして「予算委員会は予算をい審議する場所で、時間の無駄遣いだ」と非難する人が多い。

しかし、自公で過半数を占める国家で、予算案が否決される可能性はゼロに等しく、そもそも現在の議席配分では国会は機能していません。

ですから、野党は議会の本分である「税金の使途」に質問時間を割いています。これを否定しては「議会制民主主義」を否定する事になります。

■ 「行政文書の改竄」は国家と国民の契約の根本を揺るがす ■

私は陰謀論者ですから、「行政文書の改竄」なんて「小さな欺瞞」に過ぎないと考えています。

しかし、国民の立場からは「行政文書の改竄」は「許されざる事」だと断言します。現在の民主主義が「まやかし」であったとしても、その根本的なルールが破られる事を「仕方ない」とか「たしいた事ない」と片付けてしまう事は、民主主義を否定する事になります。

仮に国会が与野党のプロレスという見世物だとしても、そこには最低限のルールが無ければ試合は成り立ちません。レフリーが反則を取らない試合が続けばファンは激怒するのが普通です。

1)森友学園の国有地売却の価格設定は明らかに不自然である
2)交渉の録音記録など、不自然な交渉の証拠が公開されている

この2点だけで、財務省の反則は明確な訳ですが、議会を支配する自民党は「反則は無かった」の一点張りで反則が存在しないかの様に振舞っています。これは民主主義を愚弄する行為で、国民を侮蔑しています。

この事に国民が怒りを覚えず、むしろ「予算委員会の時間を無駄にするな」と怒るのであれば、そんな国の国会など無い方がマシです。

■ 民主主義は資本家の道具ですが、あまりに露骨な違反は民主主義を壊す■

私は民主主義は資本家が国民を支配する為の道具(システム)だと考えていますが、一方で、それに代わるより良いシステムを思いつく事は出来ません。(「優れた独裁」以外には。)

仮に国民の皆さんが民主主義を大切に思うのであれば、民主主義のルールは大切にした方が良いと思います。あまり露骨に資本家が利益を拡大すると、国民は民主主義に見切りを付けて、暴動という形で自ら民主主義を破壊します。

実は日本では「投票率の低下」という形で、民主主義の崩壊は起きています。その結果が組織票固める自公の議会の占有であり、堂々と不正がまかり通る現在の国会なのです。これは「愚かな独裁」と呼べないか?

これを「オカシイ」と思わないのであれば・・・あなたは「オカシイ」。