■ 大学は余っている ■
新たな国家戦略のカギとして、大学の学費無償化を安倍政権が検討しているという情報が流れています。
アホです。
確かに教育費が家計を圧迫する一般の家庭では「大学がタダになったら助かるわー」と思われる方が多い。家計の事情で大学進学をあきらめていた優秀な学生が大学に行ける様になる事も悪くは有りません。
ただ、少子化の日本において大学は既に過剰であり、Fランクなどと呼ばれる下位の大学では定員割れの大学も増えています。その様な大学では、入試試験は形式化しており余程のバカで無い限り入学費さえ払えれば誰でも大学に行ける時代になっています。
この様な大学の卒業生を企業が採用するかと言えば・・・ノーです。
大学の名前は入試時の学力を表しますから、企業の採用担当は大学の名前で学生を篩に掛けます。履歴書に名前も知らない様な大学の名前を書くだけで逆に篩い落とされてしまいます。
そもそも大卒の学歴を必要とする仕事は少なく、その少ない採用枠を奪い合う為に大学院卒の資格が必要な時代に、名ばかり大学の学歴など何の役にも立ちません。
■ 企業の採用者は出身高校をチェックしている ■
実は企業の採用担当は応募者の出身高校の名前をチェックしているとか・・・。最近は推薦枠やAO入試など一般の入試試験以外の方法で大学に入学する学生も多く、大学の名前が能力のバロメーターになるとは限りません。大学院はむしろ「学歴ロンダリング」に使われている。
そこで、企業の採用担当は出身高校の名前をチェックします。上位の高校の競争率は高く、入試は優秀な生徒の選別の機能を果たしているからです。
■ 勉強なんて大して役に立たないが、頭の良し悪しは重要 ■
私は大学の勉強なんて大して役立たないと思っています。専門知識を使って仕事をしている人以外は大学で勉強した事どころか、高校で勉強した事だって忘れてしまった方がほとんどではないでしょうか?
しかし、有名高校、有名大学を卒業した人達(頭が良い人達)は要領が良く集中力も有りますから、概して仕事も出来る。さらに向上心も高いので「出世競争」というシステムの中で成果を求め、結果的に会社に貢献します。
■ ユニークなドイツの教育制度 ■
各国の高等教育への進学率のデータを見つけました。
韓国 92.8%
イギリス 66.1%
日本 57.6%
アメリカ 54.5%
フランス 41.0%
ドイツ 26.5%
ドイツの大学進学率が低いのが目を引きますが、ドイツの教育制度は日本と大きく異なります。
1) 小学校は4年制
2) 小学校を卒業した時点で大学進学コース(キムナジウム)に進むか決める
3) キムナジウム(9年制)は総合大学の入試資格を得る為のコース
4) 総合大学を卒業後は研究職や管理職に就ける
5) 大学資格試験(アビトゥーア)の受験資格が得られる
6) 中等実科学校&中等商科学校(6年制)
7) 卒業後は職業学校である「専門上級学校」や「専門大学(カレッジ)」に進学できる
8) 将来は総合職や事務職になる
9) 基礎学校(中学校)は5年制
10) 卒業後は職業訓練や見習いとして働き始める
ドイツでは4年制の小学校卒業時には将来の職業がほぼ決まります。勉強が嫌いでも何故か大学に行く日本とは大きく異なり、実にドイツらしい合理的な制度です。
■ 勉強嫌いな子供が勉強が出来る様になる訳が無い ■
「勉強嫌いな子供が勉強を出来る様になる訳が無い」・・・これ当たり前ですよね。多くの親が勉強嫌いな子供にあの手この手で勉強をさせようと必死ですが、だいたい無駄な努力に終わります。
私も勉強が嫌いでしたから、家で机に向かった事が在りません。特に数学と英語が苦手で、大学の数学のテストは、問題なんて無視して覚えてきた数式を書いて「勉強したんだけどね・・」とアピールしてました・・・。英語もヒドイもので、今でも英語で会話する時は7割日本語ですが、これでもナマジの英語よりも何故か通じるから不思議です。
そんな自分の経験があるので、長男の高校受験の時は中途半端な進学校を受験したかった息子の意思に反して、生活指導がしっかりしていて、部活に力を入れている高校を無理やり受験させました。結果的に息子は部活に励み、高校時代には将来の職業を決めていました。息子は今では私に感謝しています。
「大学ぐらい出ていないと・・・」という親の思い込みが、勉強嫌いの子供への無駄な投資を生み、結局は就職もせずにフリーターなどという結果を生み出しているのです。
■ 職業学校の道を歩み始めた大学 ■
卒業生が就職出来ないというのは下位の大学が共通に抱える問題です。そこで下位の大学は専門学校同様に職業学校の道を選び始めています。
高齢化で人手不足となる看護師や理学療法士の育成コースが人気ですが、それ以外でもある種の職業に特化したコースの新設が目立ちます。
これ、いわば大学の専門学校化であり、ならば大学と専門学校の違いは何?って感じになっています。
大学と専門学校の違いは「一般教養」が在るか無いかで、大学生は高校で勉強した事を再度学んだり、体育なんて授業の為にお金を余分に払っています。ならば、2年間の間に専門性を叩きこまれる専門学校を選んだ方が良い・・。(尤も看護師などは管理職になる為には大卒の資格が必要になっているみたいですね。)
■ 大卒に意味があるとするならば・・・ ■
大卒と高卒に違いが無いならば、多くの人にとって大学は不要となります。
ただ、実は社会に出ると大卒と高卒はずいぶんと違います。それは人との距離感と言うか接し方です。
私の経験では高卒の方は人との接し方が「ダイレクト」です。それに比べ大卒の方は相手との間に一定の距離を取る傾向が強い。
大学に入学する18歳という年齢は、子供が大人になる過渡期で、自我が固まって来る時期です。自分と他人の差を自覚しその距離感を調整する事を覚える時期に大学生というある種のモラトリアムの時期が在る事は決して悪い事ではありません。
学生同士の付き合いや、サークルの先輩後輩などの関係の中で、社会人としての人との付き合い方を自然に学んでゆきます。
一方、高卒で就職する場合、「未熟な大人」が大人の社会にいきなり放り込まれるので戸惑う事が多い。大人と彼らは対等ではありません。だから人間関係の調整を学ぶ事が難しい。命令するかされるか・・・結果的に「ダイレクト」な人間関係が職場を支配しています。
まあ、私が考えるに大学を出て役立った事って、この程度かな・・・。
■ 勉強嫌いは幼児教育で治せるのか? ■
世界的には大学教育より、幼児教育に注目が集まっています。
小学校就学以前の幼児の学習能力が非常に高い事は、森友学園の幼稚園児が教育勅語を暗唱している事でも分かります。
「脳の発達する時期に「学習」を植え付ければ、その後勉強嫌いになる事も無く、向学心旺盛な子供に育つ」というのが幼児教育が重視される理由で、教育コストに対する効果が高等教育に比べて高くなります。
確かにその通りなのですが・・・・個人的には「頭の良い悪いは先天的なものが占める割合が高い」と感じまています。
保育園児は幼児期に同世代の園児と過ごす時間が長く、幼稚園児の様に親と接する時間は短い。彼らは保育園では遊びに専念しているので、脳が発達する時期に勉強を詰め込まれる事が無い。
確かに保育園児は子供らしく、一方、幼稚園児は大人の様なもの言いの子供が目立ちます。しかし、息子や娘と同窓の保育園児達の進学高校を見ると、幼稚園児と大差は見出せません。
保育園でも利口だった子は優秀な学校に進学しています。不思議なのは、ちょっとボーとしていた子が意外に良い学校に行っていたりする事。こういったちょっとボーとして見える子は、実は頭の中で色々と思考を巡らしているのかも知れません。
一方、子供らしく大騒ぎしたり喧嘩したりしていた子は・・・そのまま成長していて・・・学力も程々・・・。(わが子2人はこの部類)
■ 利権の温床となるであろう教育 ■
話が逸れてしまいましたが、要は今の日本に必要なのはエリートであって、大卒という資格でな無いということ。
そんな事は文科省も政治家も十分に理解しているハズですが、何故か大学無償化などというバカな案が出て来ます。
その理由は、このまま少子化が進行し、親の所得格差が広がると大学進学者が激減しして、ほとんどの大学の経営が行き詰るからに他なりません。
文科省の天下り先の多くは大学です。ですから彼らは大学を作り続け、天下り先を確保しています。
一方、加計学園問題にも透ける様に、大学新設は政治家にとってもオイシイ。大学の新設は認可制ですから政治が介入し易い。さらには広いキャンバスの用地取得にも政治の介入するすき間があります。
そして、広大なキャンパスと様々な施設の建設には、多くの土木工事業者や建設会社が群がり、ここからもオイシイ汁が吸える・・。
財政がひっ迫する中で無駄な箱物や巨大なインフラ工事が少なくなる日本で、「教育」を言い訳にすれば2兆円の教育国債の発行だって国民は支持します。それが如何に無駄で、結局は文科省と政治家の利権を増やすだけの結果になったとしても・・・。
本当は優秀な学生を政府が援助するシステムを作るだけでイイのですが・・・平等を求める庶民が許さない・・・。