人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

米国債金利の低下・・・利上げの地均し

2015-08-26 04:30:00 | 時事/金融危機
 

■ ようやく反転した株価だが、V字回復とはならずに続落 ■

世界的株安がオーバーシュートに発展するのかが注目されています。昨日の日経平均は一時持ち直したものの、その後再び下落に転じ「落ちるナイフ」を握ってあわや血まみれ・・なんて方もいらしたかも知れません。

一方、ダウは本日持ち直して始まりましたが、後場にかけてダラダラと下落気味・・。結局6日連続の続落で終わっています。今朝の日本市場で反転できるのか・・・GPIFと日銀の踏ん張りどころです。(彼らが空気を読んでいるとのウワサも・・・)

■ 米国債金利が低下しているが・・・ ■

さすがにここまでリスクオフの動きが高まると米国債金利も低下して、10年債金利が2%を瞬間的に切っています。ただこちらも利上げを控え、すわ安全資産の米国債買いとはなり難い状況で、金利が低下するに従って資金流入は停滞するかも知れません。

■ 7月にゆうちょ銀行が米国債を2兆円買い増しした? ■

日銀の異次元緩和でゆうちょ銀行は日本国債を7月に2兆円売却した可能性が指摘されていますが、その資金で米国債が購入された可能性が有ります。

アメリカは利上げを前に米国債金利の上昇を押さえ込む必要が有り、異次元緩和で炙り出された日本の資金や、元安誘導で中国が購入したドルが米国債市場に流入していると思われます。

そして、バーナンキショックの再来とも言える今回のリスクオフで、新興国市場やリスク市場から米国債への資金移動を促しています。

■ 米利上げ前に「日銀追加緩和」のダメ押し ■

中国が景気失速を理由に「追加緩和」に追い込まれていますが、これらの資金の一部はアメリカにキャピタルフライトする可能性が有ります。中国富裕層は元が切り下げられる中で資産保全に走るはずです。

一方、日本の経済も管製相場の日経平均が崩された事でアベノミクスの粉飾が木っ端微塵になりました。年末に掛けては、補正予算は勿論の事として、日銀に対して「追加緩和」の要求が高まると思われます。

「アベノミクスを後退させてはならない。ここが正念場だ」といった「戦中の精神論」の様な理由で日銀が10月末にも「追加緩和」に踏み切る可能性は高いと思われます。

どうして10月末かと言えば、FRBのテーパリングの援護射撃が2013年のハロウィーンだったから。12月の利上げに対して、9月では早過ぎますし、直前では実効性に欠けるのでは無いかと。

FRBや各中央銀行はFRBの利上げに際して、テーパリングのデジャブを見せる事で、市場の安心感を作ろうとしているのでは無いでしょうか。

■ 利上げは資金需給に確実に影響を与える ■

FRBの利上げ幅は極々小さなものになるでしょうから、市場が過剰に反応しない限りは資金需給に大きな影響は与えないでしょう。日銀を始めとする「さらなる量的緩和」がこれをサポートします。

問題はFRBが利上げ後に金利を正常化できるかどうかです。金利が徐々に正常化される過程で、ゼロ金利で成り立っていた資金需給が耐えられなくなるはずです。どこかの時点で資金の巻き戻しが起きた時、一番リスクが軽視されていた市場がから連鎖的に崩壊が始まり、リーマンショック以降の「超緩和的金融政策バブル」が終焉を迎えます。

2017年頃かと妄想していましたが、ジム・ロジャースは2016年中になるかも知れないと発言しています。

■ 陰謀論の悪い所は、「悪い事を期待してしまう」こと ■

いずれにしても短期的には強気ですが、中期的には弱気・・・

ただ、私の様な陰謀論者は「悪い未来を期待する」傾向が強いので、現実よりもリスクを過大に評価する傾向が強いかと思います。通常は市場はもっと楽観的で、その楽観を受け入れられる人達が利益を拡大します。

まあ、そんな悲観的な私ですが、今回の世界的株安に対しては「楽観」しています。

その理由は単純で、「まだまだ色々と仕掛けが残っている」から。せっかく色々仕込んでいるのですから、花火大会の暴発で終わるのはツマラナイ。

注目点は中国を巡る東アジア情勢。日本が集団安全保障体制に参加できる状況が整うまでは、危機の引き金は引かれないと見ています。