ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

デューラー ‐ 美術史美術館(2)

2016年04月27日 |  ∟オーストリアの美術館

 ※ オーストリア/ウィーン美術史美術館編 ‐ 中欧美術館絵画名作選(20

 北方の名画三作品から出発したウィーン美術史美術館。
 レンブラント(1606-1669/オランダ絵画黄金期)に次いで二作目は、ドイツ・ルネッサンスの巨匠アルブレヒト・デューラー(1471-1528 )の 「ランダウアー祭壇画」、別題 「聖三位一体の礼拝」(上)。

 本祭壇画は、サン・ピエトロ大聖堂の建築のため、免罪符を乱発するローマを糾弾する宗教改革前夜、ニュルンベルクの商人ランダウアーが創設した養護施設・十二人寮の祭壇のために発注されたという。

 二度ヴェネツィアへ留学、<ベッリーニ>(1433-1515/初期ルネサンス・ヴェネツィア派)などの画家と交友を持ったデューラー、同派の特徴である均整の取れた人体表現、明るい色彩の人物像を絵画の中心に据えたとされている。

 主題は、<マザッチョ>(1401-1428/初期ルネサンス・フィレンツェ派)が、絵画至上初となる幾何学的遠近法を作品中の建築空間へ適応したことで知られている “ 聖三位一体 ” 。

 本作では、上段中央に父なる神、御子キリスト、聖霊を表す白鳩の三位一体を置いている。

 その上段右手には旧約聖書に登場する諸人物、左手には棕櫚の枝を持つ新約聖書でキリストに従う諸聖人など、神によって選ばれし人々が。

 また、下段には青い三重冠を被る教皇と金の王冠を被る皇帝に率いられた現世の人々の姿があり、灰色の被り物の寄進者ランダワーは、赤い僧服の枢機卿の広げた手によって人だかりの中で迎えられている。

 父なる神の衣を神の使者である諸天使が広げ、磔にされたキリストを支える構図は “ 恩寵の座 ” と呼ばれ、当時のドイツ特有の図像とされているのだそうだ。

 当時のドイツでは祭壇の後方上部に祭壇衝立が置かれ、その衝立中央の本体部は厨子に納められた木彫で、翼部は板絵で構成されるのが一般的だったとか。

 彼は、“ ニュルンベルクのアルブレヒト・デューラーが、聖母の御出産後1511年にこれを制作した ” という銘文を手にする自身を画面右下部に描き(中)、祭壇画における画家の優位を強く主張したとされている。
 とまれ、<生意気デューラー>の本領発揮というところか?

 ところで本作、祭壇画のイメージや絵の構成から、かなり大きな作品と 「勝手に思い込んでいたの」だけれど、写真(下)からも見て取れるように、意外にも小振り(135×123.4cm)で驚かされた。
 大きく見せさせるのも 「デュラーの実力だろう」と、変なところで感心した。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1125

 ※ 「美術史美術館(1) ‐ レンブラント」へは、<コチラ>からも入れます。


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