ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

酸っぱい梅干

2010年12月15日 | 日記

 随分と昔、写真雑誌のさきがけとも言える、朝日グラフという週刊誌があった。
 芸能人などを隠し撮りするといった類の物ではなく、朝日新聞や週刊朝日のビジュアル版のような存在だった。

 その朝日グラフに、「我が家の食卓」という連載物があった。
 文人墨客を始め芸術家など各界の著名人が、家族と食卓を紹介する巻末記事だった。

 登場人物は、押しなべてPhoto_2垢抜けした服装で、初めて聞く料理の前でポーズを作っていた。
 時代は高度成長期に差し掛かった頃だったが、多くはまだまだ貧しく、田舎から出てきたばかりのペトロには、「へ~っ、こんなハイカラなもん食べてるんや!」と目に眩しかったことを覚えている。

 そんな折、作家の遠藤周作がこのページに登場した。
 幼い頃にカトリック夙川教会へお母さんと一緒に通った人で、その意味で作品とは別の親近感がある。

 余談はさておき、その日紹介された彼の食卓には、なんと、梅干と丸干しが二匹載っていた。

 この作家、神と信仰の意義を書いた「沈黙」、神なき日本人の罪意識を問う「海と毒薬」など、キリスト教をテーマに多くの佳作を著す一方、自ら狐里庵と称し、「周作口談」や「狐里庵閑話」など、軽妙洒脱な掌編も残している。

 Photo_3で、その号の食卓風景も狐里庵先生の諧謔な一面を窺わし、写真もさりながら添えられた文章も面白かった。

 ところで梅干といえば、カタリナ のお茶の仲間にWさんという方がおられる。
 この方から度々、大好物の梅干を頂戴し、とても喜んでいる。
 最近の梅干、蜂蜜入りの少し甘い物が主流。厚かましくも、「酸っぱい方が・・・」とちょっぴり我侭を言ったら、カタリナ、なんと当のWさんにそのことを話したらしい。

 気立てのいい方なのだろう、笑いながら、「判りました」と言って下さったらしいが、それを聞いてしばし絶句、冷や汗が出た。
 朝日グラフの遠藤さんちではないが、今朝の我が家の食卓、大粒の酸っぱい梅干と三匹のうるめの丸干しが乗っていた。冷や汗を拭いながらも、美味しく頂いたのは言うまでもない。

 今年も余すところ僅か、カタリナ朝早く、「気忙しいこと」と言いながら、あたふたと研修会へと出かけた。

 今週の朝日俳壇  日陰なる力まとひて実万両 (東京都・岩崎玲子さん/金子兜太選)が印象に残った。
 写真の万両や山茶花など、<大谷記念美術館>の庭園で撮った。

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