※ オーストリア/ウィーン美術史美術館編 ‐ 中欧美術館絵画名作選(27)
17世紀初めアントワープを統治していたハプスブルク家アルブレヒト7世に宮廷画家として仕えたピーテル・パウル・ルーベンス(1577-1640)の二回目。
まずは、その彼の寓意画 「四大陸」(上)から。
主題は、四大陸とその地を代表する河川を一対の河神と女神で表現したのだとか。
少し絵解きをすれば、画面左手、舵を手にする河神と女神はヨーロッパとドナウ、黒人の女神と麦の穂の冠の河神はアフリカとナイル。
そして、その隣に配される唐辛子の冠を付けた河神と女神は秘境の地アメリカとアマゾン、虎を従えた河神と女神はアジアとガンジスを意味しているンだって。
彼がこの寓意画を描いた当時はオセアニアは未発見。
で、四大陸を河神と女神に託し表されても 「それが何なの?」と思わないでもない。
同様に説明して貰わなければお手上げの 「ヴィーナスの饗宴」(下)も架る。
美術書によれば本作、“ 三世紀の書物イマギネスの中のニンフ・妖精が建設したヴィーナス像の周りで林檎を取りながら戯れるキューピッドを典拠 ” としているとか。
イタリアでヴェネツィア派から色彩表現を学び、巨匠ティツィアーノ(1488-1576/ルネッサンス)の 「<ヴィーナスへの捧げもの>」(プラド美術館蔵)を模写したというルーベンス。
それに、古代ローマで毎年4月1日に行われた女たちによる祭事 「ウェヌス(ヴィーナス)・ウェルティコルディア(心を変えるウェヌス)祭」の描写を加えたのだそうだ。
夥しいキューピッドとともに祭で登場する人妻、花嫁、娼婦がそれぞれ描かれた本作。
それは、中央のヴィーナス像を清める女性と像の前で香を焚く女性であり、像に最も近寄り鏡を捧げようとする女性である。
そして、右端では処女性を示す人形を捧げに訪れた女性が描かれてい、拡大して貰えばそれが何なのか、えっ、説明されても珍紛漢紛だって、さもありなん!
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1142
※ 「美術史美術館(8) ‐ ルーベンス」へは、<コチラ>からも入れます。
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