雪こそば 春日(はるひ)消(き)ゆらめ 心さへ 消え失せたれや 言(こと)も通(かよ)はぬ
(万葉集九巻1782/柿本人麻呂歌集の麻呂が詠める歌)
寒さ暑さも彼岸まで、明日(3/17)はその春のお彼岸の入です。
ニュースの天気予報氏、関西でも最終週辺りには開花、月も明ければお花見頃と話していました。
卒業式もこれから本番、春は別れと新たな出会いの季節でもありますねえ。
サラリーマンのお父さんも人事の時期を迎え、今年辺りは・・・と思っておられる方、何かと気持ちが落ち着かない日が続いているのではないかと拝察します。
サラリーマンには転勤はつきものですが、そこでは一喜一憂、悲喜交々、哀感もあるようです。
中にはむしろ希望するような奇特な人もいるようですが、大概のお父さんにとってやはり一番辛いのは単身赴任でしょうか?
外食チェーン店や終夜営業のコンビニなど、往時に比べれば随分と暮しやすくなったようです。
が、やはり二重の生活は大変、仕事VS家庭、厳しい選択を迫られることも往々ですよねえ。
ところで、表現は穏当じゃないかも知れませんが、こんなある意味で非人道的なこと、昔からあったようです。
過日(3/12)の朝日夕刊の “ 万葉こども塾 ” に面白い話が載っていました。
記事は、“ 天皇から単身赴任の夫と妻との贈答の歌を詠め ” と命じられた歌聖柿本人麻呂、まずは赴任中の麻呂さん、この麻呂、今の太郎ほどの言葉らしいですが、その麻呂が戯(ざ)れて詠んだとしたのが冒頭の歌、というようなことが載っていました。
さらに、“ 雪だったら春の日に融けて消えてしまうけれど、なのにお前は心まで消えてしまったのか、便りひとつよこさないとは ” との歌意に続いて、“ 優しさを覗かせ乍ら少し妻を牽制したのですが効果は裏目に ” と、ここまで進んで以下は次回に、とありました。
せっかちな酔狂、悠長に次回を待っておれません。
で、勝手に先に進めば、麻呂さんの妻、“ そんなに鈍感な人でもないでしょうに、京に行ったまま帰って来やしない、麻呂という人は、まったく、もう・・・ ” と、返したのが次の歌。
松返(がへ)り しひてあれやは三栗(みつぐり)の 中上(なかのぼ)り来ぬ 麻呂といふ奴(やつこ)
(万葉集九巻1783/柿本人麻呂歌集の麻呂の妻の返歌)
ちなみに、松返りは鈍感の意の「しひ」の枕詞、三栗は中に実が三つあるので「中」を導く言葉だそうですよ。
さすが歌聖、巧みなものですが、贈答歌から窺えることは昔も今も少しも変わらない・・・と、いうことのよう。
とまれ、単身赴任のお父さん頑張って! 愛する家族が応援してるから、せっせとメールをしましょう、ねっ!
陽気に誘われて 「オステオ」、和名 「アフリカ金盞花」(上)と 「<クレマチス>」(下)も綻び始めました。
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1107
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます