※ ドイツ/ドレスデン国立美術館編 ‐ 中欧美術館絵画名作選(10)
レンブラント・ファン・レイン(1606-1669/オランダ絵画黄金期)の三回目。
その彼の、ギリシャ神話に登場するガニュメーデースが、神々の給仕にされるため誘拐される場面を描いた 「ガニュメデスの誘拐」(上)が今回の作品。
ローマ神話ではユピテルとも称されるゼウス。
そのギリシャ神話の最高神ゼウスが鷲に姿を変え、イリオスのトロイア王国、今のトルコ北西部にあったとされている。の建国者トロースの息子で、絶世の美少年とされたガニュメーデースを酒注ぎとして天へ誘い、天上へ飛び立つ瞬間が切り取られている。
レンブラントは、ガニュメデスの表情や怖さの余りに放尿してしまう姿など、聊かユーモラスな場面描写を用いている。
ところで本作、画面に微かに残されているが、近年の修復によって画面左下、ユピテルに連れ去られるガニュメデスを、必死に追いかける母親の姿が描かれていたことが判明したという。
もう一枚は旧約聖書の土師記、サムスンとデリラの物語から。
その中の一場面を描いた 「結婚式の客に謎を出すサムソン」、単に 「サムソンの結婚」(下)。
主題は、旧約聖書の土師記に登場するサムスンとデリラの物語だが、本作では、盛期ルネッサンスの巨匠ダ・ヴィンチ(1452-1519)の 「<最後の晩餐>」(ミラノ/サンタ・マリア・デレ・グラツィエ教会)の影響が見て取れるという。
レンブラントが描いたのは、ペリシテ人の女に恋をしたサムソスンが結婚式で、招待した花嫁側の三十人のペリシテ人客に謎なぞを出す場面。
ちなみに、サムソンとは、四十年間ペリシテ人によって支配されていたイスラエルで、ダン人のマノアと不妊の妻との間に生まれた無双の勇士のこと。
ペリシテ人からイスラエルを救う先駆者となったサムソン。
ペリシテ人の娼婦デリラと恋仲となり、怪力の源が頭髪であることを教えてしまったためにペリシテ人に捕らえられ、その頭髪を剃られ両目を潰される。
その場面を彼は 「ペリシテ人に目を潰されるサムソン」(フランクフルト/<シュテーデル美術館蔵>)として描いてい、いずれこの中欧絵画名作選のどこかで登場する予定なのだが、さて、如何なることやら。
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1106
※ 「続・レンブラント ‐ アルテ・マイスター(7)」へは、<コチラ>からも入れます。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます