汗みずくになった<秋篠寺>からの帰り道、たまらず大和西大寺駅までバスに乗った。
古都散策などと粋がっておれるのは、季節のいい時期だけのことのようだ。
<万葉荘>に近い停留所でバスを降りると、その傍らに新薬師寺まで400mの看板が。
約束をした5時まで30分ほどあり、さっと行けば間に合うと思ったのだが、看板に偽りあり?歩いても、歩いても道は続くように思えた。
ようやく南門に着いたものの、チケット売り場が閉まっている。
売り場から出てきたおばさん、「5時で閉めるんですけど・・・。遠い所から?」と訊く。
西宮から来たことを告げ、「また来ます」と答えると、暫く黙した後、親切にも「10分しかないけど駆け足で」と言い、拝観料を払おうとすると、「お賽銭を少し・・・」と中に入れて下さった。
十二神将とは、薬師如来および薬師経を信仰する者を守護するとされる武神、この新薬師寺の塑像が最古のものらしい。
この寺の十二神将と対面するのは何年振りだろうか?
初めてここを訪れた頃、周りは田んぼが広がり、崩れかけた土塀が本堂(写真上)を寂しく囲んでいたことを思い出す。
今、南門と踵を接するように新しい住宅が混み合い、高円山の麓、萩の寺・白毫寺(びゃくごうじ)に続くらしい道路を挟んで僅かに田んぼが残るだけ。
話は戻って、薄暗いお御堂の真ん中、円壇のご本尊薬師如来坐像を囲む十二の神将、いずれも甲冑を身に纏い厳つく虚空を睨む。
とりわけ有名なのが、髪を逆立て目を見開いて怒号する伐折羅(ばさら)大将像(写真下)。
この日も、激しい怒りもあらわに圧倒する力強さで立っていた。
僅か10分足らずの拝観だったが、感謝の気持ちで幾ばくかを置き辞した。
大和をこよなく愛したという写真家・入江泰吉さんの写真美術館の前辺りから雨が落ちてきた。
日傘を持っていたが、濡れる? のが嫌で差さずに歩いていたら、すれ違う人が薄く笑っていたような。
Peter & Catherine’s Travel Tour No.377
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