8月最後の週末、お盆に少し遅れて墓参りに行った帰り道、時間が余ったので寄り道をすることにした。
カタリナ、兵庫陶芸美術館で、「特別展をしている筈なんだけど」と言い、今田(こんだ)町へと向かった。
左右から山列が迫り南北に細長く延びる “ 丹波焼の郷 ”
真ん中を流れる四斗谷川に沿って走る国道側の山裾に多くの窯元が並ぶ風景、昔と少しも変わっていない。
ただ、川向かいの山肌に、「県立陶芸美術館」(写真上)や窯元の即売品が並ぶ窯元横丁などが入る「陶(すえ)の郷」が建って、少し様相を変えたようだ。
美術館では、「ひょうごの古陶遍歴展」が開かれていた。
閉展まで余すところ数日というこの日、自分たちのことは棚に上げて、「こんな鄙びた郷の美術展になんで?」と思うほどの人が来館していた。
瀬戸、常滑、信楽、備前、越前と並んで日本六古窯のひとつとされる丹波焼。
多くは壷や甕、すり鉢など生活雑器が主体だったが、江戸時代になってから、茶入れ、水差、茶碗など茶器に名品を生み出すようになったと「小冊子・丹波焼紀行」にあった。
展覧会は、地元の丹波焼から始まり、青磁など染付け色絵などの摂津の三田焼、濃厚な色彩の淡路の�槙平焼、姫路藩の藩窯として手厚い保護を得た播磨の東山焼など、そして、白磁の但馬の出石焼が展示されていた。
室町時代に焼かれた「丹波」の壷(写真下左)や花入れは、素朴な風合いが枯淡の景色を見せ、深い印象を得た。
江戸時代に入ると、花鳥文の染付け(写真下右)や白地など洗練されたものや、耳付花入や筒型の水差など意匠に工夫が見られるようになったらしく、垢抜けた作品が並んでいた。
展示室に並べられた徳利や味噌壷、生家の物置に埃にまみれて転がっていたような気もして、戯れて「ひょっとしてかなりの値が?」と口にしたら、「寝惚けたことを!」と一笑された。
Peter & Catherine’s Travel Tour No.378
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