※ オランダ ‐ デン・ハーグ/マウリッツハイス美術館編(4)‐ ベネルクス美術館絵画名作選(4)
光と影の魔術師レンブラント・ファン・レイン(1606-1669)、ここマウリッツハイス美術館に小体な宗教画が架る。
その絵とは、新約聖書に画想を得た「キリストの神殿奉献」(1631年/61×48cm)。
ヨセフとマリアは “ モーセの律法に従い神殿へ奉献するためつがいの山鳩を持ちイエスを連れてエルサレムへ向かった ”(レビ記13章)。
そこには “ 信仰が篤く聖霊が留まり、主が遣わすメシア・救世主に会うまでは決して死なないとのお告げを聖霊から受けていたシメオンという老人 ” がいた。
シメオンは神殿で幼子イエスを抱き救い主であることを宣言、後に降りかかるイエスの受難を予言する場面を描いた本作、主題は “ 聖母七つの悲しみ ”(ルカ2章)の第一留。
ちなみに、七つの悲しみとは、この他に、エジプト逃避、御子の見失い、十字架の道行、昇架と降架、ピエタ・悲嘆、そして埋葬。
ところでレンブラント、本作から十三年後、関連性を疑うべくもない一枚の絵を描いている。
その絵とは、同じく新約聖書に画想を得た「キリストと姦淫の女」(1644年/84×65.5cm/ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵)。
守旧派の律法学者やファリサイ派の人々が姦通の現場で捕らえられた女を連れてきて、“ こういう女は石で打ち殺せとモーセは律法の中で命じています、あなたなら・・・ ” とイエスを試す。
イエスは、“ あなたたちの中で罪を犯したことのない者が、まず、この女に石を投げなさい ” と答え、これを聞いた律法学者たちは一人、また一人と立ち去る ”(ヨハネ8章)という場面。
彼自身の黄金の時代とされる1632年から42年、その初期と末期に描かれたふたつの絵。
共通するのは、大きな空間構成の巧みさ、劇的にあてられた光による物語性と豊かな表情である。
できれば拡大してご覧下さい、長辺が1mにも満たない小さな絵が、あなたを神聖な場所へと誘ってくれることでしょう。
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1470
※ 小編は、2014-06 に投稿した記事をリライト、再投稿したものです。
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