まだき春、素晴らしい天気の日だった、兵庫県立美術館に、<小倉遊亀回顧展>を見たのは。
同館で7月19日まで、31日間の短期御用達? として、「麗子登場!名画100年・美の競演展」が開かれていて、夏至の翌日、梅雨の晴れ間を縫って久しぶりに覗いた。
リーフレットには、「公立の近代美術館として、一番目と二番目に開館した神奈川県立近代美術館と兵庫県立美術館。初めての試みとして二館のコレクションを有機的に関連させながら日本近代美術史を回顧」とある。
それで、東の神奈川は、高橋由一、松本竣介、藤田嗣治、片岡球子など。
対する西の兵庫、本多錦吉郎、岡田三郎助、小磯良平、東山魁夷などを揃えて競わせる。
企画展の構成は、彫刻は別として第一章の「洋画の黎明期」に始まり、第二章から第四章までの「大正期」「昭和・戦前」「戦争期」、そして、第五章の「戦後」を経て、最終章で「日本画の名品」と、カテゴリー毎に東西の作品を並べる。
では、主催者が目論んだ対決とは?
黎明期では、東の高橋「江の島図」と西の本多「羽衣天女」。
大正期は双方とも岸田劉生で、東は「童女図(麗子)」、西は「樹と道」(写真上)。
昭和・戦前では、東の松本「立てる像」と西の小磯の「斉唱」、日本画の名品では、東の山口蓬春「宴」と西の魁夷「谿紅葉」など。
ペトロ が足を止めたのは、八重洲口を水平と垂直の硬質な構図で切り取った「橋・東京駅裏」の松本竣介。
目が見えぬ黒い鳥を描いた加山又造の「凍る日輪」(写真下)、微妙な陰影と細い線のみで肉体の重みを表現した藤田嗣治の「二人裸婦」。
東ばかりで残念だが、西は何度か目にしていて鮮度? が少々劣るのは仕方がない。
ただ、ひねくれペトロ、山下摩起の対画「春」と「秋」に印象を得た。西が所蔵しているので何かの折に、それも時間があればどうぞ。
ところで、カタリナ 加山又造の絵やリトグラフに関心高く、《黒い鳥》 の一枚が架かっているのを知り、「えっ、それだけでも見る価値がある!」と悔しがるのを横目に、「一緒に行きましょうとお誘いしましたのに!」と涼しい。