さて、校則違反を繰り返しながら映画を見続けた私は、浜田から江津の青山中学校に転校した。この時もまだ映画に関しては好きな映画を見ることは禁止されていたので、早く自由に映画を見ることが出来る高校生になりたかった。
話は少し脱線するが、中学一年生のときの遠足が益田市だった。
医光寺、万福寺、最後が幡竜湖の予定だった。
お弁当を作ってもらい楽しみにしていた遠足は、降る雨にもかかわらず決行された。都野津駅から益田駅まで汽車で行き、益田駅で石見観光のバスが待っていて、バスガイドさんの案内で(バスガールじゃないのが残念だった。)お寺回りをした。エンタシス(まるで酒樽のように真ん中が太くなっている)の柱の案内をよく覚えている。
雨はやむ気配がない、その時の担任のK先生が粋な計らいをしてくれた。
幡竜湖観光を中止して、映画を見せてくれたのだ。石見館で題名も内容もはっきり覚えている。松竹映画「春を待つ人」と東宝映画「鉄腕投手稲尾物語」の二本立てだった。
久しぶりに味わう映画館の雰囲気、暗闇の空間で、耳にとても心地よい、セリフの響き、臨場感たっぷりの音楽、油と、床のコンクリと、お手洗いの消毒液のクレゾールのにおいと、緞帳の埃の匂いと入り混じった、湿っぽい館内にワクワクした。
心地よかった。この頃は、映画の内容がどうのこうのじゃなくて、闇の中のスクリーンに突然浮かび上がる映画という見世物そのものが好きだったのだと思う。その暗闇の空間の中で、私の知らない未知の世界に誘(いざな)ってくれるそのことが無性に楽しかったのだ。
話は戻るが、その後今に至るまで映画は私の暇の友なのだが、よく人に聞かれる。「こんなに映画を見て、人生感を変えた一本てある?」
今まで自慢じゃないが、ぼうふらのようにふらふらと生きる指針もハッキリせず、自分がいいと思ったものに勝手にすり寄って生きてきたから、この一本で人生を左右されたと言うような劇的で強烈な体験は持ってないが、大好きな何度見ても唸るような映画は数本ある。
その一つが今更ながらに思うことだが「七人の侍」だ。これは凄い。(もしかしたら私の生涯の№1かも・・・)
ただ単純に面白いだけではなくて、この映画を見たものに素晴らしさが乗り移って、この映画について語らずにはおかなくするのだ。半世紀近くたっても、何度見ても、人々の心を揺り動かす不滅の生命力を持っている映画だと思うのだ。
私は何か悩みがあるときとか、もやもやした時にはこの映画を見るようにしている。たちまちやる気がおきる不思議な映画なのだ。
先日も暇な木馬のカウンターで今この映画をリメイクするとしたらどういうキャスティングになるかという話になった。
監督は絶対にタケシがいいとトンボが言った。これに異存はないみたい。
志村喬の勘兵衛が意見が分かれる。役所広司がいい、長塚京二は?とか、加藤大介の役は前田吟だね。とか・・稲葉義男の役は劇団一人、宮口精二の役は、イッセイ尾形だね、千秋実の役は、渡辺いっけい、しの役はう~ん松たたか子?
木村功が誰?
菊千代三船の役でみな悩んだ。お尻丸出しであの農耕馬のような太もも、泥だらけになってお尻丸出しで土砂降りの泥の中で倒れていた菊千代、これに当てはまる俳優は見当たらない。あっさりジョニデでは?
こうやって、半世紀たった今も場末のカウンターで楽しく遊ばせてくれる「七人の侍」渋いじゃないの、凄いじゃないの・・・
このような映画に出会えたこの時代に生きていることがほんと、嬉しい。
このシリーズはまだ続く。
雨 後曇り、24℃ 秋だわ!
話は少し脱線するが、中学一年生のときの遠足が益田市だった。
医光寺、万福寺、最後が幡竜湖の予定だった。
お弁当を作ってもらい楽しみにしていた遠足は、降る雨にもかかわらず決行された。都野津駅から益田駅まで汽車で行き、益田駅で石見観光のバスが待っていて、バスガイドさんの案内で(バスガールじゃないのが残念だった。)お寺回りをした。エンタシス(まるで酒樽のように真ん中が太くなっている)の柱の案内をよく覚えている。
雨はやむ気配がない、その時の担任のK先生が粋な計らいをしてくれた。
幡竜湖観光を中止して、映画を見せてくれたのだ。石見館で題名も内容もはっきり覚えている。松竹映画「春を待つ人」と東宝映画「鉄腕投手稲尾物語」の二本立てだった。
久しぶりに味わう映画館の雰囲気、暗闇の空間で、耳にとても心地よい、セリフの響き、臨場感たっぷりの音楽、油と、床のコンクリと、お手洗いの消毒液のクレゾールのにおいと、緞帳の埃の匂いと入り混じった、湿っぽい館内にワクワクした。
心地よかった。この頃は、映画の内容がどうのこうのじゃなくて、闇の中のスクリーンに突然浮かび上がる映画という見世物そのものが好きだったのだと思う。その暗闇の空間の中で、私の知らない未知の世界に誘(いざな)ってくれるそのことが無性に楽しかったのだ。
話は戻るが、その後今に至るまで映画は私の暇の友なのだが、よく人に聞かれる。「こんなに映画を見て、人生感を変えた一本てある?」
今まで自慢じゃないが、ぼうふらのようにふらふらと生きる指針もハッキリせず、自分がいいと思ったものに勝手にすり寄って生きてきたから、この一本で人生を左右されたと言うような劇的で強烈な体験は持ってないが、大好きな何度見ても唸るような映画は数本ある。
その一つが今更ながらに思うことだが「七人の侍」だ。これは凄い。(もしかしたら私の生涯の№1かも・・・)
ただ単純に面白いだけではなくて、この映画を見たものに素晴らしさが乗り移って、この映画について語らずにはおかなくするのだ。半世紀近くたっても、何度見ても、人々の心を揺り動かす不滅の生命力を持っている映画だと思うのだ。
私は何か悩みがあるときとか、もやもやした時にはこの映画を見るようにしている。たちまちやる気がおきる不思議な映画なのだ。
先日も暇な木馬のカウンターで今この映画をリメイクするとしたらどういうキャスティングになるかという話になった。
監督は絶対にタケシがいいとトンボが言った。これに異存はないみたい。
志村喬の勘兵衛が意見が分かれる。役所広司がいい、長塚京二は?とか、加藤大介の役は前田吟だね。とか・・稲葉義男の役は劇団一人、宮口精二の役は、イッセイ尾形だね、千秋実の役は、渡辺いっけい、しの役はう~ん松たたか子?
木村功が誰?
菊千代三船の役でみな悩んだ。お尻丸出しであの農耕馬のような太もも、泥だらけになってお尻丸出しで土砂降りの泥の中で倒れていた菊千代、これに当てはまる俳優は見当たらない。あっさりジョニデでは?
こうやって、半世紀たった今も場末のカウンターで楽しく遊ばせてくれる「七人の侍」渋いじゃないの、凄いじゃないの・・・
このような映画に出会えたこの時代に生きていることがほんと、嬉しい。
このシリーズはまだ続く。
雨 後曇り、24℃ 秋だわ!