乙女高原ファンクラブ活動ブログ

「乙女高原の自然を次の世代に!」を合言葉に2001年から活動を始めた乙女高原ファンクラブの,2011年秋からの活動記録。

訪花昆虫調査 5月

2024年05月18日 | モニタリング調査
 参加された渡辺さんがレポートを書いてくださいました。
 指導してくださった高槻さん、ありがとうございました。この日、高槻さんに乙女高原フェロー認定書をお渡ししました。

 花と昆虫の関係を知るために、乙女高原では定期的に花に来る昆虫の調査をしています。結果、シカ柵設置後に花の増加と連動して昆虫も増加したことなど、多くの貴重なデータを得ることができました。データの取得は手間と時間がかかる作業なので調査の参加に二の足を踏んでいましたが、乙女高原の生物多様性を維持するためには必要な活動だと考え、今回初めて参加することにしました。

 今回の調査の参加者は6名です。ロッジ前であいさつをして2名ずつのグループに分かれ、それぞれ、森、草原、ツツジの各コースを担当します。私は初めての参加なので、ベテランの植原さんと一緒に、記録方法を教えてもらいながら、草原のコースで活動することにしました。ロッジ前の気温は10時時点で17℃、日差しは強く感じることはないので作業は快適に進められそうです。

 草原のコースの調査範囲はシカ柵のゲートから草原の斜面の最上部までの約350mの区間です。距離の測定で使用する巻き尺が100mなので、草原のコースを下部、中間部、上部に区分し、区分した各遊歩道の左右2m以内の範囲を観察し、花を訪れていた虫がいた場合には、「測定起点からの距離」「花の種類」「虫の種類と頭数」を記録します。虫の種類までの判別が難しい場合には、例えば「甲虫」などわかる範囲で記載します。植原さんが観察係、私が記録係を分担し作業を進めることにしました。

 まずは下部から調査を始めます。5月中旬なので、まだ草原に咲く花の数や種類は少ないのですが、それでも花の蜜を求めて虫が集まってきます。「キジムシロ」「ミツバツチグリ」には「甲虫」が多く集まり、「ハエ」「ハチ」「アブ」「ガ」は少数派です。

甲虫の種類では、ほとんどが「モモブトカミキリモドキ」または「ルリマルノミハムシ」でした。せっかくの機会なので、甲虫の特徴を後でじっくり観察するために数頭だけ捕獲しました。

今回は花や虫が少ない時期なので記録頻度が高くなく、作業としては忙しくなかったのですが、虫が多い夏場は大変だろうなと思いました。実際、植原さんは夏場に観察と記録を一人でやったことがあるそうで、その時の感想を「居残りで宿題をやらされている感じ」と表現していましたが、まさにそうかもしれません。

 中間部の調査でも、虫が訪れる花は「キジムシロ」「ミツバツチグリ」のみで、虫も「甲虫」「ハチ」「アブ」「ガ」と下部と似たような傾向です。花には「クモ」もいましたが、目的は花ではなく、花に近づく虫の捕食が目的の可能性が高いと判断し、記録には入れませんでした。記録には残りませんが、「クモも生きるためにいろいろと知恵を絞っている」ことは記憶に残ることでしょう。中間部での調査が終わる頃になるとおなかがすいてきました。時計を見ると間もなく12時になります。一生懸命だったので昼食のことを忘れていたのですが、体の反応は正直です。上部の調査を残して、昼食のため一旦ロッジへ戻ることにしました。

 他のメンバーもロッジに戻ってきたので、日陰のテーブルで昼食にしました。昼食後はいつものようにお菓子やフルーツの差し入れを口に運びながらのおしゃべりタイムです。植原さんが、調査中に捕獲した「甲虫」をテーブルに出し、「モモブトカミキリモドキのオスは足の付け根が太い」とか「ルリマルノミハムシのジャンプ力がすごい」など興味深い話をしてくれました。ロッジ前に「シカの頭骨」が放置されていました。おそらくキツネなどの動物が運んできたものでしょう。興味のない人にとっては「無理っ」と目をそむけたくなる光景でも乙女高原ではごく当たり前のことなのでだれも驚きません。早速、植原さんと高槻先生は、頭骨を前にして座り込み、検視官の如く調べていました。あまり長く休憩すると残りの調査に影響が出そうなので、話の区切りの良いところで腰を上げ、各々のコースへ向かいました。

 草原のコースの上部では、「ミヤマニガイチゴ」「キジムシロ」「ミツバツチグリ」に「甲虫」が訪れていました。その他に「フデリンドウ」「サクラスミレ」も咲いていたので虫が来ないか期待していたのですが、叶いませんでした。草原のコースの上部の調査は14時前に終了しました。

 ロッジに戻る前に展望台へ一人で富士山を見に行きました。富士山はやや霞んではいましたが良く見えました。森のコースを下り、植原さん、井上さんと合流し、初春から観察継続中の「植物の芽」を観察しました。芽や葉が大きくなるにつれ、植物の種類の判別に自信が持てるようになってきましたが、依然としてわからないものも多くあり、花が咲くまで楽しみは尽きそうにありません。観察を終えロッジに戻って機材の片づけた後、記念写真を撮って解散しました。

 今回の調査では、花や虫の数が少なかったので、6名の人数でも当日だけで調査を終えることができましたが、夏の調査では、さらに多くの人と時間が必要だと感じました。花と虫の関係を知るだけでなく、虫の営みを直接見たり知ったりすることができる絶好の機会なので、ぜひ多くの人に調査に参加してもらいたいと思います。

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