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乙女高原ファンクラブ活動ブログ

「乙女高原の自然を次の世代に!」を合言葉に2001年から活動を始めた乙女高原ファンクラブの,2011年秋からの活動記録。

マルハナバチ調べ隊 (今年2回目。今年は調査を始めて15年目)

2017年08月05日 | マルハナバチ調べ隊

今年1回目のマルハナバチ調べ隊は6月25日。朝は雨でしたが、結局1日曇という空模様。そんな中でのラインセンサス調査で1頭も見ることができませんでした。
 こんなに花が増えたのにどうして?・・・と思いましたが、夏に期待することにしました。

 8月5日、朝早く乙女へ行き、調べ隊の準備をし、参加者を待ちました。参加者は13人。中学生になったさくやくんも来てくれました。乙女高原フォーラムで作文を読んでくれた子です。



 今回は正規のパターンで開催できました。正規パターンとは、①紙芝居を活用してマルハナバチの紹介→②ラインセンサス調査→昼食→③待ち伏せ調査→④調査のまとめ(速報値の報告)です。

 まず紙芝居。ベンチを並べ替えて、野外劇場みたいにして行いました。今回は「マルハナバチのヘー」も取り入れました。
マルハナバチという名のスポーツメーカーがあります → ヒュンメル http://logostock.jp/hummel/
マルハナバチはハリーポッターにも登場します → マルハナバチは英語でバンブルビー。この古語は○ンブル○ア・・・など。



 そして、ラインセンサス調査に出かけました。同時間かけて同コースを歩いて、出会うマルハナバチを記録して、過去のデータと比較するというものです。結果は48頭。昨年8月が79頭でしたから、かなり少ないです。今年は去年と比べても花の数が多いので、期待していたのですが・・・なかなか思い通りにはならないものです。一つ思い当たるのが、今年は春が遅く、なかなか春の花たちに出会えなかったことです。冬眠から目覚めたマルハナバチの女王たちが困ってしまったことが尾を引いているのでしょうか。

●ラインセンサスの結果・・・調査時間62分 マルハナバチ総個体数48
  内 訳
・ノハラアザミに計13 (トラ1、オオ1、ミヤマ10)
・クガイソウ に計10 (トラ0、オオ5、ミヤマ5)
・ヤマハギ  に計 8 (トラ0、オオ0、ミヤマ8)
・タチフウロ に計 5 (トラ0、オオ2、ミヤマ3)
・キンバイソウに計 4 (トラ0、オオ4、ミヤマ0)
・マツムシソウに計 2 (トラ0、オオ0、ミヤマ2)
・キリンソウ に計 2 (トラ0、オオ0、ミヤマ2)
・ヒメトラノオに計 1 (トラ0、オオ1、ミヤマ0)
・ノアザミ  に計 1 (トラ0、オオ0、ミヤマ1)
・シモツケ  に計 1 (トラ1、オオ0、ミヤマ0)
・さくや君のくつにミヤマ1



 このように、花とマルハナバチのマトリックスで見ると、どの花がまんべんなくいろいろな種類のマルハナバチに訪問されているか、とか、どの花とどのマルハナバチの結びつきが強いか・・・といったことが見えてきます。マルハナバチ調べ隊は今年で15年目。膨大なデータがあるのですが、十分に解析し、それをレポートとしてまとめてはありません。ああ、時間がほしい!です。

 お昼をはさんで、午後からは待ち伏せ調査。午前の調査で、この時期、マルハナバチがどんな花に来ていそうか分かったので、それをもとに、自分が待ち伏せする花を決めます。そして、その花(群れている場合もあり)の前で15分ひたすら待ち伏せし、訪れたマルハナバチの種類と行動を記録します。それを2セット行うというものです。ちなみに、午前中の調査も午後の調査も専用のワークシートがあります。また、それぞれの調査結果をまとめるためのシートもあります。

 調査が終わったら帰ってきて、結果を報告してもらいます。それをウエハラがシートに記入し、最終的には、1時間あたりの頭数に換算して比較します。たとえば、参加者の2人がノアザミを調べたら観察時間は合計30分になるので、1時間あたりにするには二人がカウントしたマルハナバチ数を2倍すればいいということです。観察時間が合計1時間なら、数はそのまま。15分なら4倍するといった具合です。

●まちぶせ調査の結果
・ヤマハギ   1時間あたり計31 (トラ4、オオ3、ミヤマ24)
・ウツボグサ  1時間あたり計20 (トラ0、オオ4、ミヤマ16)
・ノハラアザミ 1時間あたり計20 (トラ3、オオ2、ミヤマ15)
・キンバイソウ 1時間あたり計16 (トラ4、オオ8、ミヤマ 4) 
・クガイソウ  1時間あたり計16 (トラ0、オオ3、ミヤマ13) 
・チダケサシ  1時間あたり計10 (トラ0、オオ4、ミヤマ 6) 
・キリンソウ  1時間あたり計 8 (トラ4、オオ4、ミヤマ 0) 
・ノアザミ   1時間あたり計 4 (トラ4、オオ0、ミヤマ 0) 
・タチフウロ  1時間あたり計 4 (トラ0、オオ0、ミヤマ 4) 



さて、この写真。トラマルハナバチが訪れているのは外来種であるメマツヨイグサです。マルハナバチが外来種であるメマツヨイグサに行ってしまうと、本来行くべきはずの乙女高原在来の花には行かなくなってしまいます。問題提起の写真です。

マルハナバチ調べ隊で、またたくさんのマルハナバチ

2016年09月03日 | マルハナバチ調べ隊
9月3日(土)のマルハナバチ調べ隊のレポートを井上さんが書いてくださいました。


 9月の観察交流会は、本年度3回目のマルハナバチ調査隊と兼ねて、9月3日に行った。この日の参加者は芳賀さんのお孫さんの女の子も含めて8名。天気は雲はあるものの晴れて観察日和である。

 10時にロッジ前のベンチの所で植原さんのレクチャー開始。マルハナバチの種類や行動について、調査の方法について話を聞く。その後、皆で草原を歩きながら、どんなマルハナバチがどんな花に来て、どんな行動をしているかを記録するラインセンサス調査を行った。

 今年はシカ柵の効果で、草原内の花が多く咲いている。そのためマルハナバチもたくさんいる。どのハチも忙しく蜜を吸い、花粉団子もつけているのも多かった。ノハラアザミ、タムラソウ、ヤマハギなどに来るハチが多いようだ。ハチの種類ではミヤママルハナバチ(ミーちゃん)が最も多く、次にトラマルハナバチ(トラちゃん)、オオマルハナバチ(オーちゃん)も数頭見かけた。私の記録では1時間ほどの調査で60頭、調査用紙2枚では書ききれないほどだったが、植原さんは68頭見たとのこと。さすがだ。今年はマルハナバチが多い感じはあったが、実際に調査してみると、本当にたくさんいて、嬉しくなった。



 少し早めの昼食をとり、午後から待ちぶせ調査を行った。マルハナバチの来そうな花の所で15分間、どのハチが何をしに来るのかを調査する。これを各自2回行った。私は1回目、花がたくさん咲いているノハラアザミの前で行った。15分間にミーちゃんが15頭、トラちゃんが10頭、次々にアザミの花を移動しながら、蜜を吸っていた。

 2回目はハバヤマボクチの前で調査した。ここにはトラちゃんしか来なかった。大きな下向きの花の中にもぐって、花粉を体にたくさんつけながら、蜜をすっていた。4頭やってきた。ここはツツジのコースへの分かれ道で、タムラソウが群落になっている。アカタテハが長い間、蜜を吸っていたり、2頭のミドリヒョウモンが交尾をしそうな様子を見せたり、たくさんのマルハナバチがタムラソウに来ているのも見ることができた。



 終了後、各自が調べた結果を報告し、植原さんが集計して1時間換算の数を発表した。その結果はノハラアザミにくるのが最も多く、マルバダケブキ、タムラソウにも多く来ることがわかった。

 早めにマルハナバチ調べが終わったので、もう一度草原をひと回りして花などの観察をした。1本のシシウドにキアゲハの幼虫が8匹もいて、花の先まで食べ尽くしてシシウドは丸裸のようだ。この後、この子たちはどこに行くのだろうと心配になった。(ちなみに翌日には下の方の葉の部分に移動していた)きれいな黄緑色で黒とオレンジの模様もはっきりし、そろそろさなぎになりそうな様子であった。

 モリアザミが咲き始め、ハンゴンソウの黄色も目立つ。草原のコースを展望台まで登ると、雲に隠れていた富士山が、頂上をわずかに見せてくれた。

 ツツジのコースから駐車場への遊歩道では、マツムシソウの薄紫色が昨年に比べてぐっと増えた。昔は一面のマツムシソウだったそうだが、何年後かには期待が持てそうな気もする。ススキ、アキノキリンソウ、ワレモコウ、シラヤマギク、ウメバチソウ、ハナイカリなど秋の野の気配を感じさせる花がたくさん咲いていた。とてもきれいな黄色のミーちゃんも見かけた。もしかするとオスのマルハナバチだったかもしれない。数年前に作ったシカ柵の中はオミナエシなど花がとても多いが、今年は柵の外も花が増えて、シカ柵内の花が目立たないくらいだ。本当に花も増えてきて嬉しいことだ。水場の所では、アケボノソウ、アキノウナギツカミ、ミゾソバなどを観察した。 
 
 草原を後にして、湿地のところに寄り道。アケボノソウ、トリカブトが咲いている。トリカブトにはミーちゃんがやってきて、花の中にもぐって蜜集めをしていた。道端のキリンソウの中に、似ているけれどちょっと違うものがあり、ミツバベンケイソウではないかと教えてもらう。花が咲いているのもあり、ここにはミーちゃんが来ていた。(注 写真でトリカブトにきているのはトラちゃんです)



 林道を塩平方面に下る途中で、キバナアキギリ、カワミドリなどを観察する。キバナアキギリにもトラちゃんが入って蜜を集めていた。また自然観察路入口では、フシグロを見つけたり、ナンバンハコベの実やツリフネソウに入るトラちゃんを観察した。さらに下って、セキヤノアキチョウジが咲き始めている所をちょっと歩いてみると、立派なフシグロ、ヒナノウスツボ、ヤハズハハコ、ヤマハハコ、メドハギ、木を覆い尽くす勢いのクマヤナギなどを見ることができた。乙女高原への林道もとてもおもしろいことを再認識した。

 この日の観察で、花とマルハナバチの関係が深いことがよくわかった。小さいヤマハギの花にはミーちゃんしか来ないし、大きなハバヤマボクチの花にはトラちゃん、トリカブトやツリフネソウ、キバナアキギリのような、もぐらなくてはならない花には、ぴったりの大きさのトラちゃんが入り込んでいる。マルハナバチは自分の決めた同じ種類の花を渡り歩く習性があるので、花はマルハナバチにしか入れないような形に進化して、受粉をしてもらい、蜜を与えているのだそうだ。動くことができない花は、きれいな色や形、いいにおいや甘い蜜で虫を誘い、虫を使って子孫を残す。花のすごい戦略には驚くばかりだ。

 たくさんの花とマルハナバチ、その他の昆虫も観察できて、とても楽しく有意義な一日であった。

8月6日のマルハナバチ調べ隊

2016年08月06日 | マルハナバチ調べ隊
 参加者は13名でした。朝からいい天気でしたが、このところ午後から激しい雨に見舞われることが多いので、早め早めに行いました。いつもは午後に行っていた待ち伏せ調査も前倒しして午前中に実施。遠くから雷鳴も聞こえ、心配したのですが、雨に降られることはありませんでした。



 この日、ラインセンサスで79頭と、たくさんのマルハナバチと出会えました。1時間に79頭ですから1分に1頭以上の頻度です。「年に3回マルハナバチ調査をしよう」というマルハナバチ調べ隊を始めて13年になりますが、歴代3位の多さです。うれしくてうれしくて仕方ありません。マルハナバチがたくさんいるということは「その時期にたくさんの花が咲いている」ということだけでなく、「春から秋にかけて、さまざまな花がバトンタッチしながら咲き続けている」ということです。つまり、時間軸も含め乙女高原のお花たち全体の健全な状況を表しているからです。





◎ラインセンサス結果
 1時間(実際は1時間5分でした)かけて、あらかじめ決めてあるコースを歩きながら、見られたマルハナバチの種類・カースト(女王・働き・オス)、花粉団子の有無等を記録する。

総数79
 ・ノハラアザミ   22(トラ17  オオ 0  ミヤマ 5)
 ・ヒメトラノオ   20(トラ 0  オオ15  ミヤマ 5)
 ・クガイソウ    10(トラ 0  オオ 4  ミヤマ 6)
 ・タチフウロ     8(トラ 1  オオ 2  ミヤマ 5)
 ・シシウド      4(トラ 0  オオ 4  ミヤマ 0)
 ・ワレモコウ     3(トラ 0  オオ 2  ミヤマ 1)
 ・コウゾリナ     2(トラ 2  オオ 0  ミヤマ 0)
 ・シオガマギク    2(トラ 1  オオ 1  ミヤマ 0)
 あとは一頭ずつ
 ・トラマルハナバチ  ノアザミ
 ・オオマルハナバチ  オミナエシ、チダケサシ
 ・ミヤママルハナハチ クルマバナ、ヤマハギ、ウツボグサ、シモツケソウ、マツムシソウ





◎待ち伏せ調査結果
 ある花(の群落)の前で一定の時間(15分刻み)待ち伏せし、来たマルハナバチの種類と行動を記録する。最終的には1時間換算で、何頭のマルハナバチが来たかを算出する。

○元データ
 ・ヒメトラノオ 総待ち伏せ時間 60分 トラ 1  オオ26  ミヤマ 8
 ・クガイソウ  総待ち伏せ時間 75分 トラ 9  オオ15  ミヤマ13
 ・ノハラアザミ 総待ち伏せ時間105分 トラ29  オオ 9  ミヤマ11
 ・シシウド   総待ち伏せ時間 30分 トラ 1  オオ13  ミヤマ 0
 ・タチフウロ  総待ち伏せ時間 45分 トラ 0  オオ 1  ミヤマ12
 ・マツムシソウ 総待ち伏せ時間 15分 トラ 1  オオ 0  ミヤマ 1

○1時間換算(概数)
 ・ヒメトラノオ トラ 1  オオ26  ミヤマ 8  計35
 ・クガイソウ  トラ 7  オオ12  ミヤマ10  計29
 ・ノハラアザミ トラ17  オオ 5  ミヤマ 6  計28
 ・シシウド   トラ 2  オオ26  ミヤマ 0  計28
 ・タチフウロ  トラ 0  オオ 1  ミヤマ16  計17
 ・マツムシソウ トラ 4  オオ 0  ミヤマ 4  計 8

マルハナバチ2頭だけ

2016年06月26日 | マルハナバチ調べ隊


林道で、おいしいおいしいモミジイチゴ発見。もちろん、朝食後のデザートにしました。
こんなおいしいベリーが食べられるのも、マルハナバチのおかげです。



ショック!! 乙女高原のシカ柵の出入り口が開いていました。これではシカに中に侵入されてしまいます。くれぐれも閉め忘れに注意してくださいね。



せっかくのマルハナバチ調べだというのに、もうレンゲツツジは終わっていますし、アヤメもがんばって咲いてはいますが往年の数ではありません。「出会えるかなあ」と心配しながらラインセンサス調査に出発しました。



結局、アヤメの蜜を吸いに来ていたトラマルハナバチの働きバチ一頭と、葉の上で休んでいたコマルハナバチの雄バチ(たぶん)の2頭だけでした。



仕方がないので,午後からの待ち伏せ調査はあきらめ、ブナじいさん→湿地までの観察ハイクをしました。



ブナじいさんのまわりでは、たくさんのブナの子を見つけることができました。去年の秋は山の木の実の「なり年」で、たくさんのブナの実が落ちていました。ですから、その分、発芽する数も多かったのだと思います。


マルハナバチ復活のきざし?!

2015年09月06日 | マルハナバチ調べ隊
のち
今年度最後のマルハナバチ調べ隊が9月6日(日)に行われました。
いつ雨が降り出してもおかしくない天気。参加者も5人と少数精鋭です。
雨が降り出しては調査に支障があるので,開始早々ラインセンサス調査を始めました。



そしたら、マルハナバチが見つかる、見つかる。



昨年に比べて咲いている花の数も断然多かったです。ですから、訪れるマルハナバチの数が多いのもうなずけます。昨年2月の大雪の影響が、遅れて草原に出てきたのかなと思いました。



 「去年の大雪→シカの減少→去年はシカが食べた草が少なかった→去年元気に草が育った→今年花が多く咲いた」というストーリーです。ラインセンサス総計は71頭でした。マルハナバチの個体数の回復傾向が見て取れました。
 ・ミー 計46頭 (→ノハラアザミ33, ヤマハギ1,タムラソウ11,マルバダケブキ1)
 ・トラ 計06頭 (→ノハラアザミ2,タムラソウ4)
 ・オオ 計19頭 (→ノハラアザミ7,タムラソウ10,シオガマギク2)



 少し早めのお昼を食べていたら雨が降り出し、雨足も強くなったので,午後からの調査は中止としました。