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乙女高原ファンクラブ活動ブログ

「乙女高原の自然を次の世代に!」を合言葉に2001年から活動を始めた乙女高原ファンクラブの,2011年秋からの活動記録。

マルハナバチ調べ隊・・・ではなくマルハナバチ調査

2021年08月07日 | マルハナバチ調べ隊

 長崎知事の臨時特別協力要請が出されたのが前日の6日だったので、本当に困りました。電話とメールマガジン臨時号の配信、ホームページでの告示によって中止のお知らせをし、当日は調査のみを行いました。
 とはいえ、当日は調査希望者が自分も含めて8名も来てくださいました。マルハナバチ・ファンの層の厚さを感じました。かくいうぼくも、マルハナバチ・ファンクラブの熱狂的な一員です。


 さて、いつものマルハナバチ紙芝居は省略し、さっそく調査開始です。シカ柵を作って6シーズン目にして、ようやくオオバギボウシが戻ってきました。「おかえりなさい」といったところです。いえ、そういっているのはトラマルハナバチ。オオバギボウシにはミーでもなくオオでもなく、トラちゃんばかりが訪れていました。トラちゃんたちも、ようやく相棒に会えた!という感じでしょうか。花の中に潜り込む様子がこの日の午前も午後も、何度となく観察できました。

 たくさんのマルハナバチに出会えたので、15分超過の1時間15分かけてコースを一周しました。
 出会ったマルハナバチは全部で80頭でした。2004年から、年に3回の調査をしていますが、「盛夏(8月)」の結果としては3番目の多さです(1位は2006年8月の295頭。ダントツです。2位は昨年8月の113頭)。中身を詳しくみると、以下の通りです。

・ミヤママルハナバチ 計45頭(ノハラアザミ13、ヤマハギ11、タチフウロ8、ヒメトラノオ5、クガイソウ5、シモツケ1、シモツケソウ1、クルマバナ1)

・トラマルハナバチ 計30頭(ノハラアザミ24、オオバギボウシ4、クガイソウ1、シモツケ1)

・オオマルハナバチ 計5頭(クガイソウ2、ノハラアザミ1、タチフウロ1、ヒメトラノオ1)

マルハナバチに好かれる花ランキング/ベスト5は、
・ノハラアザミ 38(トラ24、ミヤマ13、オオ1)
・ヤマハギ 11(ミヤマばかり11)
・タチフウロ 9(ミヤマ8、オオ1)
・クガイソウ 8(ミヤマ5、オオ2、トラ1)
・オオバギボウシ4(トラばかり4)

 この日はマルハナバチ・ラインセンサスのみを行いましたので、時間に余裕があり、気になっていたオミナエシのカウントを行いました。全部の遊歩道を歩いて、遊歩道から見えるオミナエシの花株を全部数えるというものです。アイテムとして双眼鏡とカウンターを使いました。「野鳥の会」が鳥を数えるときの道具です。471株でした。
 ちなみに、2010年は1株、2014年 3株、2017年 409株です。シカ柵を作ったのは2015年の晩秋でしたから、その後に激増しています。
 数を数えておくと、比較して増減がはっきり分かります。「定量調査」の大切さがよく分かります。ちなみに、「数えるときのルール」も記録しておいて、同じルールで数えることが大前提となります。

 草原内の外来種メマツヨイグサとヒメジオンも気になったので、それらの除去作業も行いました。草原内に入って作業していたら、ヤナギランの株がやたらと多いのに気が付きました。今年は、すでに去年よりずっと花が増えていますが、来年以降さらに増えそうです。楽しみですね。


マルハナバチ調べ隊~初夏編 2021年6月27日

2021年06月27日 | マルハナバチ調べ隊

 週間天気予報では雨でしたが、なんとか午前中は天気がもちそうです。朝、早めに乙女に着いて、下見をしましたが、4頭しか確認できませんでした。マルハナバチの観察ができなかったら残念なので、奥の手として、コース外ではありますが、森のコース入口のニシキウツギに行けば、花がたくさん咲いているので、マルハナバチを観察できそうだ・・・ということを確認しました。


 今日の参加者は14名でした。初めての方も多く、また、半分は小学生以下のお子さんでした。子どもたちが多いといいですね、会が活性化します。子どもたちから元気がもらえる感じです。せっかくなので、朝の会で、簡単に自己紹介してもらいました。スタッフは三枝さん、芳賀さん、植原の3人でした。


 いつものように、マルハナバチの一年を紹介する紙芝居からスタートしました。ここ何年か、この紙芝居は常連のお子さんにやってもらうようにしています。三枝さんがセリフを書いて、読み仮名も振ってくれたので、当日、その場で指名しても、すぐにやってもらえます。今回は芳賀さんのお孫さん・いろはちゃんにやってもらいました。三枝さんが隣でうまくアシスト・フォローしてくださいました。
 いよいよ「マルハナバチのライン・センサス調査」に出発。まずは(さっそく)コースを外れて、ニシキウツギの近くに行き、来ているマルハナバチの様子を双眼鏡で観察してもらいました。鳥だけでなく昆虫の観察にも、ファンクラブで用意したこの「パピリオ」という双眼鏡は適しています。花はちょっと高いところに多く咲いていましたが、筒状の花の中に潜り込む様子が観察できました。


 それからは、いつもの通り、決めておいたコースを1時間かけて歩きながら、出会ったマルハナバチを記録しました。このコースは最初の年から19年間変えていません。途中、アヤメの花に潜り込むマルハナバチの姿が何度も観察できました。主催者としてほっとしました。一つのアヤメの花から隣のアヤメの花に。花に潜っていると、その隙間とマルハナバチのサイズがぴったりです。花粉団子はミント・グリーン。これがアヤメの花粉の色です。花から出るとき、ハチがストーンと下に落ちてしまうこともありました。ずんぐりしているマルハナバチらしいしぐさですが、一瞬、マジックで消えたようにも見えます。


 今回、大発見がありました。今年、乙女高原に来ると、「ツツジのコース」遊歩道でモズ(鳥です)の声をよく聴いていましたが、ツツジのコースで参加者のお一人が「ツツジの枝に刺さったコマルハナバチ」を見つけました。モズは捕まえた昆虫やモグラ・カナヘビなどの小動物を串刺しにしておく習性があり、これを「モズのはやにえ」というのですが、まさにこれでした。
モズがマルハナバチをはやにえにするなんて、乙女高原らしいと思いました。でも、マルハナバチ調べ隊19年目にして初めてです。
 結局、1時間歩いたラインセンサスでは計9頭のマルハナバチが観察できました。内訳はトラマルハナバチがアヤメ:8頭、ミヤママルハナバチがレンゲツツジ:1頭でした。

 お昼をみんなで楽しく食べ、午後は森のコース→ブナじいさん→草原のコース→ロッジというルートで、自然観察を楽しみました。今年の夏のマルハナバチも楽しみです。

 ところで、アヤメが結構咲いていましたが、まだ蕾も多かったので、アヤメのカウントは翌週にしようと思いましたが、翌週7月3日に訪れてみると、すでにアヤメのシーズンは終わっていました。昨年より花の数が少なくなった印象です。


マルハナバチ調べ隊~初秋編

2020年09月05日 | マルハナバチ調べ隊

鈴木さんがレポートを書いてくださいました。

芳賀さんのお孫さん3人を含めた常連8名と初参加の渋谷さんご家族(4名)の合計12名の参加がありました。コロナ禍にあること・午後から雨が予想されることなどから、午前中のラインセンサス調査のみ行うことにしました。

最初にオリエンテーションで、自己紹介・全体の流れの説明・紙芝居(角田さん)・マルハナバチの特徴などの説明(三枝さん・鈴木)・注意事項を行った後、ラインセンサス調査の開始です。
 

 
調査結果は以下の通りです。
調査時刻:10:30~11:30(1時間) 
天候:晴れ  気温(10:30):27℃
・トラマルハナバチ・・・1頭   ハバヤマボクチ1 
・オオマルハナバチ・・・2頭   ゴマナ 1 アキノキリンソウ 1
・ミヤママルハナバチ・・・5頭 ヤマハギ 1 アキノキリンソウ 1
ノハラアザミ 2 タムラソウ 1
合計8頭(花粉団子を付けていた個体は5頭)
 

マルハナバチの数が少なく残念でしたが、大きな花粉団子を付けたトラがハバヤマボクチに長時間滞在していたのでじっくり観察することができました。その他、花のレストランでハナカミキリやハナアブ・ヒラタアブ・小さな甲虫の仲間を見たり、チョウやトンボも多くそれなりに虫と植物の関係など楽しむことができたと思います。観察が終わってロッジ前のベンチで昼食を取りましたが、間もなく急な雷雨になり解散しました。


マルハナバチ調べ隊~盛夏編

2020年08月01日 | マルハナバチ調べ隊

特に何にも告知はしていませんが、当日は10人がマルハナバチ調べ隊のために来てくださいました。スタッフで話し合い、本日の調査はコロナ感染拡大防止のため、午前中のラインセンサス調査のみにし、短時間で終了させることにしました。もちろん、説明時には人と人の距離を取り、スタッフは必ずマスクをすることにしました。

全体の司会進行は鈴木さん。それに三枝さん、芳賀さん、井上さんがサポートしてくださいました。紙芝居は、芳賀さんのお孫さんグループが一手に引き受けてくれました。この子たち、紙芝居上演はもう何回目になるでしょうか。

トイレや持ち物など少し準備の時間をとった上で、ラインセンサス調査のために草原内に入っていきました。曇りがちで気温も低く、マルハナバチがどれくらいいるか心配でしたが、その心配はすぐになくなりました。次から次へとマルハナバチが見つかるのです。しかも、気温が低いせいか、動きが鈍く、いつもだとハチの動きが忙しすぎるので見にくい花粉団子の様子もばっちり観察できます。「ミヤママルハナバチ、働きバチ、花粉団子は無し、蜜を吸っている、来ている花はノハラアザミ」といった具合に、調査票に記入していきました。

結果、1時間のラインセンサスで113頭のマルハナバチが観察できました。内容は以下の通りです。

・トラマルハナバチ・・・計03頭 ノハラアザミ2 ノアザミ1
・オオマルハナバチ・・・計77頭 ノハラアザミ36 クガイソウ20 
タチフウロ16 キリンソウ4 ヒメトラノオ1
・ミヤママルハナバチ・・・計33頭。  ノハラアザミ26 タチフウロ6クガイソウ1

 

113頭というのは17年間のマルハナバチ調べ隊の中でも3本の指に入る大記録です。「たくさんいて、うれしいな」と思っていましたが、調査をしていくうちに、だんだんその思いがしぼんできました。
 なぜかという出会うマルハナバチのほとんどの動きが緩慢なのです。さっきも書きましたが、最初は気温のせいかと思っていましたが、たぶん違います。ハチたちの毛並みが悪いのです。つまり、年寄りのマルハナバチなのです。年寄りだから、動きが鈍いのではないかと思われました。
 もう一つは、花粉団子を付けていないハチの多さです。花粉団子を付けていたのは113頭のうち3頭だけでした。この時期、マルハナバチの巣の中ではたくさんの幼虫が、働きバチが届ける花粉団子を待っているはずです。なのに、花粉団子を付けていないとは、どういうことでしょうか? 幼虫の成長に何か問題があったのでしょうか?
 考えているうちに、一つの仮説が思い浮かびました。今年は梅雨の雨が多く、しかも長引きました。それは、地面の下に巣を作るマルハナバチにとって、とても迷惑なことで、例年だとそんなことはないのですが、浸水被害 (?)が生じてしまい、次世代の幼虫たちが育っていないのかれしれません。あるいは、長雨で、十分な餌を確保できず、子育てに支障があったのかもしれません。その結果、「新しく・若々しい」働きバチが少なく、「年寄りの毛並みの悪い」働きバチが多くなり、また、巣には幼虫がおらず、そのため花粉を集める必要がなくなってしまったのではないでしょうか。
 もし、9月の調査で、マルハナバチが減っていれば、この仮説が正しい可能性が大きくなります。9月の調査が楽しみですが、怖くもあります。


マルハナバチ調べ隊~初秋編

2019年09月07日 | マルハナバチ調べ隊

今年最後のマルハナバチ調べ隊は9月7日でした。昨日の笛川小自然観察に引き続き、とてもいい天気に恵まれました。今日は近隣の中学校のほとんどで学園祭が行われるし、マスコミにも告知依頼をしていないので、参加者があるのかなあ・・・と心配しながら乙女高原に行きました。

途中、林道の要所要所に「台風がくるので、今日の午後3時に林道閉鎖する」旨の看板があり、なおさら心配になりました。早めに終わらなければと思いました。

ふたを開けてみたら、17名もの参加者がありました。たくさんの子どもも参加してくれて、楽しい会になりました。スタッフは芳賀月子さんとウエハラでした。

今日の時間設定やトイレ・休憩場所等の施設の案内をした後、いつものように紙芝居によるマルハナバチの紹介から始めました。「マルハナバチの一年」の紙芝居は、小学生のさきちゃんにやってもらいました。

10時半からラインセンサスを開始。1時間かけて歩き、51頭のマルハナバチがカウントできました。内訳はミー29、トラ9、オオ13です。マルハナバチが訪れていた花は全部で10種類。ベスト3 は、ノハラアザミ14、タチフウロ12、タムラソウ10です。
ちなみに、今年の6月30日は9(ミー1,トラ6,コー2。いずれもアヤメ)、8月3日は45(ミー37,トラ2,オオ6)でした。

お弁当を食べた後は、待ち伏せ調査です。一人一人が待ち伏せする花を決め、その花の前で15分間待ち伏せし、訪れたマルハナバチの種類と行動 (蜜を吸う、花粉を集める) を記録します。これを1ラウンドとし、2ラウンド行います。
結果を集計するのですが、比較できるように1時間当たりの頭数に換算します。たとえば、タムラソウを二人が15分ずつ待ち伏せしたとすると、合計待ち伏せ時間は30分になります。1時間当たりに換算するには頭数を2倍すればいい・・・といった具合です。


結果、マルハナバチに人気があった花は・・・・
タムラソウ(1時間当たり)56頭、ノハラアザミ38頭、マルバダケブキ26頭でした。

それらの調査結果を共有し、マルハナバチ調べ隊でのデータがシカ柵設置につながったことを説明し、本日のマルハナバチ調べを終了しました。2時前でした。