ガンプラ秘密工場(仮)

ガンプラ他、プラモデルを限られた環境下(ノンシンナー)で楽しもうというブログ
 

MG ヴィクトリーガンダムVer.Ka (その2・リーンホース浮上)

2009年12月19日 | F91・クロスボーン・Vガンダム
 前回の記事でも書きましたが、ヴィクトリーガンダムは筆者のいちばん好きなガンダムタイプMSですので、普段よりも丁寧に作業しています。それでも全塗装で作る場合に比べると簡略化された作業です。俗に言う「簡単フィニッシュ」です。最近ははじめて当ブログを見に来てくださった読者さんも多いようですので、今回は久しぶりに筆者が使っている道具を紹介しつつ、どのような作業を行っているかを説明いたします。

 まずは基本的な道具から。

 写真右側から、「タミヤ 薄刃ニッパー」、「オルファ アートナイフ」、「タミヤ フィニッシングペーパー 600番」を小さくちぎって二つ折りにしたもの、歯ブラシ(毛先が細いもの)です。
 「タミヤ 薄刃ニッパー」は切れ味が良いニッパーとして有名ですね。良く切れるニッパーは、細かいパーツをランナーから切り取る時に、パーツに掛かる負荷が少ないです。細かいパーツが多い「MG Vガンダム」には最適のニッパーだと思いますが、高価ですので他のニッパーでも別に良いと思います。

 「オルファ アートナイフ」は「デザインナイフ」とも呼ばれる、切れ味の鋭いナイフです。刃は繊細ですので、太いゲートを削ったりすると切れ味が悪くなってしまいます。仕上がりを良くするためには、1つのキットに刃を2~3枚使うぐらいの気持ちで交換すると良いです。NTカッター社製の同等品も存在します。

 「タミヤ フィニッシングペーパー」は、モデラーにはなじみの深い「耐水サンドペーパー」です。目詰まりを防ぐため本来は水を付けて磨くのですが、水を付けない場合も多いようです。目の荒さに応じて番号が付いていて、番号の数字が小さいものが荒削り用、数字が大きいものが仕上げ用です。筆者は600番、800番、1500番あたりをよく使います。平らな面を磨くには、適当な大きさに切ったプラ板などに両面テープでペーパーを貼り付けて(「当て木」といいます)使用しますが、研磨面を外側にして二つ折りにするだけでもけっこうイケます。←本当は当て木をした方が良いのですが、筆者は二つ折りの方が慣れていますので…。
 
 歯ブラシは、ペーパー掛けした後、模型の表面の筋彫りやくぼみにたまった削りカスを除去するのに使います。筋彫りが細いキットの場合、毛先が細い歯ブラシが有利です。

 まずニッパーでパーツを切り取り(パーツから1ミリほど離れたゲート部分を切る)、さらにニッパーでパーツから0.3ミリほどの長さを残してゲートを短く切ります。その後、デザインナイフでゲートを削り落し、ペーパー掛けしてゲート跡を仕上げます。 

 下の写真は筆者が多用している住友3M製のスポンジ研磨材です。耐水ペーパーよりも、曲面を磨くのに適しています。ホームセンターのヤスリ売り場などで入手可能です。

 文字が印刷されている面が裏面です。

 こちらは研磨面。写真のものは耐水ペーパーの1200番~1500番に相当する仕上げ用の研磨材です。

 手でちぎって使うことができます。パーツ表面の凹凸にもある程度対応できますので、パーツ表面全体を手早く磨くこともできます。
 他にもコトブキヤさんからも出ています。こちらは模型屋さんでも入手できると思います。

 
 写真左:スポンジ研磨材で磨く前のパーツ表面。耐水ペーパーでゲート処理した部分とはツヤが異なります。また、表面には成形されたプラスチックが冷えて固まる際に収縮することによって生じる凹み(「ヒケ」といいます)や、「ウェルドライン」と呼ばれるマーブル模様のような線が存在します。これらを処理するため、パーツの表面全体をスポンジ研磨材で磨きます。
 写真右:スポンジ研磨材で磨いた後の状態。磨く時には、小さい円を描くようにして研磨材を動かします。磨いた後は歯ブラシで削りカスを落とします。これで表面全体はしっとりしたツヤ消しに仕上がり、ヒケやウェルドラインは目立たなくなります。それでもまだヒケが無くなっていない場合は、その部分に耐水ペーパーを掛け、さらにスポンジ研磨材で仕上げます。
 ツヤ消しになったパーツ表面は、爪などでこするとツヤの具合いが変わってしまいます。その都度スポンジ研磨材で磨いて修復するしかありません(汗)。安定したツヤ消し面にするためには、やはりツヤ消しトップコートのスプレー塗装を施すしかないと思います。スポンジ研磨材による研磨は、トップコートを吹く前の表面処理として有効だと思いますので、筆者は「スプレー塗装できる日が来た時のための準備」と思っています。 

 次は、スミ入れや部分塗装用のマーカーです。

 手前から「コピックモデラー スミ入れ用0.03mm」、「ガンダムマーカー ファントムグレー(ジオン用セットやSEED DESTINYセットに入っています)」、「00グレー(「ガンダムグレー」でも可)」、「ガンダムマーカー スミ入れ用ブラック」です。
 筆者はスミ入れには主に「コピックモデラー」を使用しています。ガンダムマーカーのスミ入れ用に比べて色は薄いですが、その分、全ての筋彫りにスミ入れしても上品な仕上がりになります。ver.Kaには向いていると思います。
 
 *塗装用のガンダムマーカーは、コアファイターの組み立て時に使用した2本を撮影していますが、この後さらに使用する色が増えます。その都度紹介いたします。

 *スミ入れする前に、パーツ表面を歯ブラシでこすって、ペーパー掛けの際に筋彫りに詰まった削りカスを取り除いておきましょう。
 


 次は綿棒です。先端が尖ったものはカメラ掃除用の綿棒で、カメラ屋さんで入手可能です。以前は同様の綿棒が「模型用」として売られていましたが、最近はあまり見かけません。スミ入れのはみ出し部分を修正するのに使用しています。
 先端が丸いものは普通の綿棒です。キット付属のホイルシールをパーツ表面になじませたり、コンパウンドを付けて透明パーツを磨いたりと、いろいろな使い道があります。
 綿棒には、他にも赤ちゃん用の細い綿棒があります。薬局などで探してみてください。

 
 写真左:爪楊枝も模型製作には欠かせないアイテムです。キット付属のホイルシールを貼る時によく使います(詳しくはMGシナンジュの記事をお読みください)。その他にも、はみ出した塗料をこすり落したり、先端に両面テープを巻いて細かいパーツを保持したりと、いろいろ使えます。
 写真の上の方に写っている、先端を切り落とした爪楊枝はコアファイターの変形の補助用として使いました。
 写真右:頭部をコアファイターの機体上面から引き出す際に、首の基部パーツが左右どちらかの斜めに傾いた状態で止まってしまう場合があります。前回の記事の、顔アップの写真ではその状態になっています(汗)。機体の裏側から爪楊枝で首の基部パーツ(レールにはまっている軸部分)を押してやると、首を正しい位置にセットできます。

 
 写真左:筆者が使用している接着剤です。左側がGSIクレオス製「Mr.セメント リモネン系(流し込みタイプ)」です。プラスチックを溶かして接着するタイプで、シンナー臭の代わりにオレンジの香りがするという、健康にも安心の接着剤です。通常のプラスチック製パーツ(ポリスチレン樹脂。ランナーには「PS」と表示されています)の接着に使用します。
 右側は瞬間接着剤「アロンアルファ」です。ABS樹脂製パーツどうし、あるいはABS樹脂パーツとPS樹脂製パーツを接着する場合に使用します。


 *ここから先はプラモデル作りにある程度慣れた方のみ、お読みください。失敗する危険を伴う「裏技的使用法」です。

 写真右:コアファイター後部の、可動式スラスターカバー(下側)の右側の可動がゆるかったので、保持力を高めました。左右の可動この部分は一度組み立てると分解するのが困難です。パーツを破損してしまう可能性があります。
 PS樹脂を溶かし、ABS樹脂は溶かさないリモネン系接着剤の性質を利用した方法を使えば、分解せずに保持力を高めることができます。この部分はABS樹脂製の軸受けにPS樹脂製の可動軸をはめ込む構成になっています。軸受けに対して、軸が少しだけ細いと思われます。
 写真の黄色い矢印で示した部分から、軸と軸受けのすき間に目がけてリモネン系接着剤をほんの少しだけ流し込みます。接着剤はごく少量です。接着剤の蓋に付いている刷毛を瓶のふちでよくしごいて、刷毛に付いている接着剤がほとんど無い状態にしてから流し込みます。たっぷり接着剤を流し込むのは危険です。
 接着剤を流し込むことによって軸部分のPS樹脂が溶け、ABS樹脂製の軸受けにぴったりの太さになり、その太さから少し縮んだ太さで固まります。
 完全に接着剤が固まってから、スラスターカバーを動かします。筆者のコアファイターは、この作業によって左右のスラスターカバーの可動の保持力がそろいました。関節部分のような、高い保持力を必要とする部分には使えませんが、可動式増加装甲のような部分には使えると思います。MGキットの足の甲にかぶさる可動式装甲などは、ABS樹脂製の軸受けにPS樹脂製の軸という場合が多いですよね。
 *「タミヤセメント(さらさらタイプ)」のように、シンナー臭がするタイプの接着剤の中にはABS樹脂を溶かすものもありますので、この方法は使えません。
 

 *前回の記事にもたくさんのコメントありがとうございます。m(- -)m
 使用するアイテムや技法的なご質問には記事の中でお答えするように書いてみましたが、足りない部分がありますので…
 でるたさんのご質問「胴体のグレー部分って全部ABSですか?」:まだトップリムを組み立てていないので正確ではありませんが、小さい丸いグレーの部分もABS樹脂です。
 山猫さんのご質問、コアファイターの黄色いダクトについて:黄色いパーツのはめ込み部分を少し削って着脱可能にすれば本来の形状に近付くと思いますが、差し替え部分が増えて「完全変形」からは遠ざかってしまいますねぇ…(汗)。