おじたん。的ぶろぐ生活。

おじたん。である。語るんである。

白飯の思い出。

2004-11-09 02:09:03 | 我思う、故に書くなりよ。
常日頃食べてる「ご飯」。白米を煮ると言うか、茹でると言うか、「炊く」と出来上がる。

小学校の頃、デフォルトでは給食と言う賄い付きな毎日を送っていた。学校さえ行けば何かしら喰えるワケで、ドリンク・デザート付きでもあったわけだ。

だが、何かの突発的な事情で「お弁当」と言う日もあった。それがどういう事情でそうなったのか、覚えてはいないが、この日ばかりは母の作ってくれたお弁当を持って登校する。

ある日、ご飯の美味しさに目覚め、お弁当は「ご飯」だけにしてもらった。普段から食べていて、突然目覚めると言うのもおかしな話だが、家族に胃腸の按配の悪い人がいると、やわらかいご飯が常食となってしまう。何かの拍子に水加減を間違えて、柔らかくなく、適度な硬さの「普通」のご飯を食べる事になった時に「目覚めた」のだ。

変な事を言う子供…とでも思ったのか、母は何度と無く「おかずは要らないのね?」としつこく聞く。が、はまってしまった子供は「うるさい!」とだけ言い残し、さっそうとお弁当を持って学校に向かうのだ。

「おいらのお弁当はお前らのと違うんだぞ!」

口で言いはしないが、おかずの無いご飯だけの弁当を誇らしげに思い、妙な優越感に浸り切っていた。
さて、太陽は真上に昇り、チャイムの音と共にガタゴトと机を並び集める。班毎に机を寄せ合い、お弁当の時間が始まる。私の頭の中にはもう、それは真白い「ご飯」しかなく、給食が無いにも拘らず出て来る牛乳のそれを「仲間」とさえ思う妙な興奮状態に包まれる。

「いやぁー。ご飯しかないー!」

そうだろう。そうだろう。驚くがいい。この「ご飯」の美味しさが君に判るかね? 驚きたまへっ!

ところが、注目の的になったのは私では無かった…。今となっては名前すらも思い出せぬが、普通の女の子で、国語とか社会の出来る子だったと思う。人垣を掻き分けて、彼女の座る班へ駆け寄ると、ちいさなお弁当箱に、ご飯だけが白く埋まっている。そして、彼女は泣いていた。

大人の事情が彼女を涙させたとは、当時は判るよしもない。今に思えば、白飯だけしかお弁当に出来なかったほど、生活に困窮している家の娘さんだったかどうかも判らないが、その日のお弁当の時間、彼女はずっと泣いていた。

拍子の抜けた私だが、オンリーご飯のお弁当を複雑な思いで満喫した。時間が経って、少し蒸気の水分にまみれてはいたが、その歯応え、噛み締める毎に深みの増す味わい…。冷たい牛乳との相性は良くなかったが、なぜこんな美味しい物で泣いているんだろう? と謎と疑問は溢れるばかりで収まりをしらない。

周りの子が彼女の白いご飯の上に、おかずを少しづつ載せていく。おかずの無い事に誇りを覚えていた私には少し驚きだった。おかずが無い事がそんなに悲しい事なのか? あっという間に彼女のお弁当はおかずで一杯になり、そりゃあ豪華な物となったが、彼女はその日、お弁当に箸を付ける事は無かったと思う。

私は自分のお弁当もごはんだけだったので、それを見せた。「すごく美味しいごはんだから、おかずなんか持って来なかったんだよ!」と誇らしげに見せたつもりだったのだが、机に伏したまま顔を上げず、ただ泣きじゃくる彼女は変わらぬままであった。

どうした理由で、彼女のお弁当が白一色だったのかは今でもわからない。私の目の前に今あるのも、白一色のご飯。噛み締めると、昔と変わらないばかりか、より美味しい。炊飯器も電子化され頭脳を持っている。ちょっとボタンを押せば、好みの「炊き加減」を覚えてくれる。

そんな昔の思い出に、きゅうりの漬物と、2かけのにんにく。インスタントのお吸い物を添えて夕飯とした。しかし、それだけで自己完結してしまう美味しさを持った「ご飯」。たとえ、大人の事情でおかずが無くとも、何も恥ずる事などどこにも無いはずだ。ご飯とはそう言う物だし、主役なんだから。

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6 Comments

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私の推理では (よしお)
2004-11-10 18:12:44
あの当時、女の子のお弁当箱って、おかずとご飯の2つに分かれてたような気がします。オカズも綺麗な色取りで可愛いらしく、女の子らしさを強調する格好のアイテムになんだな~と思ったものです。



で、その子のお母さんがあわてて、オカズ箱を入れ忘れたのかも。貧乏でも、梅干ぐらいは入れてるような気がしますね~



私もお弁当には苦い思い出あります。うちは母が病気というか身体障害者だったので、家事とかは兄弟で分担してやってました。母の面倒も見る必要あったので辛かったです。



だから中学校でお弁当持参になってからは、凄く嫌でしたね~自分で作るんですが、料理下手だし、見栄えを工夫する知恵も無かったので、お昼は凄く恥ずかしかった。



安っぽい銀色のステンレス(?)の弁当箱で、中身は典型的な日の丸弁当。玉子焼きと晩飯の残り物をつめてました。ご飯の中央には梅干必須! それを新聞紙で包んで持っていきました。



でも、そういう家庭なんだからしょうがないという諦めもあって、恥かしいけど卑屈な気持ちにはならなかったような気がします。でも蓋で中味を隠しながら食べてたかも。



新聞紙のテレビ欄見ながら黙黙と一人で食べてたのを見かねてか、クラスのリーダー的存在の草柳くんが一緒に食べようと言ってくれたのが嬉しかったです。



学級新聞に絵を載せてくれたのも彼だったな~漫画のパタリロの面白さを教えてくれたりしました。いい人だったな~



貧乏と言えば、遠足で300円のおやつさえも買えない男の子がいて、彼は あえて皆に事実をさらけ出して笑いをとってました。自分も貧乏だと思ってたけど、300円のおやつは買えたので、彼を見て強い人だな~と思いました。名前なんて言ったかな?忘れてしまった~
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そうでしたか。 (おじたん。)
2004-11-10 18:51:54
よしお氏えらいなぁ。

そんな事は微塵も感じずに知らなかったよぉ。

ところで、お体の具合はその後どうですか?

石もちでは無いので、痛さは知らないのですが、量販店では結構いてね、接客中に七転八倒してましたよ。大の大人が泣くんだから、相当なんだろうと思ってましたけど。寒くなるので、大事にしてくださいね。では。
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石は出たのかな? (よしお)
2004-11-11 13:48:34
昔は自分って苦労してるな~とかヒロイン気分に浸ってましたが、歳を重ねていくと誰もが苦労してるんだな~と気付いて、自分の経験なんてチッポケなんだなーと感じること多くなりました。



自分の中では、昔の知り合いは当時のまま悩むこと無く成長してるように錯覚するんですよね。みんな悩んで大きくなってると最近気付いたところです。



体調は、かなり落ち着いてきましたが、先月末に少し痛みが出ました。痛みは個人差あるみたいですが、痛みに意識が向かうと、どうしようもなく痛くなります。最近は痛み止めがあるせいか、それほど苦しむことはなくなりました~
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なによりです。 (おじたん。)
2004-11-11 20:17:19
あー。良かったですねぇ、大事にならなくて。

私は1滴もアルコールはやらないので、リスクは小さいと思うのですが、中年になるとポピュラーな病気みたいで、周囲にも多い様です。ビールの飲み過ぎでこうなると知っていながらも、ビールで苦しみ、ビールで流す…って人も多いみたいでした、某家電量販店では。

これから冷えて来ると、また違う事になりかねませんので、御自愛のほどお願いしますよ。では。
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お酒 (よしお)
2004-11-11 21:07:41
私もお酒はほとんど飲まないです。付き合いでは飲むことありますが、一人のときはまず飲みませんね~



結石は、運動不足やトイレを我慢したり、豆類、緑茶、紅茶、コーヒーのとりすぎでなること多いらしいです。



お茶類は、カルシウムと一緒に摂取すると結石になりにくいみたいです。仕事が忙しいときに、眠気覚ましにミルク入れないコーヒーを頻繁に飲んでたので、それが原因かもしれません。



販売員は忙しいとトイレもいけないから、それで結石になるのかも。アルコールは水分補給どころか、アルコールが抜けると同時に水分が抜けちゃいますからね~酔うと必ず喉が無性に渇くんですよね~

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えっ!! (おじたん。)
2004-11-14 08:01:57
コーヒーだめっすか!



私、ミルクも砂糖も何にも入れないコーヒーを1日30杯近く飲んでます。大き目のマグカップなので、普通のカップに換算するとやはり間違いないですね。やばー。
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