おじたん。的ぶろぐ生活。

おじたん。である。語るんである。

Ryuichi Sakamoto Trio Tour 2011 & スタジオセッション すげー!

2011-11-29 01:57:51 | 我思う、故に書くなりよ。
結局、なんだかんだでほぼ1ヶ月。

UstのskmtsでやっていたRyuichi Sakamoto Trio Tour 2011をしっかりと堪能してしまって、それらが終わってしまった今は…なんだかちょっとつらいんだ…って感じに。

パリから始まって、ポルトガルでライブは終わったのだが、ポルトガルでのレコーディングセッションもほぼ中継って…ファンのみならず、音楽が作られていく過程をリアルに見る機会が、私のような凡人にも与えられた事は大変に大きな意義があったかと思う。

まぁ、ライブを毎回生中継で見られるなんてのは滅多に無い事だし、それもヨーロッパのだし、映像はともかくとしても、毎回音が良くて驚くわ感激するわ…

「…そんな事しちゃって大丈夫なのかよ…」

と、素人ながらも太っ腹過ぎるサービスの連続に脳みそワクワク、ミゾオチハラハラ…。家にいながら、ヨーロッパツアーの公演を全部見て聴いちゃったのだ。

途中まではリハの中継もあったが、違法アップロードが露見して制限付きになってしまうとか、中継が不安定で途切れるなどトラブルもあったが、概ねほとんどオープンな姿勢の中継。ツイッターやフェイスブックなどでそれとなく希望や要望を書き込めば、許す限りで対応してくれてもいたり、ライブ後の撤収作業の中継も楽しみの1つにさえなったワケで…。

毎回、微妙に変わる演奏はどれも素晴らしかったし、ほぼ毎回同じ楽曲に飽きてしまうのではないかと当初は思ったが、名曲ばかりであったこと、演奏のキレの良さ、弾けっぷり…それらが回を増すごとに変化する…深くなってゆく…ってのが楽しみにさえ変わる事に聴いていた自分が驚くんである…。

それらはライブとしては別段、他のアーティストやバンドでもそうなんだろうとは思うのだが…。

驚いたのは会場。大都市なら、まぁ荘厳や豪華なホールもあるんだろうけれども、あまり聞いたこと無い場所で、すげぇホールがあったりする。それらを見る度に、この時代に文化の違いがカルチャーショックとして襲ってくるんである…。

「あっちの市民会館すげぇー!」

正しくは市民会館では無いにしても、日本で言うところの「ナントカ記念ホール」なのだろう。しかし、その規模ははるかに違う。運営母体も日本で言う「なんちゃら基金」とか「なんとか財団」と代わり映えしないのだが、やってることの規模は建物に比例して違っている…。まぁ、それらが音響的にどうなのか? これはアーチストじゃないと判らないだろうけれども、聴いてる限りで悪いところはどこも無く、中には世界遺産…なんてところもあったので、見るだけでも付加価値が産まれてるし、ハコモノだけじゃない何かがしっかりと根付いていなけりゃ残るモノも残らない…って、日本の実情との違いをいろいろと考えさせられちゃう…。

ツアーが終わった後も、中継は続いていた。ポルトガルでのレコーディングセッションで、後に音源として何かしらの形にするためのもの。普通なら…

「関係者以外立入禁止」

って場所で、何をしているのかを中継してくれたのである。

普通、我々は「…新しいCDできました。買ってね…」って事を知り、それらを求めるワケだが、新しいCDがいかに作られているのかは知らなくても良い事になっている。また、なかなか知りえない。

…スタジオで演奏して録音して…

字で起こせばそれだけの事だが、こうした非常にクリエイティブなシーンは一般にはなかなかオープンにされたりもしないものだが、都合4日間に渡るセッションをほぼ全部見せて聴かせてくれたのだ。実際には、もちろんメディアとして完成するまでには様々な工程があるし、演奏して録音しておしまい…ってワケではないのだが、一番大事な部分でもあるシーンでアーチストやエンジニアが何をしていたのか…知る事ができた貴重な体験。

そんなこんなで作られたCD。おそらく1枚\3000くらいで売られてゆくのだろうけれど、そんなこんなを見てしまうと、とてもそんな値段じゃ手には出来ないだろうお買い得感が確実にマシマシになっていくんである。

ところが、そんなこんなでこれほどにも魂の込められた情報の詰まったCDが、驚くほど売れていないのだそうな…。具体的な数は明らかにはされなかったけれども、坂本氏は「CDが売れないのでツアーをして稼がないと…」とも語っている。ツイッターでのやりとりを見ると、やはり驚くほど売れていないのは間違いも無いみたいで、世界のサカモトでさえもそうした苦しい時代を迎えているんである…。

ま、趣味嗜好が違えば絶対に買わないCDなんてのもあったりはするんだが、気に入った楽曲でもCDで買わないとアーチストが困る…って事になっているのだろう。配信で買ったこと無いので詳しく知らないが、1曲\200くらい? アルバムだとどうなんの? バラ売りだからアルバムという単位の概念が無い? あるのか。CDと同じか若干安価になるのかな…。えっ? \1500? 

音楽ってモノが配信主体の時代に、CDが売れないとアーチストが困る…ってのもどうなんだろうか?

個人的には、CDで買うのが普通なので、CDが出ないと困るんだけれども、そうした人が確実に減っている事もまた確かなんだよねぇ…。

…でもね、あれ見ちゃったら、1枚\5000でも欲しいわ。マジで…。

あの人たち、本気で魂込めてんだよね。チェロのジャケスさんにしてもバイオリンのジュディさんにしても、その道のプロではあるんだが、追い詰めて追い詰めて、ベストな音を楽器から搾り出して、それを坂本氏が苦悶しながら…鼻歌を歌いながら…欠伸しながら…集団行動を見ながら…完成に導く姿を見てしまったら、1枚\3000で手元にそれが残る喜びのお買い得感はマキシマム! だよ。

そんなわけで…「CDで買おうなっ!」と、TLに残したりもしたが、ライフスタイルに因ってはそうもいかない人も既に多いんじゃないかと思う。やはり、この辺の仕組みの透明性も、もっとアーチスト側、業界側から語られないと、消費者はどうしていいのか? どうしたら応援できるのか? 判らないままにもっと困った事になるんじゃないだろうかと思ったりするな…。

そんなこんなを見せて聴かせてくれたskmtsプロジェクトのみなさんに感謝感激だったほぼ1ヶ月。こうした事が可能になった時代に生きていた事がうれしい。つくづく、いい時代になったと思うし、すげー時代に生きてんだな…俺は…とも思う。

つたない質問にもリアルタイムに答えて頂いた@skmtmgrさんには特に感謝。中継もしながら、どんどん流れてゆくツィートを拾って可能な限りで応えてくれた姿は、それが見えなくてもみんなが知っている。この人の尽力を多くの人が「共有」できた事も意義は大きい。裏方さん…でなければいけない部分も多分にあると思うが、情報の補足や訂正がタイムリーに受け取れた事は、視聴している身としては感謝の極み。こうした露出は大歓迎だと思う。

PCやスマホの前で、概ね情報を受け取るだけの我々が「共有」と言う手段で何が出来るのか? 大盤振る舞いなサービスへの恩返しは、どうしたらいいんだろう? 貴重なモノを共有するだけでなく、そこへ報いる手段と方法も、新しい時代へと対応していかなければ一方的な時代遅れにもなるが、情報弱者にもなってしまう。

齢、40幾つにして、すんげぇいろいろとカルチャーショックだった11月。ほとんどヨーロッパ標準時で生活しちゃった11月。忘れることなんか出来ない、2011年の11月。人生の一部は確実に濃くなったよ。

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする