アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

 「金(かね)を丸ごと信じろ」ってかぁ…

2024年08月21日 | Weblog
(前回の続きなのですがね)
 北朝鮮に抑留された「第十八富士山丸」の、船長さんと機関長さん。拷問まがいの取り調べが長期間(5年間ですよっ!)続いたのです。
 精神的にも肉体的にも追いつめられ機関長は自殺未遂までした。
 機関長さん、「(密航者を幇助した)罪を認めれば、日本に帰す」という嘘に乗ってしまった。北朝鮮捜査当局が捏造した調書(虚偽)を認め投獄されました。(この話で彷彿されるのが、足利事件の菅家利和さんですね)

 船長と機関長はその後どうなったか?結果的に、労働教化刑15年のところ、2年5か月服したところで解放された。
 ここ、驚くところですよ!驚いて下さい。北朝鮮が、「密航者を幇助した大悪人」を解放した!あり得ない…でも真実。
 解放は、日本の国会議員による訪朝団が交渉した結果でした。 北朝鮮ですから、
「罪を認めれば解放するよぉ~!な~んちゃって。解放するわけないだろ、バ~カ」
…結局、そ~ゆうことになるだろうなあ。と、思っているうちに、本当に、船長と機関長が無事帰国…。一体何が起こったのか?

 ここで登場するのが、首相にはならなかったが、大物政治家だった金丸信です。え?知らない?佐川急便ヤミ献金事件ですよ!知ってる人が少なくなってしまいました。「金竹小(こんちくしょう)」なら、聞いたことがあるという人もおられるかな。
 金竹小は、金丸信・竹下登(DAIGOの祖父、北川景子の義理の祖父)・小沢一郎の頭文字。当時最大派閥として政府・与党に対して圧倒的影響力を持っていました。この3人を良く思っていなかった議員達が、目の上のたんこぶに対して、「こん畜生!」をかけた「金竹小」と陰口。
 
 この金丸信が中心になり、訪朝して2人を取り戻してきた。1990年のことです。この年、すでに拉致も明るみに出ていました。どうして、拉致被害者も一緒に連れ帰れなかったのでしょうか?なにかあるのでしょうねえ?
 北朝鮮が、簡単に第十八富士山丸の2人を返すはずがない。相当額の「対価」を支払ったのでしょう。金を丸ごと信じろ…金丸信。約18億4230万円の所得を隠し、10億3775万円を脱税したとされた政治家です。ある意味、やり手。北朝鮮へ「お金」を持っていったのでしょうねえ。拉致被害者まで助け出すには、金丸信でも、お金が足りなかったのかなあ。


「労働教化刑」処刑より効果がある…

2024年08月20日 | Weblog
  驚きませんがね。北朝鮮当局は、韓国ドラマを見た中学生30人余りを公開処刑した。
 その前には、脱北団体が北朝鮮への風船を飛ばし、その中に韓国ドラマが保存されたUSBメモリーを入れたという。これを拾って摘発された学生たちが公開銃殺されています。
 6月にも、同じ理由で17歳前後の青少年約30人が無期懲役と死刑。
 対北朝鮮団体が風船ではなく海から送った「コメの入ったペットボトル」を流したそうですが、拾ってご飯を炊いて食べた住民に労働教化刑を下しています。

「公開処刑」ってのも怖いですが、「労働教化刑」の場合、刑期の間中、過酷な労働をさせられるのですよね。
「処刑されたほうがマシだったなあ」と、人生を諦めかける人もおられるんじゃないかなあ。

 教化の意味は、「人を教え導き、道徳的・思想的な影響を与えて望ましい方向に進ませること」。
 北朝鮮の教化は、私にとっては、「望ましくない方向へ進ませること」なのですがね。
「労働教化刑」で思い出しました。日本人でもこの刑を宣告され、実際に服役した人がおられたのです。

 1983年に「第十八富士山丸事件」がありました。
 日本の貨物船の船長と機関長が北朝鮮にスパイ容疑で拘束されたのです。2人は、1988年に「教化労働15年」の刑を宣告されました。

 第十八富士山丸事件の経緯は…不可解なものでした…日本~北朝鮮を往復していた冷凍貨物船「第十八富士山丸」に、北朝鮮人密航者が乗り込んでいたのです。船長は、門司海上保安部へ身柄を引き渡しました。それで落着かとおもったら…10日後、北朝鮮に入港したら抑留されたのです。密航の幇助及び継続的なスパイ行為の容疑。
 私だけの解釈でしょうが、北朝鮮はこれぐらいのことは、呼吸するぐらい普通のこと。


「ヤマモトヤマ」海苔なのか関取なのか?

2024年08月19日 | Weblog
 エジプトのギザでもカイロでも、おおよそ観光客が立ち寄りそうな場所では、「ヤマモトヤマ!(山本山)」「モウカリマッカー!(儲かりまっかー)」…などなどの声がかかります。とりわけ「ヤマモトヤマ」が圧倒的に多い。怪しげなオジサンはもちろん、暗い表情のオバサンも、「ヤマモトヤマ」。

 警察官まで、「ヤマモトヤマ」。なお、警察官は、「ツーリズム&アンティーク ポリス」という、立派な腕章を着けています。その数の多いこと!そして、小銃を持っている…。
「ヤマモトヤマ!」と呼び掛けてきた警察官に、「意味知っているのか?」と質問してみた。
 彼は、「知ってるよ!えーと、えーと…ブツブツ アッサラーム・アライクム…」案の定、知らなかった。そこで、私は、「ヤマモトヤマというのは、相撲レスラーの名前なんだ」と教えてあげました。警察官は、目玉をひんむいて驚きを表し、無言になりまして、悔恨モード。
 なんの悔恨かって?意味も分からず「ヤマモトヤマ」と呼び掛けていた自分がいかに愚かだったかということ…かな。

 エジプトにおける、「ヤマモトヤマ」は、「日本人が喜ぶから」という理由で発するもの。「海苔を売ってますよ」とか「現役最重量の関取」とかとは全く関係がない。単なる「音」ですね。
 蛇足ですが、元大相撲力士の山本山は、現役時代は、身長190cm、体重266kg(当時、幕内最重量力士)。引退後、渡米して、ロサンゼルスでタレント「YAMA」として活躍中。40歳になっています。日本大学卒。

 エジプトの物売りは、昔も今も進歩がありませんでぇ…「センエン(千円)、センエン」が健在。「10個でセンエン」「30個センエン」…瞬時にして千円で買える土産品の個数が増える。「高い!」と言ったら、「60個センエン」だって!仕入れ値は一体いくらなんだろう?盗品なのか?
 なぜ「センエン」が世界の観光地共通語になったか?「発音しやすいから広まった」と考えます。「ヒャクエン(百円)」は、拗音が難しい。「イチマンエン(一万円)」は、長い…。
 もっとも、現エジプト国王は、「アブドルファッターフ・アッ=シーシー」…長いわ。
 エジプトの収入源(外貨獲得)の第1位を次から選んでください。
1 観光
2 スエズ運河の交通料
3 石油
4 農産物  
 正解は、スエズ運河の交通料。エジプトの敵は海賊。ソマリアの海賊問題のときは、収入がなくなりかけて、大変だったのです。

 ローマのトレビの泉は、「後ろ向きにコインを投げ入れ、振り向かずに帰ってくると、またトレビの泉を訪れることができる」のだそう。私は、そのようにして再訪がかないました。 

 過去に、「ナイル川の水を飲むと、またエジプトへ来られる」という言い伝えがありました。現在のナイル川は、ゴミの川。「ナイル川の水を飲むと病院へ行く」という言い伝えになっています。

 現存するピラミッドは、スーダンまで点々と続き、「86個」。風化→消滅という危機に瀕しているものもある。ピラミッドといえば、吉村作治先生。81歳になっておられる。この度の、エジプト行きも、行かれてからまだ2か月ですから、今日もどこかのピラミッドに潜り込んでおられることでしょう。


「カツラをはぎ取り」の罪状

2024年08月18日 | Weblog
  「(不謹慎のそしりを免れない場合など)笑いたくても笑ってはいけない場面」って、あります。
 私は、自分では「常識的な人間」であると思いこんでおりますが、過去に、笑うべきところでないところで、「失笑」してしまったことがあります。その場面を再現します…浅田次郎さんも、葉室麟さんも、こんなおもしろいことは書けないだろうと思われます。

 それは、ソフトボールの試合中でした。
 内野ゴロで、サードランナーが帽子を飛ばし猛然とホームへ突っ込んできた。ボールはバックホームされた。ランナーはヘッドから入った。タッチをかいくぐり手でベースタッチしようという作戦だ。クロスプレイになった。キャッチャーは両手でタッチし、ミットを高々と上げてタッチアウトをアピール!
 そ、そ、そのとき、ミットの他になにやら変なものを上げている!?
 ありゃ?さっきまで髪の毛ふさふさのランナーが突如スキンヘッドに!キャッチャーが高々と上げていた変なものは、ランナーのカツラだった!
 両チーム、瞬時、笑いを押し殺しておりましたが、すぐにダムが決壊したかのような爆発的な笑いの渦に。皆さん酸欠状態。主審など、タイムを宣告せずにバックネットの横まで来て、震えてました。で、私もホント不謹慎にも笑ってしまいました。そんな弱い自分が、ほんと情けなかったです。

 カツラ愛用者のカツラをはぎ取った場合、罪になるのでしょうか?被害者の「名セリフ」。「人前でズボンを引きずり下ろされた気分」…ズボンじゃなくてカツラだろうがぁ。
「人前でズボンを引きずり下ろす!」これは、犯罪ですよね。
 カツラの場合は、罪になるとしたら、どんな罪になるか?

 私は、「強盗」と「プライバシーの侵害」だと思います。
 なぬ?「強盗はないだろう、せめて窃盗にしてくれ」って?だめだめ、強盗の定義は…
「暴行・脅迫により、相手方の反抗を抑圧し、その意思によらずに財物を自己または第三者の占有に移すこと」明らかに。カツラはぎ取りは、強盗です。

 プライバシーのほうは、日本では、憲法13条ですね。
「…他人の干渉やのぞき見からこれを保護する…個人が他人に煩わされずに幸福を追求する権利」
 カツラをはぎ取るなんて、「のぞき見」ですよね。カツラ着用により、幸福を追求していたのですから…完全に、プライバシーの侵害です。

 カツラをつけて、試合に臨んだボクサーがおりました。試合中継のビデオがあったもんだから、全国のニュースで流れました。
 試合中、カツラが剥がれはじめ、カツラが蝶のように(?)舞った。試合の場合、対戦相手は、強盗にはならないね。
 このカツラボクサー、試合後のインタビューで、「二度とカツラは着用しません」と宣言。育毛に取り組んだ。「韓国500年の伝統秘法!天然エキス・薬用発毛促進育毛剤」なるものを使用中で、かなり生えてきているのだそうです。よかったよかった。あの試合以来、ファンも増えたのだそう。何が幸いするか分からないものです。韓国の育毛剤は、効果があるのかなあ?
 大相撲の場合、ハゲるなどして髷(まげ)が結えなくなると引退だとか、そんな規則はないとか…どっちなんだ?(真相は、「引退の決まり」に、ハゲに関する決まりはないとのこと)

 カツラをつけて、相撲をとるのは…規則にはないかも知れませんがぁ…だめでしょう。理由ですかぁ…カツラ力士用に、新しい決まり手を作らなければならないから。
 落ちたカツラに足を入れてしまって転んだ…決まり手は、「ワナ落とし」。
 落ちたカツラを踏んで転んだ…決まり手は「ズラ踏み(そのまんま)」。

「髪」は、「長~い、友達」名言です。「髪」という漢字には、毛が3本ほどなびいています。中国の簡体字では「发」。「友」の上に、カタカナの「ハ」のような毛が2本。2本あれば、髪として認めてくれるのかなあ。
 甲子園では、髪村学園(鹿児島)が、勝ち進んでいますが…神村学園ですね。失礼いたしました。


 17万円が、特別に10,500円

2024年08月17日 | Weblog
     巣鴨へ行ったことがあります。「自慢か?」って?巣鴨じゃ自慢にはなりません。
 ペルーの人里離れた山奥で、密かに栽培されていたコカ。コカの葉、つまりコカインの原料を噛んだのは自慢ですがね。
「よく入手できたな」って?ガイドさんが、入手してきて、客に配ってました。日本国内ではないので、罪の意識はなかったです。

 閑話休題。コカの葉はさておき、「どうして巣鴨へ行ったのか?」ですが、どこかに「とげ」が刺さったわけではありません(とげ抜き地蔵、なんちゃって)。
「婆さまの原宿」といわれる巣鴨に、爺様の私も行ってみんとて行きました。
 巣鴨といえば、「とげぬき地蔵」。高岩寺本堂で授与していただける御影(おみかげ 和紙製)に祈願すると効果があるのだそう。痛いところに貼ったり、のどに骨が刺さったとき飲んだり(?)すると治る…。(喉に骨が刺さったら、御飯を丸呑みでしょうがぁ!←これ、私の幼少時の、家庭療法)

 高岩寺境内の一隅に、「洗い観音」がある。この像に水をかけ、自分の悪いところを洗うと治るという。
 私は、「頭、顔、心臓、胃、肝臓」を洗ってきました。さあ!治るかどうか?前立腺にも不安がありますが、どこに水をかけたらいいものか不明のため、洗いませんでした。
 観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)なのだそう。女性?女性には前立腺は無いので…洗わなくて正解だった…かな?
 なお、蘊蓄で申し訳ないですが、釈迦が観音に向かって「善男子よ」と呼びかけました。
 また、「観音大士」という言葉もあります。つまり、観世音菩薩は女性じゃなくて男性…?それとも、元男性?正解は男性でした。女性の姿の仏像が多く作られたので、女性と思われるようになったようです。前立腺、あったんだね。

 散策で、巣鴨を訪れる女性の平均年齢が70歳というのはよく分かりました。ところが、訪れる客へ者を売る側、つまり商店側にも「立派な年齢の女性が多かった」。特筆すべきは、90歳の女店員さん。
 しつっこかったです。ゲルマニュウムのネックレスを買えという。標準販売価格17万円のネックレスを、58,800円という大特価。私には、さらに特別に10,500円で売ってくれるという。私が、よほどの貧乏人に見えたらしい。17万円が、10,500円ですから安いですよ。当然質問しましたよ。
「どうして私にそんなに安くしてくださるのですか?」
「あなたは(体が)どこも悪くない。しかし、あちこち悪いところが出てくることが、目に現れてきている。この、ネックレスを買いなさい。医者も買いに来る。病気の人が治ったと転がり込んでくる(治った報告に来るということらしい。転がりながらは、来ないと思いますがね)。特別ですよ、今だけですよ。買いなさい、買いなさい・・・」
 私は、すでにあちこち悪い。…「どこも悪くない」と言われると、「適当なこと言うなよ!」と反撃したくなるが、相手は90歳。「泣く子と地頭には勝てぬ」といいますが、「泣く子と地蔵通り商店街の婆さまには勝てぬ」に差し替えたらいいと思います。
 
 ネックレスで病気が治るのであれば、世の中から病人がいなくなります。医者までがゲルマニュウムのネックレスを買いに来る?そんなに凄い効き目なら、医者が病院でゲルマニュウムネックレスの販売をすると良い。
 それにしても巣鴨の婆さま、ネックレスを一体いくらで仕入れているのか?私に、10,500円で売っても利益があるのでしょうから、仕入れ値は数千円でしょうか。17万円の正価で買った人もいるのでしょうか?うーん、胡散臭い。
 婆さまはしつこいが、巣鴨はおもしろい街です。



「閑話休題」の読みは…「それはさておき」

2024年08月16日 | Weblog
  梅雨、師走、従兄弟、女将、乳母、小豆、心太、浴衣、田舎、相撲…。これらの熟語、中学生なら読めますし、書けます。
 しかし、中学生に質問しますと…
「心太(ところてん)」について、「心」を「ところ」と読むの?「太」を「てん」と読むの?
「・・・・?」責めるのは酷ですね。「熟字訓」ですから。

「なぜそう読むのか教えて?」と逆質問されると大変。熟字訓だけに、忸怩(じくじ)たる思い。…滑りましたかね。
「そ、それはぁ、義訓から…えーと、慣用的なものとなったわけで…早い話がぁ…」
 と、しどろもどろ…説明できません。
 熟字訓で、凄いのは、「閑話休題」。 
 なぬ?「どこが凄いの?『かんわきゅうだい』でしょ。熟字訓じゃないでしょう」
 と、言われそう。確かに今はそうなのですが、歴史的に「それはさておき」と読まれていた時代があったのです。
 国語の先生にお願い!生徒が、閑話休題を「それはさておき」と、読み仮名をつけても、×にしないで褒めてあげてください。「ハイハイ、急遽登場、国語の先生ですよー。一問5点のところでも、『それはさておき』と書いた子には、20点あげようかな」…そ、そこまでしなくてもいいです。

 さて、閑話休題、熟字訓で難問にぶち当たりました。
「襁褓」を何と読むか?「ころもへんに強」「ころもへんに保」、布で強く保つ…。コレハ、手強いです。
「襁褓」は、「おしめ」と読みます。「おしめ」はすっかり死語になってしまって、分からない人が増えてきているのではないかと思いますけどね。
 今は、「おしめ」より「おむつ」が一般的でしょうか。「おしめ」って、音からくるイメージは「お湿り」。暗いです。そのため、人気がないのでしょうかねえ。
 
 では、「おむつ」を漢字でどう書くか?「御襁褓」と、書きます!冗談じゃありません。本当です。
「おしめ→襁褓、おむつ→御襁褓」これはぁ・・・、難問ですよ!熟字訓であることは分かるが、いくら熟字訓でも、「節操」というものがなけりゃ!同じ漢字で間に合わすとは…。

 なぬ?「おしめが襁褓なら、御襁褓は、『おおしめ』だろうがー!」って?…いくらわめいても、こればかりはどうにもなりません。お怒りは解りますが、こらえて下さい。
 熟字訓恐ろし!


「貧しい」「貧しくとも」「貧しいこと」…みんな幸せ

2024年08月15日 | Weblog
「棟田博さん」、古稀を過ぎておられるからならご記憶にあるでしょう。なぬ?「赤ちゃん以外なら、みんな知ってる!」って?そりゃない、そりゃない!
 棟田博さんの小説、「サイパンから来た列車」をもとに、倉本聰さんが脚本を書き下ろしました。26年前のことです。
 題名は、「歸國」。富良野演劇工場(現在もあります。今月はイベントなし)小説は、昭和30年発表なので、サイパン島で玉砕した師団の兵士の幽霊が10年ぶりに東京へ帰ってきた話になっています。
「歸國」では、60年ぶりに帰って来たという設定。私は、北海道の富良野市まで、観に行きました。

 英霊達は、8月15日の終戦記念日の深夜、東京駅のホームに1両の軍用列車で到着。東京の親類知人を訪ねて回る。発想は奇抜ですが、ストーリーは、むしろ平板に流れていました。

 倉本さんは…
「今の発展した日本を英霊たちが見たらどうだろう。安心するだろうか。僕はがっかりするのではないかという気がしてしようがなかった」
「英霊の側の視点に立ったとき、今の日本の何に腹を立てるのか。それを探っていった」と…。

○ 金に狂い、倫理観を失った日本人
○ 近くにいてもメールで会話する日本人
○ 崩壊した家庭
○ 乱開発で喪失した故郷
○ 使えるもの、食べられるものが廃棄されているゴミ処理場
○ 病院の生命維持装置で生かされる人間

 これらの日本の現状を、英霊たちは歓迎し、感心し、安心して南の海へ帰るのか?
 戦後60年間で変貌した日本人への批判…ともとれますが…私としては、批判ではなく、現状は現状として受け入れ、
「これでいいのか?忘れているものはないのか?」と、再考、熟考を促しているととらえました。

 ありがたかったのは、英霊が出てきているにもかかわらず反戦を出さず、人物に焦点を当てていること。観ていて気楽でした。「靖国神社」も出てきますが、なんらの主張も入れずに現状を伝えていました。

「反戦」は、敢えて強調する必要はないのです。なぜなら、日本人の全員が、「戦争反対」ですから。分かっているのに「反戦」を言われると、「ハイ、ゴメンナサイ」と謝るしかありません。それは、重くてめんどうくさい。

 英霊達は、帰り際に、「自分たちの犠牲を犬死にしないでくれ」と…
 では、どうしたらいいでしょうか?この答えは、私の持論の十八番です。
「日本人が、高い倫理観と高い学力を身につけること」です。

 私が、「歸國」から得た素晴らしい言葉があります。
「貧幸(ひんこう)」です。広辞苑には載っていません。この言葉との邂逅は衝撃的です。
「貧しい幸せ」「貧しくとも幸せ」「貧しいことが幸せ」…どのように捉えてもいいでしょう。

「日本は豊かになったが、日本人は貧乏になった…」日本人も豊かにならなければ!そのためには、高い倫理観と高い学力を身につけなければなりません。
「便利」とはどういうことか?「サボルこと」。つまり、便利を求めると人間は貧しくなっていく…。


文化財にしたいもの「薩隅方言&津軽弁」

2024年08月14日 | Weblog
 文化財は、「我が国の長い歴史の中で生まれはぐくまれ今日まで守り伝えられてきた貴重な国民的財産」です。

 醤油を英語で言うと、「ソイソース(soy sauce)」。日本で、醤油を「ソイ」と言う地方があります。
「日本で、英語を話す地域があるのか」って?いえいえ、「醤油=ソイ」は、薩隅方言なのですがね。英語を公用語にしている訳ではないみたい。

知ったかぶりの私でも、薩隅方言の会話はぁ、解りません。アハハです。
 語韻の踏み方、間の取り方、言い回しなどがぁ…異質です。そのため、「薩隅方言人工言語説」が語られたこともありました。中央の言葉とは全く異なる言葉を使うことで、情報の漏れを防ぎ、幕府の隠密の侵入を難しくした。
 しかし、この人工言語説は、「いくらなんでも、そりゃ無理だっぺ」ということで、いつの間にか忘れ去られていますね。

「・・・だっぺ」は、茨城、栃木の人の領域でしたね。
 鹿児島でも「だっぺ」を使います。
「だっぺ早く行こう (だから早く行こう)」
 茨城の「…だっぺ」は、「…です」。鹿児島の「…だっぺ」は、「…だから」。音は同じでも、意味が違いますね。騙したわけではありません。

 乗車率200%以上かと思われる大混雑の新幹線に「東京」から「新函館北斗」まで乗ったことがありました。4時間以上もぎゅうぎゅう詰めの車内に立ち尽くしていた訳ですが…。
 青森駅での乗り換えは、数千人が「我先に!」ですから、押し合いへし合い。流血はなかったようですが大変でした。
 怒号が飛び交いました。私も柄にもなく腹立ち紛れに…
「列を守れっ!それでも武士かっ!」とか、「奥へ詰めろよ!シカトしてんじゃねえぞ!日本人なら武士道を重んじろっ!」と口汚く大音量で叫びました。何の効果もありませんでした。

 なんとか乗り込みました。聞こえてくる言語は、「日本語」「英語」「中国語」…。あと、「津軽弁」。おっと、津軽便は日本語でした。
 津軽弁の会話は、青森から乗車した「母と高校生ぐらいの娘」。ずっと私どもの隣。母娘の会話は、初めのうちは気取った日本語でした。身動きがとれない修羅場に業を煮やしたのか、使用言語が日本語から津軽弁に変わった!豹変ってやつですなあ。

「あんづましくねえなあ(気持ちがやすらがないなあ)
「あだまもぢいぐね (頭の具合がわるいなぁ)」
「押すなじゃぁ!(押すなよ!)」
「後ろの女、ウダデ腹立つ!(後ろの女、モノ凄く腹が立つ)いっぱんだすけだ格好して! (へんな格好して!)」
「まいね、まいね(気にするな)すたのさかもってらいねじゃ(そんなのに構っていられないよ)」

 津軽母娘の「まいね」を耳にしたとき、私は、叫びました。
「マイネ クライネ ナハト ムズィーク!」戦場ですから、恥も外聞もなーんもない。私の大声のジョークに、誰も笑わない!モーツァルトさん、すべってごめんなさい。

「(押してくる男に)な、だだば! (お前は誰だ!)わいーきまげるじゃ (くそーイライラする)。いででで(痛い痛い)、ヒンジャガブ蹴ったなぁ、クソ!(膝を蹴ったな、ウンコ!)」。

 東北の人でなければ、理解できない会話ですよね。
難解方言の双璧、「薩隅方言&津軽弁」。重要文化財にすべきと思います。しかし、壁があるんですねえ。

 方言ですから、「時間的な変遷がある」「地域による濃淡や交雑」「世代的差異」等の壁があるので、文化財の判定に基準が設けられない。
 文科大臣に頑張っていただきたいがぁ?なぬ?文科大臣の名前を知らない?盛山正仁さん、70歳。灘高校→東大。法学博士、商学博士…方言のおもしろさは理解していただけないかなぁ?いただけると思うけどなあ…。


空はあるけど、空軍はない

2024年08月13日 | Weblog
 虫も殺さないブータンに、陸軍があった。「ええーっ!」と、動揺しましたよ。軍隊って、「人様を殺めるかもしれない組織」ですよね。
 蟻すら殺さないブータンの人たちが、志願制の陸軍に入る?どうやら、攻め込まれたら一時的に対応する組織のようですがね。
 海軍はありません。海がないから。アハハ。
 空軍もありません。空はありますが、防空はインド軍の仕事。ブータンって、インドより威張っている雰囲気を醸し出しています。極端に言うと、インドは、属国みたいなぁ…。
ブータン陸軍が保有している航空機は、ヘリコプターが7機。固定翼機が1機のみ。世界軍事力ランキング(world global fire)では、ブータンは最下位。兵力ですかぁ?およそ、7,000人だそう。国民の1%が軍人なのですねえ。

 首都ティンプーから、避寒地プナカへ日帰りで行ってきました。ティンプーは標高2,400m。プナカは、標高1,350m。つまり、プナカは暖かい。そのため、かってプナカは、冬期間の首都でした(1995年まで)。
 およそ77kmの、細く曲がりくねった、凸凹道を行きます。日本中探しても、あのような道路はないでしょう。途中、標高3,150mのドチュラ峠を越えます。片側は岩壁、片側は落ちたら数百メートルを一気に落下する崖。危険すぎる道。この道が、ブータンを横断する唯一の幹線道路…!

 日本へも来て下さった現国王の結婚式は、プナカで行われました。つまり、現国王と后になられた方は、この未舗装の幹線道路を通ってプナカへ行かれた。
「ヘリコプターを使わなかったのか」って?私も、そう思いました。ですから、「ブータンにはヘリコプターはないのか?」と、ガイドに質問しました。その回答が、冒頭のようなブータン陸軍に係わるものでした。
 ヘリコプターは、7機あるのに、何故、使用しなかったのか?ヘリコプターで、国王ご夫妻を送迎して墜落しては大変ということのようです。自動車で、がけ下へ転落しても大変だと思いますがね。
 結婚式には世界各国から要人が参列しましたねぇ。パロにあるブータン唯一の空港から、車でプナカへ来られたわけで…パロ~プナカは、もちろん平地の直線道路などない142km。
…崖から転落した車がなかったので良かったです。 

 インドから、陸路ブータンへ入った時の経験ですが、国境のあたりに公衆トイレがありました。私が見た中では、そのトイレの汚さは、世界一でしょう。私でさえ、あの公衆トイレだけは、お許し願いたい。
 道路から、公衆トイレまで茂みを歩くのですが、その獣道、蚊や虫、針をもつ葉がある植物が…。すぐに刺されます。
 大便用のトイレ、床は踏みつけられた便で足の踏み場がない。何故か、壁まで何かが塗ってあるような汚さ。ドアを閉じると真っ暗(電気など通っていません)。便槽から、魑魅魍魎が湧き出してきそう。ブータンの批判じゃないです。ブータンは、大好き。インドとの国境の公衆トイレが、危険かつ怖いってこと。

「水洗トイレじゃないのか」って?その質問、噴飯物ですよ。私の場合、生還できたから、ラッキーでした。 
 結婚式参列の各国の要人、インド~ブータンの道とは、道路が違うので世界一のトイレ立ち寄ることはなかったでしょう。 しかし、142kmの行程です。一度はどこかのトイレに寄ったかと思います。大丈夫だったかなあ。


畳語(じょうご)は、柔道用語じゃないです

2024年08月12日 | Weblog
 近年、「丁寧すぎる日本語」が増えてきておりまして…

「冷たい冷気が逃げるから、はやく戸を締めて!」 冷気って、冷たいものでしょ!

「机の上の机上を整理しなさい」これ、定番。

「馬から落馬しました」これも古くからありますねえ。

「以上をもちまして、○○を終わります」。「もちまして」を漢字にすると、「以ちまして」となる。
「以上を以ちまして、○○を終わります」御丁寧に「以」を重ねた。

「現代口語を言語学が否定する資格はない」という話になれば、「以上を以ちまして」も、「机の机上」も、「馬から落馬」も、皆許される。
「旅行に行く」も「目的的」も、習慣的に使われているし…よくいう日本語の乱れとはちがうモノ…だからガタガタ言わなくてもいいかな。

 「ガタガタ」は、ガタを重ねているから丁寧すぎるんじゃないかって?ガタガタは、オノマトピアだから丁寧に重ねたものとは違います。「畳語(じょうご)」で、主に世俗的な表現。擬態語、擬声語に多いです。柔道の畳とは、何の関係もないです。

 クタクタ、ポカポカ、カラカラ、ブーブー、モーモー…これら、重ねなければ何が何だか分からない。
 「遠足へ行ってきて、クタだ」…意味が解らない。
 「天気が良くてポカだ」…天気が失敗でもしたのか?

 幼児語も、畳語にちまちゅねえ。「(靴を)履き履きちまちょう」「寝ん寝ちまちょう」「噛み噛みちてね」…変だって?実際使うでしょう!?

 「我々は…」これは、「我」と「我」を重ねました。通常「我々」と表記します。「々」は、重ね字とか踊り字とか呼ばれています。
 名詞の複数形の表現に畳語がよく使われます。「人々」「国々」「村々」「神々」「日々」「山々」…。「時々」「寒々」は、 副詞的表現ですかね。「外は寒々、懐も寒々…」。

 中国語は、畳語が多いです。パンダの名前は、全てではないかも知れませんが、畳語。「ランラン」「カンカン」「ペケペケ」…「ペケペケというパンダがいるのか?」って?た、たぶんいると思います。四川省の山中にね。人知れず暮らして居るのでしょう。人知れずだったら、一体誰が、ペケぺケと名付けたんだ?まあ、深いことは考えずに。

 犬の鳴き声は、外国でも殆ど畳語です。
 日本語…wan-wan、英語…bow-wow、ドイツ語…wau-wau、イタリア語…bau-bau、ノルウェー語…voff-voff、ロシア語…gaf-gaf、中国語…wang-wang
 どれも、確かに犬の鳴き声ですね。地球人の耳は人種国籍の如何を問わず同じように聞こえるということでしょう。

 丁寧すぎる日本語から、「ガタガタと畳語へ陥ってしまい」ましたぁ。ウマイなあ!
 私が書くと、畳語(じょうご)は冗語(じょうご)になってしまいますかね。常語(じょうご)のつもりなのですが。これまたウマイなあ。「じょうご」の三段重ね。