人だすけ、世だすけ、けんすけのブログ

愛知13区(安城市・刈谷市・碧南市、知立市、高浜市)
衆議院議員 おおにし健介

「君舟也、入水也」

2012年04月24日 | 政治
 「貞観政要」という中国の古典に「君は舟なり、人は水なり。水はよく舟を載せ、またよく舟を覆す。」とあります。ポピュリズムはいけません。しかし、民意に背けば、船はひっくりかえってしまいます。「野田」丸は、ただでさえ嵐の中の航海なのに、大丈夫かと心配しています。最近、私が気になったことをいくつか挙げます。

 まず、第一は、前田国土交通相と田中防衛相の問責決議可決について。野党の問責決議を盾にした審議拒否は、天に唾を吐く行為であり、論外です。しかし、我々も野党の時にはやってきました。お互いに与党と野党をそれぞれ経験し、一回ずつ頬をはりあったのだから、もうこんなバカげたことを止めにしようと紳士協定を申し入れすべきです。一方で、与党の責任がないかと言えば、私は、我々与党も猛省しなければならないと思っています。私も予算委員として田中防衛相の答弁を直接聞いてきましたが、見ていられないというのが正直な感想です。百歩譲って専門知識がない大臣はこれまでもいましたが、あの焦点の定まらない目線やしどろもどろの様子を見た国民が「国の安全をこの人に任せていて大丈夫か」と思うのは当然です。なぜ、こんなことになってしまったのか、それは防衛相の人事が一川防衛相の辞任による参院枠の補充として行われたからです。我々は、野党時代、「派閥均衡人事や当選回数で閣僚ポストを回すのはおかしい」と適材適所を求めてきました。なのに、政権交代しても自民党政権と同じことをやってしまっているのです。これでは、国民がそっぽを向くのは当たり前です。

 第二は、原発への対応です。馬淵代議士は、原子力発電所再稼働をめぐる新たな安全判断基準について「目の前に再稼働が迫り、2日間で泥縄式に作った。無責任極まりない行動で、国民に理解いただくのは困難ではないか」と述べました。これは一般の国民の感覚に極めて近いと思います。私は、時間をかけて原発依存率を下げてゼロに近づけていくべきという立場ですが、そのためにも当面は「つなぎ」としての再稼働は必要と考えています。しかし、こんないい加減な形で再稼働をすれば、「つなぎ」として安全な原発を再稼働することさえできなくなってしまいます。新たな原子力規制組織もできていません。また、国会事故調の結果も出ていない中では、事故原因を究明し、それに対する対策を立て、新たな安全基準を作ることも不可能です。野田総理も長期的に「脱原発依存」社会を目指すと言ってきました。段階的に原発依存率を下げてゼロに近づけていく工程表を早く国民に示すとともに、「泥縄式」の安全基準で再稼働を急ぐことは避けるべきです。

 第三は、政治改革、行政改革への対応です。ほとんどの国民は、消費増税率の引き上げは、いつかはやらなければならないことだと理解してくれていると思います。しかし、増税の前にやるべきことをしっかりやれと言っているのです。「八ッ場ダムに代表される大型工事をなぜ、止められないのか」、「議員自ら身を削る姿勢が見えない」というのが大勢の声です。特に、議員定数の削減は「どうせ口先だけで、やるつもりなんかないでしょ」と見られています。私は、個人的には、比例定数80削減の法案を国会に提出して、会期末までの間に与党が多数を握っている衆議院で可決してしまえばよいと考えています。参議院は、「ねじれ」状態なので、参議院では法律案は通りません。しかし、私たち衆議院の議員定数を減らそうという法案に、なぜ、参議院が反対できるのでしょうか。もし、反対をすれば、それこそ、国民は「参議院なんて要らない」と言うのではないでしょうか。

 消費税もTPPもがれきの広域処理も国民が諸手を挙げて賛同してくれることのない難しい問題です。私は、これからは、国民が嫌がることに国民の理解を求める役割が政治家には増えてくると思っています。だからこそ、ひとつひとつの政治課題に対して、丁寧な対応を心がけなければ、思わぬところで足をすくわれることになりかねないと思います。


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