ホルモン屋徒然草~珍しホルブロだ

新米ホルモン屋の親爺の日々。ホルモンのこと、店の出来事、周辺の自然や話題。

一方通行逆走

2008-09-05 13:56:12 | 第1紀 生きる
「をかしら屋盛岡大通店」は盛岡大通の裏筋一本外れたところにある。
県央にお住みの方はお分かりになると思うが、盛岡市大通の出口、サンビルの五叉路交差点の一方通行を菜園側に入った、ハンバーグで有名な「ベル」さんの隣の交差点角にある。

この角は、サンビル側から菜園に至る一方通行路、岩手公園側はそうではないのだが岩手公園から映画館通りへ抜ける方はこの交差点から一方通行、つまり角の三方は一方通行である。

映画館通りと大通で区切られた、菜園・岩手公園側のこのエリアの小道は、ほぼ一方通行となっている。

だが、最近はこの一方通行を無視して走る車が続出である。
昨日も今日も、ちょっと店から道路を走る車を見ていると、あれっ!! 逆走!! ってな車が何台か続けて出てくるから恐い。

特に、店の斜向かいにコインパーキングができてからは尚更だ。

他県ナンバーの車も多いが、やはりお歳のご婦人がたの運転が多いように思う。

昨日などは、ちょっと店へ向けて歩いている間に、あちこちと続けて3台も!!
いろいろな小道に逆走。
一方通行の路を逆走し、交差点で更にまた逆走なんて車もある。

おいおい、標識ぐらい見ろよと思うのだが、はて標識を見る気配なく、右見て左見て、小首をかしげてえいっと来る人が多いようだ。

本人は知らない路で、たぶんパニックになっているのだろう。
特に、当店の四つ角の路はどちらも広いから、一方通行なんて頭にも浮かばないのかもしれない。

しかし、他の車にも通行人にもよろしくない。
車に乗っているのは、すごく大きく固い、それでいて気の回らない反応の遅い凶器に乗っているようなもの。

そういう私も、過去、二回ほど逆走した想い出があるが、やはり気をつけなければいけない。

そして、今は便利なものが車についていようが、初めての土地に行くには地図を見るなりの準備が必要だろうし、もちろん体の調子の悪いときや雨模様のときは充分注意が必要だし、携帯電話やカーラジオなどに気を取られていたりしてはいけない。

迷ったら、止まって考えること。
車は止まれば安心。
そして、たぶん気が動転しているあなたも、止まることによって気持ちを落ち着けることができる。
迷わば止まれ。
立ち止まって来た路を振り返り、行きたい場所を確認する。
車も人生も、ね。

と、イタリア人みたいに走りながら考えると良く言われるワタシが申しております。

マップ

煮込んでうまし、牛スジ煮と前沢牛はばきの冷麺チャーシュー

2008-09-05 00:02:41 | ホルモン・肉
良く運動する部分の筋肉やスネなどの部位は、そのままではアスリートらしく固い部分である。

そのまま焼いて食べようとしても、かなり薄く切るか、余程のテクニックを持つか、あるいはお食べになる方がそういう趣向を持っていないとなかなか大変なものだ。

しかし、ことこと煮込むとなかに溶け込んだコラーゲンが出て、固い筋も柔らかくなる。

あまり運動しない柔らかくさしの入ったロースやバラなどの部位はそのまま焼肉やすき焼きで、スネやソトモモなどの固い部位は煮込んでシチューなどに向く。
これで、一頭余すことなく食べることができますよ、となる。

まあ、ここまでは教科書通りでございます。
でも、やはり一番大事なことは、生き物を人間の食用として供されているわけだから、全ての肉、内臓、皮、血にいたるまで、丸ごと大切に使おうということで、ここら辺は肉食文化の歴史の長い西洋や中国などに多くを学ぶべきであると思う。
びっしりとサシの入ったお肉以外はなかなか食べることがないとか、焼肉かすき焼きかカレー以外の料理、特に煮込み料理やオーブンを使う技術をあまりつかわないというのが標準的な日本の家庭であるだろうし、そういう意味で、まだまだ食肉の調理を知るべきなのだろう。

などと、偉ぶって言っているわけではなくて、「をかしら屋」のブランドネームの背景が「舌の先から尻尾まで食べ尽くす」という意味であることをお知らせしたいのであります。
コホン。

で、毎日毎日、仕込みの多い店、「をかしら屋」であります。
他のお店を経てやってきた新入社員くん達は、一様に仕込みの多さに驚くんですが、タレはもちろんスープや一品料理はほぼ自家製ですから、毎日あれやこれやと仕込んでいるわけです。

今日は、まず「牛スジ煮」。



国産の牛スジに加え、店内で焼肉用に処理する和牛の整形スジもきちんと取り置きし、このスジ煮の原料となります。

筋といってもいろいろ。
精肉工場のカット工程で出てくる何種類かの大振りのスジ。
中には完全に食品工業用のスープの出汁としてしか使われないものもありますが、これはこれで良い出汁とコラーゲンが出るわけです。
精肉工程や肉屋さんなんかで出てくるスジは、料理用に使える良質なスジです。
この整形スジをいただいて、「をかしら屋」のスジ煮を作ります。

最初に熱湯で一度、湯掻きます。
スジの場所にもよりますが、けっこうアクが出ますので、これを出し切り、良く水洗いをします。
そして、また大きな鍋で先程の一次処理したスジをコトコト煮ていきます。
大切なのはお湯の温度。
スジを柔らかく、形を残して煮込むには85℃以下の温度がいいかなと思います。
大きな鍋で、鍋底から水泡がプツプツと三本くらい湧き出るような温度。
弱火で、決して沸騰させてはいけません。

よく、圧力鍋を使う料理方法が本に載っていますが、ワタシには?(ハテナマーク)です。
ちょいと乱暴な感じがしますね。
これよりは、煮込み料理にはシャトルシェフや炊飯器を使った簡便な方法の方が理に適っていると思いますが、やはり基本はコトコトですね。

ただ、立派なマンションやアパートでは、ある一定以上の長時間、ガスが出っぱなしになっていると自動遮断する安全装置が起動する場合もあるらしいですね。
(実際、ワタシの事務所ではそんなことがありました。これは、本当につけっぱなしの消し忘れでしたので助かりましたね。)

このコトコトの時に、香味野菜を入れてスジの独特の匂いを消したり、白ワインなんかを入れて柔らかくしたりするのは、それぞれの技法でしょう。
一度、湯でこぼしでアクを取っていますが、このコトコトの間も、こまめに出てくる小さなアクを取ってください。

そしてある程度柔らかくなったら味付け。
えっ、ある程度って・・・?
スネなどの固い部位は、ワタシの経験では最低1時間50分。
スジの場合はもっとですね。
ウチの店では相当長い間、コトコトやっています。
煮崩れてもいけませんので、時々お味見を。
味見をしている間に、「無くなっちゃった」なんてことのないように!!

味付けはいろいろなレシピがありますね。
これはお好みで。
でも、最初は薄味で。
塩味も、スパイスなども最初は薄く、あとから調整としないと、取り返しのつかない味になってしまいますから、ここだけは注意しましょう。

ウチの店は、いろいろ試してみたんですが、今はとてもシンプルです。

もともと、スジ煮は店のメニューではなく、カルビやロース用のお肉を整えるときに出るスジや薄皮を、まかない用に調理したことから始まりました。
常連さんのもお分けしながら、今の味に落ち着き、裏メニューから本メニューになったわけです。

まかないで作っていたときは、本当に少しだけですので、小さな鍋で火にかけっぱなしで調理していたんですが、忙しいときはつい目を離して、焦がしていたものです。
やはり煮込み料理は大鍋がいいですね。
家庭でも作り置きできますので、できるだけ大鍋で。
なぜか鍋が大きいほどいい味になります。

・・・んで、「をかしら屋」の味付けはなんですかって。
・・・秘密ですが、お食べになればわかりますからベースだけご紹介しましょう。

それは「味噌」。
味噌っていっても種類はいろいろですよね。
お好みなものを見つけてください。
そして、味付けはあっさりと、あっさりと、上品に。

それからヒントを一つだけ。
お店でもネギは白い部分を多用します。
そして、余った青いところ、頭の部分を煮込み用に取っています。
ここをどれだけ使うかによって、味が全く変わってきます。

ご家庭でもあまり野菜はくずにして捨てないで、煮込みスープ用に冷蔵庫に取っておくと、いつもの料理が一段とおいしくなりますよ!!
(キャベツの芯や、ブロッコリーの茎や、白菜の外の葉もね)

さて、隣の鍋を覗くと、冷麺チャーシューの仕込みが。
そして、今日はテストです。

いつもは国産牛のスネ肉を使っています。

牛の足は四本ありますよね。
前足が「まえすね」、関西では「ちまき」。
後ろ足が「ともすね」、関西では「ともちまき」。
「ともすね」のほうがスープの出汁にはいいという方もいらっしゃいますが、残念ながらこれはまだワタシには実学としての知恵はありません。

このスネを普段は冷麺スープとり、兼、冷麺チャーシューにしています。
前足、後足もありますが、畜種の違いもありますね。
和牛、とくに前沢牛のスネが入ることが多いんですが、最近はこのスネも高嶺の花。
欠品のときもありますので、これに備え、今回、前沢牛の「はばき」を確かめてみようということになったわけです。

「はばき」は「しきんぼう」「なかにく」と分けられる、ソトモモの一部分。
その性格上、スネと同じように調理される場合が多いです。

で、まあ早速、試作中なんですが、形から言えばチャーシューとしてはスネの方がうまく取れるかも。
味、テクスチャー、冷麺との相性については、一晩置いてから試食してみます。



さて、この冷麺チャーシューは一泊二日の工程で作られます。
それぞれの店独自の作り方があるようですが、「をかしら屋」の冷麺チャーシューはワタシも惚れています、自慢の作です。

ぜひ、すっきりした冷麺スープ、太く、長く、固い!! 冷麺の麺とともに味わってください。

じゃ。