気にはなっていた。
盛岡のブロガーさんたちや、地元誌、テレビなんかにも取り上げられていたと思う。
小さい店だという。
ラーメンとカレーだけのメニューで、朝早くからやっているという。
昭和の風情の、懐かしい味のラーメンだという。
グルージャの事務所に、前日の天皇杯岩手県予選のねぎらいの挨拶がてら、記憶を頼りに店を探す。
思った場所に店はあった。
肴町の中三盛岡店の裏通り、少し行った小路を曲がると人ひとり通り抜けれそうな細道の行き止まりの少し前に赤提灯がある。
有楽町街ビルというそうなんだけど、ここら界隈の人にはわかるが、わかりやすく言えば中三を曲がって有名な南部鉄器屋さんの向かいあたりの小路入る、とでも言おうか。
その薄暗い通りを歩くだけで、郷愁とともに期待を感じさせられる。
しかし、暖簾をくぐってたじろいだのは、店の狭さやそのわりに入っている客の多さではない。
カウンター数席、小上がり一テーブルにひしめき合っていたのは、おばさんたちであった。
何かの教室の仲間なのか、おばさんサークルの人たちなのか、近くの中三あたりの昼休みをとるパートさん達のお友達通しなのか、わりと品のいいおばさんたちが小上がりに入りきれず、カウンターまで勢力を伸ばしている。
入り口前、50センチにあるカウンターがちょうど空いていたから、たじろぎながらも退出できず、座らざるを得なかった。
いや、いくら品のいい、仲良さそうなおばさんがたでも、ワタシ的には、この「おばさん」族が基本的に苦手なのであります。
本当はすぐさま逃げ出しそうなくらい、苦手なのでありますが、まあ覚悟を決めて座ったわけです。
たらたらと冷や汗を流し、得たいの知れぬ苦笑いを浮かべながら、座ったわけでございます。このワタシ。
ざわめく品のいいおばさんたちのことは、できるだけ意識から排除しようとして「意識」するわけであります。
そして、一坪半くらいの奥の厨房のあばさんが熱心に作品をお作り遊ばしている間、じっと我慢の子でメニューなどを眺めます。
十分ほどして、先約のおば様たちのラーメンを運んできたおかみさんに注文。
事前情報には無かった「ラーメンと半カレー 600円」也!!、を頼む。
暖簾をくぐる前は、ラーメンにしようかカレーにしようか迷っていたんですが、このセットメニューがあったおかげで悩みは解決。
おまけに安いではないか。
水もご飯もセルフなそうであり、目の前の冷水ジャーをひねろうとするが水が無い。
と、おかみさんがペットボトルに入った水を持ってくると、すかさずワタシの横に上品にお座りになるおばさまが、「私がやっておくから」とジャーに水を入れ、さらにワタシのコップに水を汲んでくれる。
ややや、さすがに常連さん。
こういう優しい常連さんたちで一杯のお店は素晴らしいわけです。
そして、カレーはやはり目の前で鍋に入れられ保温されていますので、すぐさま、はいよと出てきます。
はは~、小麦粉ルーのとろりとした、しかしながら少しスパイシーな、ワタシの舌の記憶では以前勤めていたところの配合に近い懐かしい味のカレーでございます。
ニンジンも色鮮やかで、お肉もまあまあしっかり入っています。
郷愁のカレーでございますし、まったく家庭的なお味でございまして、ほっとするわけであります。
そして、間もなくラーメン。
限りなく細い縮じれ麺であります。
これが、これまた懐かしい味の鶏だしとでもいいましょうか、それにしてはさっぱりした醤油だしのスープと相まって、まさにこれまた郷愁のラーメンであります。
丼の小さいのも、おばさんがたにはいいのでありましょう。
しかし、それにしても懐かしいスープの味。
舌に心地好く絡みつくうま味。
懐かしい味の記憶はいつまでも残るもの。
余談ですが、常連さんとの会話で、いや~昔のお菓子のあのサッカリンの味が懐かしいね~、という言葉通り、その昔はどの家庭にもで~んと置かれていたあの調味料の味が、このスープに溶け込んでおいしさと懐かしさをかもしだすわけです。
二種類選べると聞いていたけど、何も問われず出てきた豚肉チャーシューも本当に薄いのが何枚かなのだけど、おいしい。
セットメニューながら量もちょうどの良さでした。
ほっとした胃袋と記憶中枢で、昔をさまよいながら、心地よく店をあとにしました。
お店にいたときずっと考えていたのは、常連のおばさんたちのこと。
常連に囲まれてお店をやるのは、やはり幸せなことだなと。
先週末の同業の先輩のお話を想いだしました。
これからは、定年退職者も多くなるし、小さい店で、毎晩、決まった常連さんに囲まれて、いつも満席のお店がいいんだよと。
へんな大店(おおだな)や、人を雇う中途半端な大きさの店より、こういう店を一人で切り盛りしてた方が安定するというお話でした。
まさにその通りのお店。
たまたまワタシが入ったこの日だけではなく、いつも常連さんで一杯だと思われるこのお店を好ましく思ったわけであります。
確かに一見(いちげん)さんは入りにくいかもしれないけど、常連さんに甘えることなくしっかりと味を作っていけば、やがて新しいお客様も増えるわけでしょうからね。
「ほっと肴町」で、ほっとしたお昼のお話でした。
お店の名前は「らーん」です。
情報は、ここクリック。
盛岡のブロガーさんたちや、地元誌、テレビなんかにも取り上げられていたと思う。
小さい店だという。
ラーメンとカレーだけのメニューで、朝早くからやっているという。
昭和の風情の、懐かしい味のラーメンだという。
グルージャの事務所に、前日の天皇杯岩手県予選のねぎらいの挨拶がてら、記憶を頼りに店を探す。
思った場所に店はあった。
肴町の中三盛岡店の裏通り、少し行った小路を曲がると人ひとり通り抜けれそうな細道の行き止まりの少し前に赤提灯がある。
有楽町街ビルというそうなんだけど、ここら界隈の人にはわかるが、わかりやすく言えば中三を曲がって有名な南部鉄器屋さんの向かいあたりの小路入る、とでも言おうか。
その薄暗い通りを歩くだけで、郷愁とともに期待を感じさせられる。
しかし、暖簾をくぐってたじろいだのは、店の狭さやそのわりに入っている客の多さではない。
カウンター数席、小上がり一テーブルにひしめき合っていたのは、おばさんたちであった。
何かの教室の仲間なのか、おばさんサークルの人たちなのか、近くの中三あたりの昼休みをとるパートさん達のお友達通しなのか、わりと品のいいおばさんたちが小上がりに入りきれず、カウンターまで勢力を伸ばしている。
入り口前、50センチにあるカウンターがちょうど空いていたから、たじろぎながらも退出できず、座らざるを得なかった。
いや、いくら品のいい、仲良さそうなおばさんがたでも、ワタシ的には、この「おばさん」族が基本的に苦手なのであります。
本当はすぐさま逃げ出しそうなくらい、苦手なのでありますが、まあ覚悟を決めて座ったわけです。
たらたらと冷や汗を流し、得たいの知れぬ苦笑いを浮かべながら、座ったわけでございます。このワタシ。
ざわめく品のいいおばさんたちのことは、できるだけ意識から排除しようとして「意識」するわけであります。
そして、一坪半くらいの奥の厨房のあばさんが熱心に作品をお作り遊ばしている間、じっと我慢の子でメニューなどを眺めます。
十分ほどして、先約のおば様たちのラーメンを運んできたおかみさんに注文。
事前情報には無かった「ラーメンと半カレー 600円」也!!、を頼む。
暖簾をくぐる前は、ラーメンにしようかカレーにしようか迷っていたんですが、このセットメニューがあったおかげで悩みは解決。
おまけに安いではないか。
水もご飯もセルフなそうであり、目の前の冷水ジャーをひねろうとするが水が無い。
と、おかみさんがペットボトルに入った水を持ってくると、すかさずワタシの横に上品にお座りになるおばさまが、「私がやっておくから」とジャーに水を入れ、さらにワタシのコップに水を汲んでくれる。
ややや、さすがに常連さん。
こういう優しい常連さんたちで一杯のお店は素晴らしいわけです。
そして、カレーはやはり目の前で鍋に入れられ保温されていますので、すぐさま、はいよと出てきます。
はは~、小麦粉ルーのとろりとした、しかしながら少しスパイシーな、ワタシの舌の記憶では以前勤めていたところの配合に近い懐かしい味のカレーでございます。
ニンジンも色鮮やかで、お肉もまあまあしっかり入っています。
郷愁のカレーでございますし、まったく家庭的なお味でございまして、ほっとするわけであります。
そして、間もなくラーメン。
限りなく細い縮じれ麺であります。
これが、これまた懐かしい味の鶏だしとでもいいましょうか、それにしてはさっぱりした醤油だしのスープと相まって、まさにこれまた郷愁のラーメンであります。
丼の小さいのも、おばさんがたにはいいのでありましょう。
しかし、それにしても懐かしいスープの味。
舌に心地好く絡みつくうま味。
懐かしい味の記憶はいつまでも残るもの。
余談ですが、常連さんとの会話で、いや~昔のお菓子のあのサッカリンの味が懐かしいね~、という言葉通り、その昔はどの家庭にもで~んと置かれていたあの調味料の味が、このスープに溶け込んでおいしさと懐かしさをかもしだすわけです。
二種類選べると聞いていたけど、何も問われず出てきた豚肉チャーシューも本当に薄いのが何枚かなのだけど、おいしい。
セットメニューながら量もちょうどの良さでした。
ほっとした胃袋と記憶中枢で、昔をさまよいながら、心地よく店をあとにしました。
お店にいたときずっと考えていたのは、常連のおばさんたちのこと。
常連に囲まれてお店をやるのは、やはり幸せなことだなと。
先週末の同業の先輩のお話を想いだしました。
これからは、定年退職者も多くなるし、小さい店で、毎晩、決まった常連さんに囲まれて、いつも満席のお店がいいんだよと。
へんな大店(おおだな)や、人を雇う中途半端な大きさの店より、こういう店を一人で切り盛りしてた方が安定するというお話でした。
まさにその通りのお店。
たまたまワタシが入ったこの日だけではなく、いつも常連さんで一杯だと思われるこのお店を好ましく思ったわけであります。
確かに一見(いちげん)さんは入りにくいかもしれないけど、常連さんに甘えることなくしっかりと味を作っていけば、やがて新しいお客様も増えるわけでしょうからね。
「ほっと肴町」で、ほっとしたお昼のお話でした。
お店の名前は「らーん」です。
情報は、ここクリック。