ヒューザーが,偽装マンションの検査を見抜けなかったとして,都県及び市町村に対して,損害賠償を請求する訴訟を提起したそうです。また,イーホームズに対しても,同様に訴訟を提起したようです。
これに対して,住民らからは「訴える金があるなら補償に回せ」など,かなり冷ややかな反応のようです。
まあ,ご自由にどうぞ!
裁判を受ける権利は誰にでもありますから,これに対して外野がとやかくいう筋合いのものではありませんし,ましてや「訴えるな」などとは部外者が言うべきことではないでしょう。さらに,国土交通大臣までも訴えることに批判的なのは,さすがに裁判を受ける権利の妨害になるのでは,という気もします。
したがって,まあ,好きにやってもらいましょう。
ただ,感情論を抜きにして,この訴訟によって,実はいくつか考えなければならない点があるのです。
1 ヒューザーが自治体に損害賠償をした根拠として,「住民に対する損害賠償」が含まれていたとすれば,ヒューザーが住民の自治体に対する損害賠償請求権を代わりに請求しているといえます。
とすれば,住民としては,ヒューザーに対して補助参加(ヒューザーが勝つように訴訟に加わること)をしなかった場合,ヒューザーがそのまま負けてしまうと,住民は,別途自治体に対して国家賠償法に基づく損害賠償請求ができない可能性があります。
つまり,この訴訟によって,住民の損害賠償請求の選択肢が狭まってしまうおそれがあります。
2 仮に1の法的問題がクリアできたとしても,やはりヒューザーが敗訴すると,おそらく判決では「地方自治体の法的責任はない」ということになるのでしょうから,いよいよ国や地方自治体による住民支援策の法的根拠をなくしてしまいかねないということになります。
3 仮に,ヒューザーが勝訴した場合,住民に分配される損害賠償額は,この訴訟のみをベースに考えると,「ヒューザー側の言い値」になります。
それを回避するには,別途住民からヒューザーに対して,損害賠償請求訴訟を提起しておかなければならないことになります。
以上の観点が問題となります。そして,こういう観点から見ると,冒頭にいったとおりよけいなことであることは百も承知ですが,あえていうと,ほとんど調整や根回しもできていないうちに訴えを提起してしまったため,「勇み足の訴訟」だったのかなあ,という気がします。
いずれにしても,今回の訴訟提起でいえることは,「被害住民も,本格的に訴訟活動に着手しなければ,非常に不利になる可能性がある」ということです。
被害者団体にも弁護士が付いているようですから,当然そんなことは想定の範囲内だとは思いますが,もし,ただあきれて物も言えないとだけ思っている被害住民がいましたら,じっと耐えることなく,国や地方自治体の責任を問うのかどうかも含めて,直ちに次の一手をうってください。
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http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1674870/detail
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http://123032-hill.at.webry.info/200601/article_62.html
http://tetujinmama.seesaa.net/article/12546455.html
http://blog.livedoor.jp/jishoujyuku/archives/50545335.html
これに対して,住民らからは「訴える金があるなら補償に回せ」など,かなり冷ややかな反応のようです。
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1 ヒューザーが自治体に損害賠償をした根拠として,「住民に対する損害賠償」が含まれていたとすれば,ヒューザーが住民の自治体に対する損害賠償請求権を代わりに請求しているといえます。
とすれば,住民としては,ヒューザーに対して補助参加(ヒューザーが勝つように訴訟に加わること)をしなかった場合,ヒューザーがそのまま負けてしまうと,住民は,別途自治体に対して国家賠償法に基づく損害賠償請求ができない可能性があります。
つまり,この訴訟によって,住民の損害賠償請求の選択肢が狭まってしまうおそれがあります。
2 仮に1の法的問題がクリアできたとしても,やはりヒューザーが敗訴すると,おそらく判決では「地方自治体の法的責任はない」ということになるのでしょうから,いよいよ国や地方自治体による住民支援策の法的根拠をなくしてしまいかねないということになります。
3 仮に,ヒューザーが勝訴した場合,住民に分配される損害賠償額は,この訴訟のみをベースに考えると,「ヒューザー側の言い値」になります。
それを回避するには,別途住民からヒューザーに対して,損害賠償請求訴訟を提起しておかなければならないことになります。
以上の観点が問題となります。そして,こういう観点から見ると,冒頭にいったとおりよけいなことであることは百も承知ですが,あえていうと,ほとんど調整や根回しもできていないうちに訴えを提起してしまったため,「勇み足の訴訟」だったのかなあ,という気がします。
いずれにしても,今回の訴訟提起でいえることは,「被害住民も,本格的に訴訟活動に着手しなければ,非常に不利になる可能性がある」ということです。
被害者団体にも弁護士が付いているようですから,当然そんなことは想定の範囲内だとは思いますが,もし,ただあきれて物も言えないとだけ思っている被害住民がいましたら,じっと耐えることなく,国や地方自治体の責任を問うのかどうかも含めて,直ちに次の一手をうってください。
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