あれは,あれで良いのかなPART2

世の中の様々なニュースをばっさり斬ってみます。
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平成の「小牧長久手の戦い」決着,やはり鉄砲か

2007年05月19日 04時11分45秒 | 裁判・犯罪
愛知県長久手町で発生した拳銃発砲立て籠もり犯が29時間後に逮捕されました。しかし,SAT隊員の林一歩警部(23歳)が犯人の銃弾を受け,殉職しました。

立てこもり元組員逮捕 殺人未遂容疑 29時間後に投降(朝日新聞) - goo ニュース

またしても有能な警官が犠牲に

まずは林警部のご冥福をお祈りいたします。東武東上線の踏切事故で殉職した警察官同様,警察官の鏡たる方だったようなので,本当に残念でなりません。

さて,今回の事件,一番悪いのは犯人です。それ自体は誰も異論がないでしょう。
しかし,早速愛知県警バッシングが始まりました。その内容については,賛同できるものと異論があるものがありますので,簡単に整理した上で,私見を述べたいと思います。

1 突入が遅すぎる
  総論としてはこの批判には賛成です。
  ただし,突入が遅い理由があります。ます,一般論として「突入する=射殺もあり得る」ということから,現在の警察の取り決めとして「狙撃には県警本部長の許可」が必要となっているため,時間がかかるというものがあります。この趣旨は,警察の任務はあくまでも「生け捕り」だからというものです。
  また,今回の事案の場合,犯人と人質の正確な位置関係がつかめていなかったこと,犯人が所持している武器が把握できなかったことから,慎重にならざるを得なかったといえます(愛知県警は,以前安易な踏み込みによってサラ金立て籠もり事件で爆発に巻き込まれ警察官が重職するという苦い経験があります。)。
  私見として,一般論の部分は,やはりもう少し現場判断が優先できるようなシステムにしても良いのではないでしょうか。犯人の人権もありますが,それ以上に被害者の人権を最優先するべきでしょう。
  一方,各論部分については,やむを得ないでしょう。浅間山荘事件でも,これが時間がかかった要素になっています。あとは,訓練と経験あるのみでしょう。アメリカの警察で研修を積むなどすることで,多少は経験値が上がるのではないでしょうか。

2 命令指揮系統が複雑
  殉職した警察官はSATに所属していました。そして,SATは警備部に所属し,警備部長の指示で動きます。さらには,SAT隊長には犯人射殺も含めた大きな指揮権限を持っています。
  ところが,現場の指揮は捜査一課,すなわわち刑事部長(実質は捜査一課長)が行っていました。
  結果,SATは行動を制約され,満足に動けなかったらしいとのことです。
  私見としては,命令指揮系統は常に1本化しなければなりません。特に,SAT投入事件は,ほぼ確実に刑事部が指揮していて拉致あかなくなったような事案であることから,命令系統の複雑化は想定されます。
  これは,ちゃんとルールを決めるべきでしょう。

3 装備の甘さ
  防弾チョッキやジュラルミン盾の弱さを指摘する声もあります。
  しかし,現状では,あれ以上の装備を付けると,かえって動きが取れなくなりますから,やむを得ないのではないでしょうか。

4 プレス発表の遅さ
  情報がリアルタイムで回ってこないとか,300メートルの規制は大きすぎるという批判が3流週刊誌記者から出ているみたいです。
  この記者,死にたいのでしょうか?
  300メートル規制は,犯人に対する刺激を抑えることと,流れ弾対策の意味があり,別にマスコミいじめのための規制ではありません。
  また,立て籠もり犯はテレビやラジオなどを見ることが想定されます。そんな中で,リアルタイムに情報を流すことは,「手の内をさらす」ことに他なりません。

とりあえずこんなところでしょうか。
愛知県警のみならず警察庁も,今回の事件を踏まえて見直すべき点は見直すべきでしょう。特に,「会議室で事件を見ていた」上層部は,反省点があればしっかり反省しましょう。
しかし,一方で現場で生死をかけて戦った警察官は,自分の任務を全うしただけのことです。彼ら自身を批判の対象にすることは筋違いといえるでしょう。
現場の警察官の皆様,本当にお疲れさまでした。そして,林警部の為にも,今後より一層治安維持に務めてください。

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6 コメント

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青島クンも言ってましたね (masa)
2007-05-19 14:23:08
 現場優先については、私も常々思うふしがあります。「上からの支持待ち」で、結論として若き同士が殉職したのは紛れもない事実ですから。
 逆に言えば、そんなに上の者が指示を出したいのなら、自ら現場に足を運ぶべきでしょうね。

 自分(権限のある上司)が1度でも、今回のような現場に一緒に居合わせたのなら、次回からの指示の出し方も変わると思うのですが。
返信する
Unknown (ponta)
2007-05-19 18:03:42
現場を知らない人が現場を動かそうとする。
傷つくのは現場なのに。
しかし警察の細かい指揮系統のことはよく
わかりませんから、今回のことをしっかり
教訓として、改めるべきところは改めて
ほしいとしか言えません。

ただ私は、より危機感を感じるのは、今回
警察批判を展開している人々についても同じ
ことが言えるのではないかと思うのです。
現場を知らない人が、熱くなっているという
構図は同じ。
そして、一部のマスコミの姿勢。
殉職したSATについて異常なまでの賛美を
展開しています。
先の踏切事故にもあったことですが。
命を捨てることを悔やみこそすれ、すばらしい
とか、誇りに思うべきだとか、そういうニュアンス
で喧伝することはいかがなものか。
彼の親御さんがインタビューで気丈にコメント
されていたことは、お気の毒という他ありません。
戦死した息子の遺骨を抱えて、老親が涙を
こらえて「ありがとうございます。皆様のお役に
立てて光栄でございます。」と言わなければ
ならなかった戦中時を連想させます。
気が動転しているはずの親御さんに、ずけずけ
マイクを向けにいくことの無神経さのほうが
問題にならないのはどうしてですかね。

教育関連三法案が衆院を通過したニュースが
新聞の隅っこで小さくなっていました。
またもや政府の作戦に乗せられたと、ますます
複雑な思いです。センセーショナルなニュース
の影で、大事なことがどんどん先へ進められて
いることを見抜かないといけませんね。


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masaさま,コメントありがとうございました (おかにゃん)
2007-05-20 20:21:34
こんばんは。
人質や自分の生命を守るという観点からすれば,現場の警官が勝手に動くことはご法度といえます。
だからこそ,最高指揮官は瞬時の判断で指示をするとともに,万一のときは自分が責任を取るという潔さが大切といえます。
今回の警察トップは,今のところ自分の責任や判断ミスを誰一人認めていません。現場の警官が今後動きやすくすること,そして同じような事件の再発防止のためには,トップの考え方を変える必要があるでしょうね。
返信する
pontaさま,コメントありがとうございました (おかにゃん)
2007-05-20 20:24:51
こんばんは。
マスコミの対応にも結構問題がありましたね。っていうか,殉職警官の親に対するインタビューはちょっとデリカシーがなさすぎるような気がしました。いつもものことながら,被害者の傷口に塩を塗るような対応にはいささか閉口してしまいます。

ところで,教育関連三法案が衆院通過しましたが,政府与党としては「良いフェイクができた」と逆にこの事件に感謝しているかもしれませんね。
返信する
Unknown (通り)
2010-07-11 02:16:05
アメリカなら直ぐにSWATが射殺するんじゃないかな? まぁSWATも身柄優先だけど…
SWATは300m以上離れた容疑者の銃を貫くほど訓練された先鋭チームだからね。日本とはわけが違う。アメリカの銃社会が浮き彫りにされてますよね。

元はSWATチームが発足されたのもロス暴動が原因で、アメリカ軍の特殊部隊に訓練された警察の特殊部隊ですよ。今では軍と同等並のチームに成長したみたいだけど。
SWATは犯人の状況や周りの状況を全て把握し突入します。SWAT部隊が実戦の上に指揮を任されるのです。
ここも日本と違う。
銃社会アメリカだからこそアメリカはより強力なチームが必要なわけで
日本も組組織に五万丁ほど銃が流通していると言っている。いつ暴走するかわからない状態です。
事件の対象の訓練不足がこの結果を生んでしまったのではないでしょうか?
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通りさま,コメントありがとうございました (おかにゃん)
2010-07-11 22:56:05
こんばんは。
日本のSWATというか警察の場合,まだまだ銃器に対する国民からの批判が強いことや,警察官が職務で犯人を射殺しても,殺人罪で告発するという某政党のような存在があることなどから,いきなり狙撃という点には極めて大きな抵抗を感じているようです。
あとは,訓練ですよね。だいぶ実践訓練などを積んで上達しているようですが,やはりより高度な訓練を積むこと,これが必須かもしれません。
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