16日にTXの「出没!アド街ック天国」で,私の故郷の行田市が紹介されました。
「いやあ,行田で30個のネタが作れるんだなあ!」と感動しましたが(詳しくはツイッターのつぶやきをご覧ください。),その中でもう一つ「行田B級グルメ大会」が紹介されていました。
これは,いわゆる全国的に開催されているB-1グルメ大会のプチバージョンのようなものですが,そうはいっても有名なB級グルメが集まる結構それなりの規模の大会です。
去年も今頃開催し,5万人以上の来客となる一大イベントとなりました。
ところが,今年のイベント,やはりTXの影響でしょうか,予想以上の来客数となり,多くの料理が午前中ですべて完売し,一方でその後も夕方ごろまで会場に向かおうとする方々が殺到し,道路渋滞等がかなり続きました。それゆえ,やっと会場についても「もう完売」っていうことで,クレームが結構殺到したようです。
また,運よく会場にたどりついた方も,一品食べるのに2時間待ちはざらという状態で,結局1,2個しか食べることができず,B級グルメを堪能できなかったというこれまたクレームも多かったようです。
実際,私は行かなかったので,ツイッターで雰囲気をしばらく見ていたのですが,最初のうちは,「行田,おもしろそう」,「行田行ってみよう」,「B級グルメ楽しみ」みたいなわくわく感満載の書き込みが多かったのですが,11時過ぎころから急に風向きが変わり,「混んでる」,「渋滞でなかなか着かない」,「シャトルバス動かない」,「行列長すぎる」,「完売ならもっと早く言え」みたいなクレームめいた書き込みが急増してきました。
このイベント,行田市の知名度アップはもちろんのこと,行田の観光にも大きく貢献しており,のみならず,出店した各市町村のB級グルメやその市町村自体の知名度アップにも大きく貢献をしているため,イベント自体は非常に魅力的ですし,素晴らしいものです。
また,私自身,こうしたイベントに携わったこともありますので,裏方の苦労が計り知れないっていうことも分かります。今回の運営も,相当前から打ち合わせを繰り返し,かつ当日も予想外の来客数を裁くべく,必死に動き回ったことは容易に想像できます。そういう意味では,本当に主催者や実行委員の方々には頭の下がる思いでいっぱいです。
とはいえで,せっかくのイベントだったのに,クレームばかりで行田のイメージダウンになってしまっては,元も子もありません。
では,今回のイベント,なぜこのような結果になってしまったのでしょうか。現場を見ていないので正確なことは言えませんが,ネット上での来客者の反応や,土地勘を踏まえると,次のような点がうかがえると思います。
1 メディア戦略の甘さ(TXの放送の威力をなめていた)
2 顧客動線の読みの甘さ(1と相まって,去年大丈夫だから今年も大丈夫だろうということから,誘導をシンプルにしてしまった)
3 シャトルバスのルートを一般来客と一緒にしてしまった(シャトルだって渋滞に巻き込まれてしまいます。数年前に,F1富士グランプリで同様の失敗をしてしまい,裁判沙汰にまでなりました。)。
4 市街地ルートの活用不足(秩父鉄道利用者と市街地方面からくる来客の動線をほとんど考慮しなかった。)。
5 出店者側への情報伝達の甘さ及び出店者側の目論見の甘さ(損得勘定メインでスタッフおよび材料を決めてしまったため,急増することを想定できなかった。)。
6 会場運営の甘さ(本家B-1も相当時間待つため,それが売りの一つになるだろうって過信してしまった)。
7 情報伝達の弱さ(完売情報が駅前等に伝わらず,午後になっても現場について初めて完売に気が付く,っていうことになってしまった。)。
ざっくりあげると以上になるでしょう。
それを踏まえ,私見ではありますが,来年以降も同様のイベントを企画する場合や,誘致を行なっているB-1グランプリが開催される場合は,次のような点を再検討すれば,より充実したイベントになるでしょう。
あと,あえていうと,「コミケの運用を勉強してみる」というのも手かもしれません。コミケには十万人規模での来訪者がありますが,事前のPRと各ブースへの連絡の徹底,スタッフの動きの確認などを確実に行っているため,混乱を最小限に裁いています。この動き,オタクだからといって毛嫌いしないで,むしろ貪欲につかみ取った方がよいかもしれません。侮れませんよ!
1 10万人の来客を想定したイベントとして全体計画を立てる(B-1規模になると,15万人にしてもよいかもしれない。)。
2 場所は今回のさきたま古墳群がベスト(敷地面積,基本駐車場,逃げ道,観光スポットなどを踏まえると,これ以上の適地はない。)。
ただし,予備的なアイデアとして,総合体育館も検討の余地あり(雨天対策と自動車動線を踏まえると,いくつかのフォローポイントがあるものの,無理な話ではない。)。
3 市外動線はメインルートを決めつつも,いわゆる「裏道」を伏線として張っておき,案内看板を設置しておく(市外からの来客は,渋滞にイライラすると,農村部では農道などを平気で走りだし,平気で農道に路上駐車する傾向がある。これを防ぐためには,逃げ道案内板をいくつか作っておく必要がある。)。
4 鉄道による来客は,JRだけではなく,秩父鉄道も視野に置く。また,最寄り駅は,武州荒木駅か東行田駅とする(中心市街地はどっとにしろ大渋滞するため,次にあげるシャトルバスの運行ルートを容易にするためにも,あえてこうした駅を最寄りにすることで,人出を分散させる。)。
5 シャトルバスは専用路線を設ける(裏道の一つは,生活者以外通行禁止の道路とし,そこをシャトルバスが通るようにする。)。
6 出店者に対しては,「このイベントは損得ではなく,地域活性化のための広告的役割である」ということを認識させ,完売することよりも多くのものを配ることを意識してもらう(10万人が食べる,っていうくらいのノリでもよい。)。また,主催者は,どのようなメディア戦略をしているのか,また直前にどの程度の報道機関からの取材が来ているかなどの情報をまめに提供する。逆に,出店者は,自分に取材が来ている場合は,そのことを主催者に情報提供する(1店だけの独占取材といえども,それが全国ニュースになると,来客数に大きく影響するため。)。
7 会場では,食券制度を導入し,場合によっては配布できる時間を食券に書いておく「ディズニーランド方式」とする(これにより,配布見込みや残数の把握が容易となり,大人気店も行列整理が多少楽になり,会場全体に人が平均化することができる。のみならず,仮に2時間待ち状態になったとしても,その間古墳を見てもらうなど観光を楽しんでもらうことができ,一石三鳥くらいの効果が期待できる。)。
8 情報はシャトルバス発着地にリアルタイムで提供するとともに,自動車による来客者に対しては,防災無線等を活用して完売情報を伝達する。もちろん,主要路線の案内板に完売の情報を出すことも人的物的に可能であればなお可。
9 市民総出のイベントとする(京都や鎌倉などの観光地は,街に住む市民も観光客に対して親切であったため,市民に対して事前の情報提供をかなりしつこく出すとともに,当日の会場までの案内や,渋滞に関する情報を主催者へ提供することなどをお願いする。もちろん,あくまでもお願いレベルの話だが,地域活性化の一番の主体は「街の人たち」に他ならないので,こうした意識付けを普段からしておくとよいであろう。)。
以上が,ざっくりレベルですが,思いつく改善案です。もちろん,物理的,人的,予算的な事情や,そもそもの分析ミス等もあるでしょうから,すべてがすべて実現できるとは限らないかもしれません。とはいえ,「リアル行田」を多くの方に見てもらい,「やっぱいいところじゃん,また来たいなあ」って思っていただくためには,ある程度の見直しも考えるべきでしょう。
それこそが,「われら,われらの伸びゆく行田,伸びゆく行田」なのです。
頑張れ,行田市!!
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「いやあ,行田で30個のネタが作れるんだなあ!」と感動しましたが(詳しくはツイッターのつぶやきをご覧ください。),その中でもう一つ「行田B級グルメ大会」が紹介されていました。
これは,いわゆる全国的に開催されているB-1グルメ大会のプチバージョンのようなものですが,そうはいっても有名なB級グルメが集まる結構それなりの規模の大会です。
去年も今頃開催し,5万人以上の来客となる一大イベントとなりました。
ところが,今年のイベント,やはりTXの影響でしょうか,予想以上の来客数となり,多くの料理が午前中ですべて完売し,一方でその後も夕方ごろまで会場に向かおうとする方々が殺到し,道路渋滞等がかなり続きました。それゆえ,やっと会場についても「もう完売」っていうことで,クレームが結構殺到したようです。
また,運よく会場にたどりついた方も,一品食べるのに2時間待ちはざらという状態で,結局1,2個しか食べることができず,B級グルメを堪能できなかったというこれまたクレームも多かったようです。
実際,私は行かなかったので,ツイッターで雰囲気をしばらく見ていたのですが,最初のうちは,「行田,おもしろそう」,「行田行ってみよう」,「B級グルメ楽しみ」みたいなわくわく感満載の書き込みが多かったのですが,11時過ぎころから急に風向きが変わり,「混んでる」,「渋滞でなかなか着かない」,「シャトルバス動かない」,「行列長すぎる」,「完売ならもっと早く言え」みたいなクレームめいた書き込みが急増してきました。
このイベント,行田市の知名度アップはもちろんのこと,行田の観光にも大きく貢献しており,のみならず,出店した各市町村のB級グルメやその市町村自体の知名度アップにも大きく貢献をしているため,イベント自体は非常に魅力的ですし,素晴らしいものです。
また,私自身,こうしたイベントに携わったこともありますので,裏方の苦労が計り知れないっていうことも分かります。今回の運営も,相当前から打ち合わせを繰り返し,かつ当日も予想外の来客数を裁くべく,必死に動き回ったことは容易に想像できます。そういう意味では,本当に主催者や実行委員の方々には頭の下がる思いでいっぱいです。
とはいえで,せっかくのイベントだったのに,クレームばかりで行田のイメージダウンになってしまっては,元も子もありません。
では,今回のイベント,なぜこのような結果になってしまったのでしょうか。現場を見ていないので正確なことは言えませんが,ネット上での来客者の反応や,土地勘を踏まえると,次のような点がうかがえると思います。
1 メディア戦略の甘さ(TXの放送の威力をなめていた)
2 顧客動線の読みの甘さ(1と相まって,去年大丈夫だから今年も大丈夫だろうということから,誘導をシンプルにしてしまった)
3 シャトルバスのルートを一般来客と一緒にしてしまった(シャトルだって渋滞に巻き込まれてしまいます。数年前に,F1富士グランプリで同様の失敗をしてしまい,裁判沙汰にまでなりました。)。
4 市街地ルートの活用不足(秩父鉄道利用者と市街地方面からくる来客の動線をほとんど考慮しなかった。)。
5 出店者側への情報伝達の甘さ及び出店者側の目論見の甘さ(損得勘定メインでスタッフおよび材料を決めてしまったため,急増することを想定できなかった。)。
6 会場運営の甘さ(本家B-1も相当時間待つため,それが売りの一つになるだろうって過信してしまった)。
7 情報伝達の弱さ(完売情報が駅前等に伝わらず,午後になっても現場について初めて完売に気が付く,っていうことになってしまった。)。
ざっくりあげると以上になるでしょう。
それを踏まえ,私見ではありますが,来年以降も同様のイベントを企画する場合や,誘致を行なっているB-1グランプリが開催される場合は,次のような点を再検討すれば,より充実したイベントになるでしょう。
あと,あえていうと,「コミケの運用を勉強してみる」というのも手かもしれません。コミケには十万人規模での来訪者がありますが,事前のPRと各ブースへの連絡の徹底,スタッフの動きの確認などを確実に行っているため,混乱を最小限に裁いています。この動き,オタクだからといって毛嫌いしないで,むしろ貪欲につかみ取った方がよいかもしれません。侮れませんよ!
1 10万人の来客を想定したイベントとして全体計画を立てる(B-1規模になると,15万人にしてもよいかもしれない。)。
2 場所は今回のさきたま古墳群がベスト(敷地面積,基本駐車場,逃げ道,観光スポットなどを踏まえると,これ以上の適地はない。)。
ただし,予備的なアイデアとして,総合体育館も検討の余地あり(雨天対策と自動車動線を踏まえると,いくつかのフォローポイントがあるものの,無理な話ではない。)。
3 市外動線はメインルートを決めつつも,いわゆる「裏道」を伏線として張っておき,案内看板を設置しておく(市外からの来客は,渋滞にイライラすると,農村部では農道などを平気で走りだし,平気で農道に路上駐車する傾向がある。これを防ぐためには,逃げ道案内板をいくつか作っておく必要がある。)。
4 鉄道による来客は,JRだけではなく,秩父鉄道も視野に置く。また,最寄り駅は,武州荒木駅か東行田駅とする(中心市街地はどっとにしろ大渋滞するため,次にあげるシャトルバスの運行ルートを容易にするためにも,あえてこうした駅を最寄りにすることで,人出を分散させる。)。
5 シャトルバスは専用路線を設ける(裏道の一つは,生活者以外通行禁止の道路とし,そこをシャトルバスが通るようにする。)。
6 出店者に対しては,「このイベントは損得ではなく,地域活性化のための広告的役割である」ということを認識させ,完売することよりも多くのものを配ることを意識してもらう(10万人が食べる,っていうくらいのノリでもよい。)。また,主催者は,どのようなメディア戦略をしているのか,また直前にどの程度の報道機関からの取材が来ているかなどの情報をまめに提供する。逆に,出店者は,自分に取材が来ている場合は,そのことを主催者に情報提供する(1店だけの独占取材といえども,それが全国ニュースになると,来客数に大きく影響するため。)。
7 会場では,食券制度を導入し,場合によっては配布できる時間を食券に書いておく「ディズニーランド方式」とする(これにより,配布見込みや残数の把握が容易となり,大人気店も行列整理が多少楽になり,会場全体に人が平均化することができる。のみならず,仮に2時間待ち状態になったとしても,その間古墳を見てもらうなど観光を楽しんでもらうことができ,一石三鳥くらいの効果が期待できる。)。
8 情報はシャトルバス発着地にリアルタイムで提供するとともに,自動車による来客者に対しては,防災無線等を活用して完売情報を伝達する。もちろん,主要路線の案内板に完売の情報を出すことも人的物的に可能であればなお可。
9 市民総出のイベントとする(京都や鎌倉などの観光地は,街に住む市民も観光客に対して親切であったため,市民に対して事前の情報提供をかなりしつこく出すとともに,当日の会場までの案内や,渋滞に関する情報を主催者へ提供することなどをお願いする。もちろん,あくまでもお願いレベルの話だが,地域活性化の一番の主体は「街の人たち」に他ならないので,こうした意識付けを普段からしておくとよいであろう。)。
以上が,ざっくりレベルですが,思いつく改善案です。もちろん,物理的,人的,予算的な事情や,そもそもの分析ミス等もあるでしょうから,すべてがすべて実現できるとは限らないかもしれません。とはいえ,「リアル行田」を多くの方に見てもらい,「やっぱいいところじゃん,また来たいなあ」って思っていただくためには,ある程度の見直しも考えるべきでしょう。
それこそが,「われら,われらの伸びゆく行田,伸びゆく行田」なのです。
頑張れ,行田市!!
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