あれは,あれで良いのかなPART2

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社員を捨てて株主を守るか,それとも社員をしっかり守るか

2008年12月17日 23時56分55秒 | 経済全般
政界経済がますます深刻になっており,国内でも大手企業が相次いでリストラ策を検討しています。その中で,ソニーの社長は,需要減が予想以上に激しいことから,今後はリストラを進めることで業績の建て直しを図ることを検討しているようです。

ソニー社長「需要減これほどとは」 雇用より業績優先(朝日新聞) - goo ニュース

会社を守れないと社員も守れない,でも社員が働けないと会社は守れない

以前,「似たようで実は全く別向きベクトルの雇用対策」の中で,「経営者優遇政策」と「労働者優遇政策」のメリットを中心に説明しました。いわゆる「自民党と民主党の基本政策の違い」と「両者のメリット」を述べましたが,ここでは逆に「両政策のデメリット」を中心に論じていきたいと思います。
どちらの政策を支持できるか,その点の判断の参考にしてもらえれば幸いです。

経営者優遇政策の問題点
1 海外企業と戦うために法人税を減税するとしたら,その税率は「10%未満」まで大幅に下げなければならない。現状の30数%を5%程度下げたところで,海外企業との競争力は高まらない。
2 法人税減税分の利益は従業員に還元されず,「経営者自身の手取りが増える」というメリットにしかならない。また,減税財源を他の税金(消費税,所得税など)で補わなければならない。
3 経営者のインセンティブばかり強調されるが,一方で経営破綻した場合の「経営責任」については,逆に制限する(つまり,経営者に借金を背負わせない)制度になっている。
4 経費節減を図るべく,海外進出や外国人労働者を雇うことになり,結果「次世代」が育たなくなり,やがて日本人失業者が増加する(日本経済としては大打撃だが,経営者としてはしったことではない。)。
5 結局優遇されるのは,一部の大企業だけで,9割以上の中小企業経営者に対するインセンティブはほとんどない。
6 「サービス残業や過労死は当然」というスタンスになる(経営者優遇政策においては,労働者や労働組合は,「逆らうとリストラ対象」という恐怖心が出てくることから,経営者より力が弱い状態になるため。)。

労働者優遇政策の問題点
1 給与が確実に支払われる安心感から,生産能力が低下する(業績が下がる)。
2 会社が倒産の危機に瀕しているといえども,「とにかく給料を払え」ということになり,結果会社の倒産を早めかねない(結果的に自分の首を絞めることになる。)。
3 福利厚生を充実しすぎるがあまり,たいして働かなくても給料がもらえる人が現れる(アメリカのビック3では,まさにこの点が経営破綻を招いた要素の一つである。)。
4 ストライキが多発し,社会生活にも支障を来す。
5 海外企業との競争に勝てないおそれが高くなる(規制が多く,経費が削減できないため。)。
6 無駄な社員をたくさん抱え,余計な経費がかかることで,結果的に業績が下がる。

つまり,「経営者優遇政策」の問題点を簡単に言うと,「労働者にお金が回ってこない」という点にあり,「労働者優遇政策」の問題点を簡単に言うと,「業績の低下」という点にあります。
あとは,こうした問題点と前回説明したメリットとを天秤にかけ,「どちらが日本にとってよいのか」を,私たち有権者が考え,選挙で意思表示をすればよいでしょう。

とにかく,日本経済は今大きな岐路に立たされています。失業者が増えれば増えるほど,日本経済はますます停滞しますから,「何でもかんでもリストラ」という企業の方針は,見方を変えると「自分たちの首を真綿で絞めている」ともいえます。
一方で,雇用の安定確保ばかり強調すると,経費削減ができないため,結果会社の倒産という憂き目にあいかねません。
こうした事情も踏まえ,「強い日本経済」のための選択肢を真剣に考えていきましょう。
もちろん,こうしたことをまず政治家が真剣に考えるべきであることは当然の助動詞「べし」です。

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8 コメント

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会社は法律を守っているわけで・・・ (takeyan)
2008-12-18 01:05:28
結局、十分なセフティネットの構築を怠ってきた社会システムが問題なのではないかと思います。
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Unknown (そらっち)
2008-12-18 08:19:50
リクエストに答えて頂きありがとうございました。m(__)m

読んで解るがどっちを選んでも鬼しか出て来ない様な選択肢しか用意できない政治家は信用ならないですね。

ちょっと前に流行った言葉(?)『Win Win』な政策を提言できる政党(政治家)は居ないのでしょうか?

残念ですね。
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takeyanさま,コメントありがとうございました (おかにゃん)
2008-12-19 00:30:32
こんばんは。
結局,「経営しやすい会社づくり」を目指すのか,「働きやすい会社づくり」を目指すのかの違いなのかな,って思います。
これは,憲法に対する考え方の基本といえる,「人権が保障されるから民主主義が確保できる」とするのか,それとも「民主主義がしっかりしてるから人権が保障される」とするのかの違いと似ていると思います。
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そらっちさま,コメントありがとうございました (おかにゃん)
2008-12-19 00:34:40
こんばんは。
デメリット,いざ考えてみると,単なる裏返しだけでは済まず,いろいろあることがわかりました。ご指摘ありがとうございました。
結局,「どっちが良いか」という二択ではなく,「よいバランスはどこか」という「両者融合」がベストなのだろうなあ,って思います。もちろん,どっちつかずになるため,いずれの団体からの献金や選挙支援はなくなるでしょうが・・。
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国民第一ですよ (てるりん)
2008-12-19 23:03:36
うちも残業ゼロですよ。なのにサービス残業している人いるらしい。そこの社員は前からサービス残業していたけど、今は上からの指示らしい。しかし管理がやりきれてないのが問題です。
うちは派遣会社の社員で規則が厳しいので、毎日帰りが早いですけど、給料減るだろうし、前ほど仕事まわってこないので、やる気が起こらないらしい。

経営者の立場(特に株主)は知識不足もりますが・・・。
やはり個人の生活を考えてしまうので、社員が大事って思います。
経営重視だと格差がもっと大きくなると思います。
また、社員が減ってしまうと、物がもっと売れなくなりますし、お店までつぶれてしまいますね。
また所得税や消費税などもどっと減るでしょうね?

某通販会社のように、株式じゃなければどうなんでしょうね?
いずれにしても社員がやる気が出るような、職場づくりが一番の理想ですね。アイデアマンが多くいればどんな不況でもやっていけると思うのですが?
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てるりんさま,コメントありがとうございました (おかにゃん)
2008-12-20 12:10:08
こんにちは。
企業も国もそうですが,すべてを支えているのは「底辺」にいる人たちです。企業なら労働者,国ならば地域の住民です。言い方を変えれば「私たち」となるでしょう。
そして,企業や国が活力を持つには,こうした「底辺の力」が大変重要だろう,と私は思います。
ただ,それは何も「底辺の人たちをちやほやしろ」という意味ではありません。逆に,こうした人たちが「やる気になる環境」を作れば十分だろうなあ,って思います。
そういう意味では,「経営者vs労働者,どっちがよいか」という二択的発想はナンセンスなのかな,って思います。
国だって,地方が,そして地域住民がみんなやる気を出せば,結果的に国の力も増えるはずなのです。

ただ,今はこうした「やる気」をそぐようなことが多すぎますよね。
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Unknown (mirai)
2008-12-20 20:57:44
とりあえず、法律は守るべきですね。
サービス残業の指示を出すなんてとんでもないことです。

日本の場合、労働の場に遵法意識が薄すぎるので、労働環境が改善されません。

それゆえに、労働者は経営者を憎み、金持ちは敵だ、みたいな発想に走る。一方で、経営者側は、自分たちだってリスクを負っていて大変なのに労働側は勝手だと言う。

不毛な対立が起きているのも、国全体で違法な労働条件がまかり通っていて、労働側は不当に不利益を受け、経営側もほかの企業もサービス残業や長時間労働をさせているのにうちだけやめると潰れる、というようなところに追い込まれているケースが多々あるからでしょう。

最近は福祉の充実などということがよく言われますが、福祉をばら撒く前に、とりあえず、労働法規の厳守を求めるだけでも、状況はかなり改善すると思いますよ。

長時間残業をさせにくくなれば、ワークシェアリングも進むでしょうし。

実は日本企業は、法律を守って労働させようとすれば、人手不足のところもかなりあるんじゃないかな、と思います。
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miraiさま,コメントありがとうございました (おかにゃん)
2008-12-21 11:19:42
おはようございます。
サービス残業自体,本来は違法行為なのですが,日本では,依然として,経営者はもちろん,労働者側もそれを是とする風潮が残っています。
ただ,それも好きでやっていると言うより,「やらないと出世しない」とか「首になるから」などという理由で働いている場合がほとんどなのでは,って思います。
経費削減を理由に人減らしを進めていますが,ご指摘の通り,労働基準法を遵守すれば,おそらく人手不足になると思います。
与党案にはそうした「現行法規の遵守」を協調するような政策が含まれていないのが,少々残念なところです。
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