あれは,あれで良いのかなPART2

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鉄道事故から国や地方自治体が考えるべきこと

2005年05月03日 00時57分02秒 | 政治
福知山線の脱線事故の話はそろそろ止めようと思っていたのですが,やはり行政サイドの対応についても考えておく必要があるのではないかと思います。
あくまでも,今回の件だけでなく,大きな災害や事故一般に対する対応としてご覧いただければと思います。

第1 国の対応
1 被害者への補償関係
  基本的には災害を起こした企業が支払います(当然。)。しかし,賠償額についての争いや企業の経営状態如何では満足な補償金が支払われない可能性が高いです。
  そこで,国が代位して支払う制度を拡充します。
  現在も,犯罪被害者や災害被害者に対する給付の制度はありますが,あれは見舞金程度のものであり,補償金とはおよそ桁が違います。
  もちろん,国は企業に対して代位請求できますから,企業が倒産でもしない限り,実質的な負担はないといえます。
2 事故調査委員会の機能拡充
  事故調査委員会は,今でもだいぶ活躍をされています。しかし,強制捜査や差し押さえ等の権限はなく,これは警察に委ねるしかありません。
  しかし,事故の原因が事故現場以外の場所にあることも多く,場合によってはそれを隠蔽している可能性もあります。
  そこで,そのような場合,令状発布を条件として強制捜査をすることを可能とします。
  これにより,より事故原因の解明が図られやすくなるでしょう。
3 被害者への心的ケアの拡充
  いわゆるPTSD患者については,これをいわゆる難病認定同様医療費の減免を図ります。
  もちろん,前提としてそのような診療所の紹介などができるようにしておくことはいうまでもありません。
4 事故原因の完全公開
  事故調査委員会の調査結果及び添付資料は,個人のプライバシー部分以外は完全公開とし,誰でも自由に閲覧謄写をすることができるようにします(もちろん,実費は取って良いでしょう。)。
  これにより,研究者はもちろん,事故などに関心のある人が調査書を読み,納得した,納得しないなどの議論が可能となり,場合によっては補充調査,再調査などの議論にもつながり,結果より充実した原因の究明が可能となるでしょう。
5 監督体制の強化,拡充
  やはり,事故を未然に防ぐ体制を作ることが大事です。
  鉄道に限らず公共交通機関やアミューズメントパークなど人命を預かる施設については,従来から国によるそれなりの監督制度がありました。
  しかし,現実には書類を出す程度で監督は終了しています(たまに抜き打ち調査などありますが,まれです。)。
  そこで,監督機能を強化します。立法的にはほとんど解決済みなので,あとは人的配置を拡充すればよいだけの話です。国も安全体制確保のための資金を投じる必要があります(ちなみに今の人数,体制ですべて丁寧に監督しようとしたら,今度はその職員が事故を起こしかねません。それくらい人がいないのが実情です。)。

第2 地方自治体の対応
1 地域防災計画の見直し
  詳細は後日触れますが,大事故や犯罪にも対応できる防災計画にする必要があります(もちろん,地域防災計画に盛り込み済みの市町村もあります。)。
  例えば,入院先病院及び入院患者情報の一元管理(病院を回らなくても1カ所に来ればそこで患者の有無が分かる体制),他の市町村との協力体制,ボランティアの受け入れ,市町村都道府県境での事故発生時の対応などについて明確にします。
2 避難場所,救護場所の確保
  どこで事故が起こるか分かりませんが,事故発生の一方が入った時点で即座に救護場所を確保できるような体制及び場所の確保が必要となります。
  日頃から,シミュレーションしておく必要があるでしょう。
3 被害者家族への対応
  被害者の家族の方が次々と現場に訪れますが,必ずしも近所の人ばかりではなく,遠方の人も多いはずです。また,心理的にもパニック状態になっている可能性が極めて高いです。
  そこで,このような人のために,一時休憩所(仮眠施設)の確保を図れるようにします。典型的なのは,空き室のあるホテルを使うことでしょうが,場合によっては一時的にしろ公民館や学校を使えるようにすることもあり得るでしょう。
  いわゆる避難所は災害だけでなく,事故などでも使うことがある,ということを認識してほしいです。
4 被害者の心身のケア
  メインは国や加害者(企業)の仕事ですが,一時的にしろ病院,診療所,専門医をあっせんできるように名簿等を整理しておくことが必要とされます。
5 ひやり窓口の開設
  事故が起こると,必ず「前からおかしいと思った」という話が起こります。
  そこで,そのような話をまとめる窓口を開設します。
  もちろん,一義的にはまず当該企業に対して意見を言うべきなのですが,その企業が意見を握りつぶしたり,ちゃんと検討はしたが不採用になるなどの可能性は極めて高いです。
  そのため,まず都道府県レベルで窓口を用意します。窓口での内容を聞いた上で,関係機関(国土交通省など)に連絡を取り,事後対応を委ね,または自己の権限で必要な調査を行えるようにします。
  国でなく地方自治体に窓口を置く理由は,交通機関等を利用することはより生活に密着するものであることから,気軽に申し出ができ,かつ迅速な対応が必要になるためです。

以上は一例に過ぎませんが,これを機に国や地方自治体は,自分のところで大事故や大きな犯罪が発生したらどうするか,よく考えておき,いざというときに即座に対応できるようにしておくべきではないでしょうか。

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(追記)最初の公開後,第1および第2にそれぞれ5を追記しました。
事故後の対応ばかり書いていましたが,事故予防方策を採ることが重要であることを失念していたからです。
それと,さらに次のようなことも考えてみました。

金融機関の評価みたいなこと(トリプルAなど)を公共交通機関各社に対して取り入れる。

評価は民間会社が行います(国がやるとJRをひいきしかねないため)。
こうすることで,各社とも通常の競争に加え,情報公開,安全,快適などについても否応なしに力を入れることになるでしょう。