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あれは,あれで良いのかなPART2

世の中の様々なニュースをばっさり斬ってみます。
ブログ界の「おか上彰」を目指し、サボりながらも頑張ります!

疑惑の銃弾,まさかの結末

2008年10月12日 09時16分03秒 | 裁判・犯罪
いわゆるロス疑惑事件において,先日共謀罪の逮捕状については有効であると判断され,ロスに移送された三浦氏が,収容施設内で自殺をしました。これにより,共謀罪の審理は事実上終了することになります。

三浦和義元社長が自殺 移送先のロサンゼルスで(朝日新聞) - goo ニュース

真相は闇の中へ

まずは三浦氏のご冥福をお祈りします。しかし,どんな理由があるにせよ,自殺だけは絶対に許されるべきことではありません。無実であるならばなおのこと,「生きて真相を明らかにする」ことが大切だったと言えます。本当に残念です。
これで,ロス疑惑,事実上すべて終了です。もちろん,今後銃撃した真犯人が現れてくるなどの展開があれば,真実が明らかになるかもしれませんが,今の時点ではあまり期待できなそうです。

ところで,この幕切れにより,今後問題となりうることをまとめました。
1 ロスの収容施設における警備体制の問題
2 日本政府の一連の対応
3 国際犯罪に対する日本の法整備
4 報道のあり方


1については,日本でも同じですが,収容施設内で自殺をされると,施設管理者,すなわち警察署長らの責任が問われることになります。先日も,栃木県内の警察で,接見室で被疑者が自殺していたという事件がありましたが,これは基本的に警察の管理不行き届きであると認め,謝罪しました。これが場合によっては,国家賠償問題になり得ます。
三浦氏の場合も同じです。今のところ,「管理は十分だった」と強く主張していますが,これは訴訟社会のアメリカ故,「国家賠償の可能性」を踏まえてのことと思います。
三浦氏の遺族がどうでるかもちろん分かりませんが,カリフォルニア州に対する国家賠償請求もあり得ると思いますし,これは全額でないにせよ,一部は認められる可能性は高いです。
日本政府も,場合によっては,自国民の扱いが悪すぎたとして厳重抗議をするべきかもしれません。もちろん,それは,もう少し様子を見てからだとは思いますが。

2については,不当逮捕を主張した日本人に対する対応が適切であったかどうかです。
もちろん,不当逮捕を主張したら,領事館は何が何でも身柄解放を求めろ,っていうことではありませんが,どの程度まで活動するべきなのか,またその活動が妥当であったのかは外務省内部で検証する必要があるでしょう。
今回,領事館職員はサイパンでもロスでもすぐに面会に行っていますので,基本的には「やるべきことはやっていた」と思いますが,今後,国際犯罪に日本人が関与し,または誤解を受ける可能性は高いと思いますので,現状で十分なのか,検証してほしいものです。

3については,専ら興味本位の世界の話です。日本の刑法は,ある程度国際化に対応しているものの,外国の裁判所の判断が,日本の裁判所でどの程度拘束されるのか,いくつか不明確なパターンがあります。
ロスでの裁判で何らかの判決が出た場合,その考え方を参考に,日本の刑法や刑事訴訟法が国際化対応に改正される可能性があったのになあ,って思います。

4については,いうまでもなく,今回もあった「パパラッチ報道」です。今回,飛行機内でも取材テープを回し続けるなど,「推定無罪」をほとんど無視し,人権侵害的報道をしていました。この過剰報道が,自殺のきっかけを作った可能性すらありえます。
来年から裁判員裁判が始まり,各報道機関も報道方法を検討しているようですが,「過剰取材の姿勢」を改めない限り,日本では「推定無罪」という大原則が広く国民に浸透せず,独裁国家のような「推定有罪」の思想にどっぷり浸かってしまい,先進国から物笑いの種にされる可能性すらありえます。

いずれにせよ,すべては藪の中に入ってしまいました。本当に真実は何だったのでしょうか。

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通勤プチ夜回りのススメ

2008年09月21日 19時48分44秒 | 裁判・犯罪
福岡県内で小1男児が何ものかに殺されるという痛ましい事件が発生したばかりですが,またも千葉県内で身元不明の3,4歳の女児が全裸で発見され,間もなく死亡するという痛ましい事件が発生しました。警察では,死体遺棄事件として捜査本部を設置すると共に,被害者の身元の確認を急いでいるとのことです。

千葉の公園前に女児の変死体 3-4歳衣服なし、死体遺棄で捜査(共同通信) - goo ニュース

死角を減らしたい

福岡の事件は,母親がほんのわずか目を離したすきに発生したということで,現在警察で不審者の目撃情報などを中心に捜査をしています。
一方,千葉の事件は,近隣で捜索願いが出ていないことや身元が分かるものを一切所持していないということで,単なる変質者による犯行とも言い切れないようにも思えます。
(追記:その後身元が判明し,市内に住む5歳の保育園児とのことでした。また,近隣では以前から不審者情報も出ていたなどと報じられています。この事件も福岡事件に似た状況になってきたかもしれません。)
いずれにせよ,またしても子供を狙う卑劣な犯罪が増えてきたといえます。
このような卑劣な犯罪を減らす方法はないか,そろそろ本気で考えた方がいいでしょう。そして,これは,単に「警察任せ」「役所任せ」などという次元では片づきません。警察官を町中くまなく貼り付けて警備できるはずはありませんし(そもそも警察官自体が不足気味なので,そんなことをする余裕すらないし,これをやるとしたら今の10倍以上の警察官が必要でしょう。),「安全なまちづくり」といっても,町中死角のない状態にするのは不可能だからです。
そうすると,あとは「自主防衛」しかありませんが,その折衷策として,「地域一丸となる」という「住民による防犯」を本気で行うしかないといえます。
そのためには,まず「地域に無関心な住民を減らす」ということが大切なのですが,これが一番難しい問題といえます。
ただ,すべての人が地域に関心を持つのはこれまた無理な話ですから,まずは「知っている人たちが中心」に始めていくことが大切です。この場合,「Aさんは一生懸命やっているが,Bさんは無関心だからむかつく」という小さなことを考えないことが求められます。「防犯活動をやった,やらない」ことが大切なのではなく,「町から犯罪をなくす」ことが大切だからです。
当然,こういう活動に対して,行政のフォローが必要なことはいうまでもありません。これこそ,「安心と安全のまちづくり」なのです。

とにかく,こんなニュースはみたくありません。私も,会社の帰りに歩きながら目を光らせてみたいと思います。地域に顔が知られていないので,下手に夜回りとかすると逆に「不審者?」と思われてしまうので,小さなことだとは思いますが,通勤がてら不審者などがいないか見るようにしたいと思います。
この「通勤プチ夜回り」,ぜひやってみませんか。1人の力はわずかでも,日本中の通勤通学者がやれば,日本中のほとんどの地域が網羅できるはずです。しかも,何の準備も費用もいりません。ただ,「ちょっと気を付けて見渡してみる」だけで十分なのです。
まずはこうした小さいことからやってみましょう。

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またもなじみの場所で通り魔が・・むかつく

2008年07月24日 01時37分42秒 | 裁判・犯罪
八王子の駅ビルで残念な通り魔が発生し,将来ある大学4年生が亡くなるという大惨事となってしまいました。
犯人はまもなく逮捕されましたが,調べに対し,親が相談に乗ってくれなくて,誰でもいいから殺したいと思ったなどと供述しているとのことです。

八王子通り魔 犠牲者・斉木さん、ゼミの人気者 就職内定、夢断たれ(産経新聞) - goo ニュース

この本屋,よく買い物していたんです

まずは被害者の大学生の方のご冥福を心からお祈りいたします。
この本屋,実はこの3月までは仕事帰りによくよっていまして,半分以上は立ち読みでしたが,それでも雑誌などを何度か購入していました。まして,今回発生した閉店間際の時間帯に結構顔を出していたものです。
したがって,もしかしたら,この亡くなった大学生の方にレジ対応してもらったかもしれません。
それだけに,このニュースは本当にびっくりするとともに,「またか」という思いでいっぱいです。>前回の秋葉原といい,自分のなじみの場所で犯罪が起こると,より悔しさでいっぱいとなります。
もっとも,前にも書きましたが,だからといって,日本国内では通り魔をやって良い場所なんて一箇所もありません。本当に,二度とこのような犯罪が発生しないようになってほしいものです。
しかし,最近は本当にこの類の犯罪は多いですね。でも,決して「格差社会が原因」なんて単純な分析だけはしないでほしいものです。一生懸命生活している方々に失礼です。

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結果オーライだったバスジャック捕り物劇

2008年07月17日 02時13分00秒 | 裁判・犯罪
親に怒られて家出をした14歳の少年が名古屋発東京行きの高速バスをジャックしましたが,約1時間後,監禁などの罪で逮捕されました。けが人は特になかったとのことです。

東名高速で中2少年がバスジャック、乗員乗客にけがなし(読売新聞) - goo ニュース

発車オーライ,結果オーライ

今回の件については,14歳の少年がなぜこんなことをやったのかというべたなつっこみはあえてしませんで,少年逮捕に至るいきさつから今後バスジャックが発生した場合に果たして無事対応できるかという点について検証したいと思います。

1 バスジャック連絡体制は今回は偶然よかった
  今回バスジャックの一報を警察に連絡したのは,たまたま同じバスに乗り合わせていた同じバス会社社員です。また,犯人が単独であったこと,14歳というド素人であったことから,携帯で連絡する時間や隙が十分作れました。それゆえ,早めの連絡ができたのです。
  では,犯人が複数であったり,あるいはテロルなどある程度訓練を受けた人だったらどうだったでしょうか。または,乗客に社員がいなくて,一般の乗客が大声で携帯で連絡しようとしてしまったらどうだったでしょうか。前者であれば,連絡方法が隔絶されてしまい,犯人から声明を出すまで連絡は困難でしょう。後者であれば,乗客などに危害が加えかねられません。
  そのような対策のために,運転席付近に「緊急通報ボタン」みたいなものは用意しておくべきでしょう(もちろん,既に用意されているがセキュリティ上の理由からあえて報じていない可能性もありますが。)。

2 警察のPAへの誘導
  今回は,早めの連絡により警察側も十分準備ができ,予定どおりPAに誘導してバスを停車できたと思います。この誘導方法は今後の類似案件への対応に支障があるためあえて紹介されていませんし,私も紹介はしませんが,いずれにせよかなり理想的に誘導できたと思います。
  ただ,犯人がもう少し変な人だったらどうだったでしょうか。止めることに抵抗を感じるのばバスジャック犯の常なので,この段取りを誤ると被害者が出た可能性があります。
  今回の事例は,よい事例として更に分析し,その結果は各都道府県警に極秘で紹介するとよいでしょう。

3 警察官の説得
  今回は,中学生にものすごい政治思想が合ったわけではないこと,ナイフ2本で丸腰に近いことが早い段階から分かっていたので,比較的強気の説得ができました。それ故,早めに投降したと思います。
  では,例えばダミーの爆弾を持っている場合や,モデルガンを持っていた場合,さらにはプロの犯人だった場合はどうだったでしょうか。同じ手法が使えなかった可能性があります。

4 普通のバスジャックは行き先を変える
  今回の犯人は,バスジャックしたものの,東京まで向かうことを要求しました。しかし,このバスはそもそも東京行きです。
  ってことは,バスジャックしようがしまいが東京には行けるのです。つまり,本当にバスジャックをしたい犯人であれば,行き先を変更するのが筋です。
  今回は,そういうことで行き先が明確だったので,作戦も立てやすかったと思います。しかし,プロの犯罪者であれば当然行き先も変えると,張り込み先をおそれてギリギリでルートを変えたりします。そうなると,警察側の作戦もうまくいかなかったかもしれません。

以上です。総じて,「警察対応ナイス」というものですが,本当に危ない犯人だった場合はさらに対応が必要だったかもしれません。
いずれにせよ,今回の逮捕劇を警察はしっかり検証し,よかった点と改善点をこっそり整理しておくとよいでしょう。

なによりも,同じ犯罪が発生しないことを願うばかりです。

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犯罪予告をネット上に書くことは立派な犯罪です

2008年06月28日 22時48分06秒 | 裁判・犯罪
秋葉原の通り魔事件の影響を受けて,ネット上で犯行予告を掲載する輩が相次いでいるようです。警視庁は,プロバイダの協力を得て,犯行予告を掲載した者の氏名を特定し,次々と威力業務妨害罪等の容疑で逮捕しているとのことです。

ネット犯行予告300件 警視庁確認(産経新聞) - goo ニュース

いくらネット上でも犯行予告はいたずらでは済みませんよ

当然の話ですが,そんな犯行予告をネット上で掲載しても,誰1人喜ぶ人はいませんし,結局はそのツケを自分が払う羽目になりますから,絶対にこんなバカなことをやってはいけません。秋葉原の容疑者と同列に扱われるだけですよ。
さて,今はネット社会になったためでしょうか,このような大事件が発生すると,必ずと言っていいほど「模倣犯的記載」がでてきます。しかも,数が増えているような気がします。ネットが発達していなかった10年位前までは,せいぜい手紙で送るという程度だったため数は少なかったですから,やはりネットの弊害と言わざるを得ません。もっというと,「新手の犯罪」ともいえるでしょう。
一方で,当の本人は,「おもしろ半分でやった」という場合が多く,「ネットに掲載するとどういう影響があるのか」ということはもちろん,そもそもこれが犯罪になって自分が逮捕されるという認識が全くないといえるでしょう。
しかし,これは立派な犯罪です。警視庁は,とりあえず立件が容易な「威力業務妨害罪」として逮捕しています。この罪は,簡単に言えば,犯罪予告をしたことで,警察がそれに対応して警備をすることになったため,無駄な警備をさせただけではなく,本来行うべき警察業務にも影響を与えたということでこの罪に該当するとしています。
しかし,予告の記載内容如何では,それだけではなく,「名誉毀損罪」や「脅迫罪」,「強要罪」なども成立しうるし,もし本気で犯行を行おうとしていたのであれば「殺人予備罪」などの成立もあり得ます。
つまり,「単純なイタズラ書き」のつもりでやったとしても,ネット上で犯罪予告を書くことは立派な犯罪になるのです。

これに対しては,「なにもそこまで厳しくしなくてもよいのではないか」とか「ネット上で書く人は,ここまで社会が混乱するとは思っていないから,犯罪成立の故意がないのではないか」,さらには「ネット上の表現を規制するのは表現の自由に対する侵害だ」などとして,警察の取締り強化に異論を唱える人もいます。
しかし,まず「厳しすぎる」という反論に対しては,「じゃあ,犯罪予告がどんなにネット上に書かれても,一切触らずに放置するのか。その結果,本当に犯罪が発生した場合,どうするのか。」と言いたいものです。日本では,万引きが容認されやすいように,とかく「小さな犯罪には目をつぶる」という風潮がありましたが,治安が悪化しつつある現在では,むしろ「ブロークン・ウィンドウ理論」により,早めに犯罪の芽は摘むべきなのです。厳しいに越したことはありません。
次に,「故意がない」についてですが,ネット上に掲載する行為それ自体には「誰かが読むであろう」という認識はあり,さらに「それを読んだ人がビックリして警察や関係者に連絡して社会的に大騒ぎになるだろう」というところまでは認識できるはずです。
とすると,「警察か警備会社かその組織の人かはともかく,誰かしらが犯罪予告に対して何らかの対応をするだろうなあ。それが面白い。」という意識はあるわけですから,業務を妨害するという「概括的故意」が認められます。その他の罪の成立についても,同様なことが言えます。
さらに,「表現の自由の侵害」ですが,確かに表現の自由は最大限尊重されるべきものではありますが,ここで処罰しているのは,「ネット上にそういうことを書いたこと」という「表現方法」についてであり,「書いた内容がけしからん」ということだけではありません。もう少し簡単に言うと,犯罪予告を「自分のノート」や「人通りのない場所の掲示板」などに書いた場合,すなわち「誰も見ないであろう場所に書いた」場合は,上記犯罪は成立しません。つまり,犯罪予告という表現内容それ自体だけでは処罰対象にはならないのです。あくまでも,「みんなが見る場所」に「みんながビックリすることを書いてしまった」という表現方法がまずかったというだけなのです。もっというと,みんなが見る場所に犯罪予告をしたとしても,その内容が例えば「そのうち,誰か殺したい」などと抽象的な内容であれば,これだけでは今回の犯罪は成立しません。
決して,「表現内容だけ」で取締りをしているわけではないのです。

今回,プロバイダ業者の協力が得られにくく,特定に時間がかかるという点で問題があるということらしいですが,このような場合,最後は令状とってプロバイダ業者から情報取りますので,最後は追跡可能です。
いずれにせよ,犯罪予告をネット上に書くなんてバカな真似は絶対に止めましょう。
「お前を殺す」と逆に犯罪予告をされたらどう思うか,考えてみればすぐに分かることでしょう。

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自分の思うとおりの報道がされるとは期待しない方がよい

2008年06月13日 01時47分38秒 | 裁判・犯罪
NHKの取材に協力した民間団体が,当初の意向と異なる番組内容になったなどということでNHK等に対し損害賠償を請求した裁判で,最高裁は二審の判決を破棄し,原告の請求をすべて棄却しました。

取材協力者の「期待権」認めず、NHK番組改編で最高裁(読売新聞) - goo ニュース

差し戻さないで破棄自判とは珍しいかも

この判決の第一印象はここでした。しかし,よく判決文を読んでみると,事実認定それ自体は二審のままであり,その当てはめの前提となる法律論について縷々述べていたため,差し戻す必要はなく,自判したといえます。
(判決文原本はこちらの最高裁HPを参照してください。)
さて,この判決,どういう内容なのか,かいつまんで説明します。

第1 事案の概要
 1 NHKから,民間団体が主催したイベントを取材させてほしいと依頼し,その際,その民間団体のイベントに社会性を感じ,大きな問題的ができると思うからと説明したところ,民間団体はそれならOK牧場ということで取材に協力した。
 2 ところが,NHKは編集をしているうちに,中立性の観点に疑問を覚え,当初の編集方針を一部修正して放送した。この際,編集方針が変わったこと等を特に民間団体には事前に説明しなかった。なお,A前官房副長官が編集段階でNHKと接触を持ったが,そこでは持論の展開と放送に対する中立性の確保の提言をしたことは認められるが,それが圧力行為になったかどうかについては一切言及していない。
 3 放送をみた民間団体の人たちが,「おい,話が違うよ」ということで,NHKらを相手に,(1)取材に応じた以上,自分たちの意向にそった放映がされるという期待権があり,NHKはその期待権を裏切ったので,不法行為が成立する,(2)放送内容が変更するという時点で説明義務があるところ,それを怠ったということで不法行為または債務不履行による損害賠償を請求した。

第2 最高裁判決のざっくり概要

 1 取材を受けた人には,自分の意向どおり放送されるという法律上の期待権は原則としてない。なぜなら,放送法で放送の中立性などのしばりがあること,どのような内容を放送するかは報道機関に表現の自由があり,現の自由を守るために一定の自律権が認められるべきだからである。
   ただし,例外としては,取材段階で意向どおり放送することをしっかり説明し,客観的に見てもその説明を聞けばそりゃあ取材に応じるなあ,という程度の内容であり,かつ取材を受ける人に特別の負担が発生したような場合は,法律上の期待権が発生する。
 2 本件では,そのイベントはNHKが取材するか否かに関係なく開催されたので,特別の負担が発生したとは言えない。また,取材時の説明もあくまでも担当者の個人的見解として説明していたことが端で見ても分かるような状況だったので,例外に該当するとはいえない。よって,期待権を理由に損害賠償は無理!
 3 説明義務違反については,そもそもそんな期待権がない人に説明する筋合いがないので,債務不履行にも不法行為にもならず,損害賠償は無理!
 4 よって原告敗訴。

第3 横尾裁判長の意見
   結論は同じだけど,理論構成が違う。
   取材の相手が何考えているか取材中には分からないだろう。なのに期待権なんて法律上の権利を認めちゃうと,報道機関は空気読んで放送しなければならず,それは「なんか恐いから放送できないねえ」という萎縮効果が発生し,報道の自由を侵害しかねない。
   また,取材はすべて使われる訳ではなく,取捨選択することが常識となっているため,取材を受けた人にそんな法律上の権利なんか与えられないよ。

以上がざっくりした内容になります。
個人的には妥当な判決内容だと思います。この民間団体が良い悪いとかNHKが今とんでもない状況にあるとかはまったく関係のない話で,純粋に法律理論として筋が通っていると思うからです。
この問題,NHK問題や国会議員関与問題,さらにはこの民間団体の思想などが絡んでいるために,論評では本筋が見えなくなってしまっています。しかし,ざっくり判決のようにあえて普通名詞ですべて判決を整理してみると,「表現の自由vs報道期待権」の問題であると集約できます。となると,表現の自由に優位性が認められるのは当然といえるでしょう。

この判決について,法律論として,次のような批判が考えられますが,それについては私は次のように考えます。
1 報道機関と民間団体とでは力関係に違いがありすぎる
 →民間団体にも当然表現の自由があるので,NHKが力で自分の考えと違う放送をしたと考えたのであれば,こちらから反論の表現をすればよい。特に今日では,ネット環境も充実していることからすると,反論は容易であろう。さらに,報道機関も多種多様に及ぶため,この民間団体の思想に近い報道機関はあるはず。

2 取材内容と違う放送で名誉が侵害されることがあるのではないか
 →今回の判決では,名誉権については触れていないため,もし名誉侵害があれば,原則通り名誉毀損に基づく損害賠償を請求すれば足りる。
  例えば,「おいしいラーメン屋紹介」ということで取材に応じたところ,放送で「まずいラーメン屋」といわれたら,名誉毀損になるであろう。しかし,「客のラーメンの好みチェック」ということで放送された場合は,名誉毀損にならないので,この判決の期待権の例外自由に合致するかどうか検討すればよい。

3 政治家の圧力について認定していない
 →最高裁は事実認定はしない。だから,差し戻しをしなかった。そもそも,政治家の圧力による編集変更は,期待権の有無の認定に無関係であるため,あえて認定しなかったにすぎない。また,期待権がない以上,仮に政治家の圧力が編集方針変更の原因であったとしても,どっちにしても損害賠償は請求できないため,この認定に時間を割くのは裁判を長引かせるだけである。
  では,政治家は好き勝手に報道機関に口出しをして良いのかというと,そうではない。報道機関に報道の自律性を認めた以上,どんな圧力もはねのけてよいし,圧力があったことを報じてもそれが公正な報道目的であればOK牧場といえる。そういう意味では,報道機関に,「堂々と政治家と戦っていいよ」と最高裁は述べたとも言えよう。

4 これじゃあ,誰も取材を受けなくなるのでは
 →もともと,取材を受けるか否かは自由なので,これにより大きな制約はないであろう。
  むしろ,期待権を認めると,政治家に対する取材においては,政治家のいいたいとおりに報じることになり,汚職や政治とカネの問題などの追求報道ができなくなってしまう。それよりも,「取材拒否」という点も含めて堂々と報じられるようにした方が国民の知る権利にも資することになる(もちろん,名誉権とのバランスは必要。)。

以上です。
最後に,この判決の真意ですが,各報道機関が報じているような「単純な報道の自由」を論じたわけではありません。むしろ,最高裁は「報道機関に高度な責任」を与えたといえます。すなわち,「国民の知る権利を充足するために,いかなる場合も中立公正な報道を行い,どんな人であっても特定の人の意向に左右されてはならない。」といえるでしょう。決して,「報道機関のやりたい放題」を是認したわけではありません。
NHKも含め,各報道機関は,この判決を踏まえて心を引き締めて報道を行ってほしいものです。

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最近増えてませんか,無差別殺傷通り魔事件

2008年06月08日 19時17分14秒 | 裁判・犯罪
またしても通り魔事件が発生しました。現場は秋葉原で,犯人の男はその場で取り押さえられましたが,午後6時現在,7名が亡くなりました。さらに死傷者が増える可能性も高いようです。また,死者が7名を超える通り魔事件は,過去10年で最悪ということのようです。
一方,逮捕された容疑者は,「何もかもが嫌になった」ということで犯行に及んだようです。

秋葉原で無差別殺傷 6人死亡、12人負傷(朝日新聞) - goo ニュース

人を巻き込むな

まずは被害者の方のご冥福を心よりお祈りしたいと思います。秋葉原のホコ天で通り魔に会うなんて思っている人は誰もいなかったはずです。それだけに,交通事故以上にあり得ない出来事だといえるでしょう。被害者の方々の無念さは筆舌に尽くしがたいと言えます。
一方,この容疑者,何もかもが嫌になったということで人が多い秋葉原で通り魔をしようと決意して静岡から上京してきたようです。そこまでの根性があるなら,なぜ犯罪ではなく別の方向を考えなかったのか,本当にそれが悔しくてなりません。
この秋葉原の現場は,まさに「アキバ銀座通り」です。ここがアキバの中心地であるといえます。そのような場所でこのような犯行を行うというのは,アキバファンとしても許すことはできません。もちろん,このような犯行が許される場所は日本国内には一切ありません。

ところで,近年,無差別通り魔が増えて来たような気がしませんか。もちろん,通り魔は昔から発生していますが,これだけニュースが続くというのは珍しいと思います。
しかも,逮捕された犯人のコメントが,ほぼ一致して「すべてが嫌になった。死刑になりたい。誰が死んでも良かった。」などというものです。まったく自己中心的としか言いようがありません。
とはいえ,なぜこのような犯罪が多発するようになったのでしょうか。おそらく,明日あたりのワイドショーでは,犯罪心理学の教授などが,「ゆとり教育の弊害」「格差社会の歪み」「ネット社会で人間関係がうまくいかない」「バーチャルと現実の区別がつかない」「過激なゲームの影響によるゲーム脳」などをあげてくると思います。
確かに,こうした背景がこのような犯罪を多発させる要素になっていると思いますが,一方で,「だからどうするのか?」という対応策を考える人はいませんし,たぶん不可能です。
本当にこのような犯罪を減らすにはどうすればよいでしょうか。「厳罰化」は無意味です。彼らは死刑を望んでいるからです。もちろん,死刑を廃止しても無意味です。このような連中には,刑罰というサンクションが犯罪抑制に全くつながらないからです。
では,格差社会を解消したり,ゲームの販売やネットの使用を制限したらどうでしょうか。これもまた無意味です。そもそも,社会がついていきませんし,格差社会の負け組と呼ばれる人が全員通り魔になるわけではないからです。むしろ,生活環境に恵まれた人が通り魔を行うことすらあります。
そうなると,やはり「自己防衛」しかないのでしょうか。交通事故を防ぐことはある程度自己防衛が可能ですが,通り魔となると,「どこからやってくるのか分からない」という状態にあるため,自己防衛が困難です。
とりあえずは,「人混みではいつ何時何が来るか分からない」という気持ちでいた方がいいでしょう。

なお,特に,「学校の運動会」あたりは,いろいろなタイプの犯罪者(無差別通り魔,性犯罪者,怨恨など)の標的になりやすいので,冗談抜きで注意が必要な時代となりました。まじめに学校だけではなく,地域あげて対応策を考えるべきです。この事件は,間接的にこのような危険性に対する警鐘を鳴らしたとも言えるでしょう。

物騒な世の中になったものです。

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やっぱり発砲基準を緩和した方がよいのでは

2008年06月04日 01時46分10秒 | 裁判・犯罪
埼玉県川越市で,銀行強盗容疑の男2人が拳銃を持って自動車内に立て籠もるという事件がありました。1人は間もなく車から出てきて出頭しましたが,もう一人はそのまま8時間以上立て籠もり,最後は持っていた拳銃で自殺をしてしまいました。

埼玉・川越の立てこもり男死亡 92年には医師誘拐事件も(共同通信) - goo ニュース

犯人確保のための発砲もありでは

この事件,なぜ8時間以上も警察がにらめっこしていたのか,という点に疑問を感じた方も多かったのではないでしょうか。今回は,特に人質を取っているわけではなく,拳銃を持って1人で立て籠もっているわけですから,すぐに取り押さえることができたのではと思うかもしれません。
しかし,今回の場合,ちょっと問題がありました。それは,「犯人が拳銃を持っている」ことと,「車に立て籠もっている」こと,そして「発砲してこない」ということです。
まず,拳銃を持っているため,下手に突入すると警察官の生命身体に対する危険があります。「警察官は命をかけて仕事をしているのでは」という意見もあるかと思いますが,下手な突入は,警察官の命を無駄にするだけです。いくら警察といえども,やはり殉職者を出さないように考えるのが普通の発想ですし,この事件の場合,命を落としてまで突入させる必要性は乏しいでしょう。軍隊とは訳が違います。
そうすると,まずは突入のタイミングを見ていたといえます。
次に,立て籠もり先が車というのがまた問題でした。建物やバスなどの場合,余裕スペースがあるため,突入計画が立てやすいです。また,前述の警察官の安全も,余裕スペースから確保することが可能です。
しかし,乗用車の場合,余裕スペースがありません。つまり,突入すると犯人が乱射してくる可能性が高く,余裕スペースがないことから,警察の逃げ道がないのです。前述のとおり,本当に「命がけ」になってしまいます。
では,先制攻撃として警察から発砲するというのはどうでしょうか。実は,これも難しくて,今の警察の内規では,威嚇射撃も可能になりました(これでも近年かなり緩和されました。)が,あくまでも他に手段がない場合や,危険性が高い場合に限られています。しかも,射殺は特別な理由がない限り認められず,あくまでも急所を外してうたなかればなりません。
つまり,このケースでは,犯人が警察官到着後も積極的に発砲を続けていたとか,車で逃走しそうな場合であれば,警察から発砲は可能ですが,どうも逃走途中に発砲してからは拳銃を持っているだけだったため,その内規に合致しなかったようです。それゆえ,積極的な発砲ができませんでした。
もっというと,車にこもっている間は,発砲するにも上半身しか出ていないため,「発砲=射殺」という結果になることから,安易に発砲ができなかったものと思われます。
よって,長時間のにらめっこになってしまったのです。

しかし,今回の場合,結果的に犯人が自殺してしまいました。むしろ,早めに確保できれば,犯人も死ぬことなく逮捕することができたかもしれません。また,周辺住民はこの事件のために避難生活を余儀なくされました。周辺住民の影響も大きかったと言えます。
以上のことをふまえると,やはり「もう少し警察が早く発砲できればよかった」といえます。
そのためには,やはり内規を見直して,もう少し警察官の発砲基準を緩和するべきではないでしょうか。もちろん,発砲基準の緩和=射殺の容認ではありません。あくまでも制圧のためという前提は変わりません。
今回の場合,ずーっと車内にいたのではなく,途中表に出てくる場面もありました。ここは,「急所を外して発砲」が十分可能だったはずです。また,車内にずっといた場合は,例えばガス弾を使用するなどの対応も可能だったと思われます。
いずれにせよ,銃器犯罪が増加している今,やはり発砲基準は見直すべきでしょう。もちろん,だからといってバカボンのお巡りさんみたいなのは御法度です。西部警察も微妙でしょう。
犯人の身の安全のためにも,そして周辺住民のためにも,この類の事件は短時間での解決が望まれます。まして,人質を取っていた場合はなおのことです。
「発砲緩和は警察の権力を増やしかねないためけしからん」という反論もありますが,無意味な発砲は今まで通り処分対象にすれば良いだけのことですし,そもそもそれは正当な職務行為ではないので,犯罪になるとして対処すれば足ります。警察が動きやすい状況を作ることが,治安維持の第一歩といえるでしょう。

それより,「拳銃所持」を一網打尽にすることが重要です。これは,引き続き警察の捜査力を期待しましょう。

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町あげてDV?

2008年05月31日 21時04分05秒 | 裁判・犯罪
父親の暴力を避けるために母と一緒に市外に転居し,学校も転校したことに対し,その父親から依頼を受けた美作市の市議会議員が,学校長に対し転校を取り消すことや,転校先を聞き出そうとするなどして脅したとして,強要罪で逮捕されました。調べに対し,市議は「強要した覚えはない」と容疑を否認しているとのことです。また,県警は同市幹部にも協力者がいた可能性が高いとして,市幹部からも同容疑で事情聴取をしているとのことです。

「転校取り消せ」強要容疑の市議逮捕 岡山・美作(朝日新聞) - goo ニュース

公権力が一緒になってDVに荷担してどうするんだ

まず,前提として,この父親が本当に家庭内暴力(DV)を行っていたかどうかが報道上明らかではありませんが,仮にDVが真実でないのであれば,実力行使をするのではなく,あくまでも家庭裁判所に「同居調停」や「子の引渡」などをもとめればよいのです。つまり,「自力救済」はいかなる場合でも許されません。
では,本当にDVを行っていた場合はどうでしょうか。
現在の法律では,住民票を残したままでも子供を転校させることを認めています。また,住民票を移す場合は,住民票の閲覧を不許可にする旨の申し立てができます。すなわち,「自分が今どこにいるかを相手に伝えない」ことができるのです。
しかし,これは当然のことながら,その登録をしている市役所が一緒になって「秘密を守る」ということが大前提となっています。もちろん,市職員に守秘義務があるのはいうまでもありません。

ところが,本件では,市民の安全を第一に考える市議会議員が筆頭にたって学校長に対してアプローチをしています。もちろん,この市議は容疑を否認しているため,脅迫の有無については言及を避けますが,少なくとも「父親に頼まれて住所を聞き出そうとした」ということ自体は行っていたわけですから,これだけでも「DVに対する認識の甘さ」があるといわざるを得ません。市議としては,もし父親が事実誤認であると主張していたのであれば前述のとおり家裁の手続を指導するべきでしたし,本当に暴力を行っていたのであれば,今の時代はそれは通用しないということをはっきりと言うべきなのです。市民の代表である以上,当然そういう嫌われ役だって引き受けなければなりません。
しかしながら,この市議は一緒になっちゃいました。市議会議員は,それなりに公権力を動かす力を持っていますから,これではDV被害者の保護が困難にならざるを得ません。
また,市幹部にも協力者がいたようですが,もし仮に事実であるとしたら,DV被害者の各種保護制度が完全に骨抜きになってしまいます。
これはさすがに脅迫の事実が全くなかったとしても許されない行為といえるでしょう。なぜなら,DV加害者側からすれば,「家族に暴力ふるって家族が逃げたって,私は議員とつながっているから最後はとっつかまえて家に引きずり戻すことができる」ということが可能になってしまうからです。もっというと,「議員や市役所幹部とつながりさえあればDVやり放題」ということにもなりかねないからです。そうなると,「権力のすべてをかけたDV」ということになります。もはや「国家的暴力」です。これでは被害者はたまったものではありません。

今回の件は,なにも美作市だけで起こる問題ではなく,全国どこでも起こりうる問題といえるでしょう。当然の前提ですが,議員がこのような相談を受けたときは,たとえ後援会関係者であったとしても毅然とした態度を取るべきでしょう。また,首長や市町村職員も同じことです。市民生活の安全と安心のために,仕事をしてほしいものです。
それよりなにより,DVという行為自体がなくなる方策を講じてほしいものですね。そもそも,なぜ家族や恋人に対して暴力をふるうのか,個人的には全く理解できません。

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F1知らんぷり,じゃ困ります

2008年05月26日 01時14分21秒 | 裁判・犯罪
去年9月に富士サーキットで開催されたF1日本グランプリの観客130人が,運営に不手際があったとして,富士サーキットに対し,慰謝料やチケット返還代などの総額4000万円の支払を求める集団訴訟を提起する準備をしているそうです。
富士サーキット側も,不手際を認め,54人に対し,チケット代を返還しているとのことです。

F1観客130人が来月中旬に提訴(産経新聞) - goo ニュース

イベント運営はいろいろなことを考えるべし

富士サーキットの日本グランプリ,残念ながらライブで見ることができませんでした。レースそれ自体は,後でダイジェストをみると,ウェットレースになったことからクラッシュが多発してセーフティーカーが入るなどかなり激しいレースだったようです。
一方,観客は,レースの内容とは裏腹に「かなりおかんむり」だったと聞いています。
まず,レース場内のトイレが少なかったこと,食事どころがなかったこと,客席からレースが見えなかったこと,アクセスバスが全く来なくて数時間も待たされたこと,乗ったバスが全く動かずバス内で粗相をしてしまった方が多数出てしまった等々,かなりぐじゅぐじゅな運営だったようです。
そのような背景を踏まえると,今回の訴訟は,決して「単なるわがまま」ではなく,「本当に苦痛なイベントに行ってしまった。こんなぐじゅぐじゅだと分かれば最初から行かなかった。」というやむにやまれぬ事情での提起であるものと思われます。
もちろん,具体的にはどのような訴状が出され,富士サーキット側がどのような答弁をするのか,さらにそれに対して裁判所がどう判断するのか,蓋を開けてみるまでは分かりませんが,少なくともこのニュースから言えること,それは「イベントといえども,いい加減な運営は訴訟の対象になりうる。」ということです。
イベントというと,主催者側はとかく「メイン部分」にのみ目がいってしまい,周辺部分がおざなりにされてしまうという傾向にあります。今回の例でいえば,F1レース自体を円滑に進めることを中心に考えてしまい,「観客にとって大事なことは何か」という点についての検討が少々甘くなってしまっていたといえます。
しかし,イベントの成功例を見ると,「メイン部分はもちろん,サブの部分にも十分気を使っている」ものがほとんどです。観客の動線について十分考えているか否かで,イベントの成功や観客の評価は決まります。例えば,東京ディズニーランドに仮にトイレもレストランも1カ所しかなく,駐車場の出入り口が1カ所だけだったとしたらどうでしょうか。確実に評価は今の1割くらいにまで落ち込むのではないでしょうか。
のみならず,サブ部分の検討をいい加減にすると,観客の生命身体に対する危険を伴う場合すらあります。今回のF1も,仮に8月に開催されていたとしたら,確実に熱射病で倒れる人が多発したでしょう。また,過去には明石市の花火大会で観客が将棋倒しになって死者がでたという事故もありましたが,これも「花火の成功」に目がいきすぎて,サブ部分たる「客目線」の検討が不十分な結果といえます。
むしろ,「メイン部分よりもサブの部分を充実させる」方が,観客の評価は高くなるでしょう。快適に参加できたという気持ちの部分で,イベントに対する好印象になると言えるでしょうから(もちろん,メイン部分がぐじゅぐじゅだと,そりゃ話は別ですが。)。

富士サーキットでは今年もF1が開催されます。去年の問題を踏まえていろいろな改修,改善策を講じるようです。ただ,「客目線」での改善がされない限り,同様な問題は確実に残ります。是非とも,「客目線」を忘れないでほしいものです。
また,これは他の各種イベントでも言える話です。これから,花火大会とか祭りなどイベントの準備に入ることが多いでしょうが,是非とも「メイン部分」だけではなくサブ部分たる「客目線」を視野においてイベントの計画を立ててほしいと思います。イベント成功の秘訣ですよ!

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