このまま梅雨に入ってしまうのかしらん? またしとしとと降り出してきた。霧雨なんだけど。畑に出て、伸び上がって来た胡瓜の蔓を支柱に紐で結ぶ作業をしていた。濡れると寒い。
と、道路の方からこちらへ呼び声。高く明るい声。いま下校中の高校生である。自転車を降りて、伸び上がって「ただいまあ」の挨拶を頂く。学校でいいことがあったんだろう、きっと。声が弾んでいる。此処は坂道、上り坂だから、自転車で上りきるのは難儀だ。「雨に濡れないうちに早くお帰り」とわたしは彼女を追い立てた。
このよろよろよぼよぼの老人に声を掛けてくれる若者がいたのだ。嬉しくなってしまった。