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万葉集きっての名歌を読む 山部赤人の 圧縮した 気合いのこもる歌

2019年05月12日 14時03分46秒 | Weblog

み芳野の象山(きさやま)の際(ま)の木末(こぬれ)には幾許(ここだ)も騒ぐ鳥のこゑかも      山部赤人 万葉集巻6

聖武天皇が芳野離宮に行幸された。芳野は吉野だろうか。象山は離宮の近くの山の名である。この山には木々が生い茂っているのだろう。時は春。木々は新緑に包まれている。鳥は木々の枝先に止まって鳴いている。それが木々の間にそっと見え隠れしている。鳥は一羽ではない。一種類ではない。多くの鳥が来て、天皇の行幸を祝福をするようにして楽しく囀っている。「幾許(ここだ)も」とあるから、これはわたしの類推だが、「これだけも集って」という感動がこの語に凝縮されているのだろう。

万葉集切っての名歌の評価が高い歌である。わたしには、小鳥の声が騒がしく嬉しく聞こえて来て、力を授かるような気持ちになれる歌である。文学というのは、生きている己の人生を、惻々と嬉しがるために与えられているのかもしれない。

 

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