「藪甘草」
城原川の朝日の昇る土手道に
可憐な藪甘草が咲きました
「見よ見よ」と言うのです
「あなたに見てもらうために
わたしは咲いたのです」と
「あなたに見てもらったので
わたしはこれで完了します」
さっきたしかにそう言ったよ
そして夕日が落ちて
夕日のように消えて行った
完了というのは
こんなにたやすいのか
藪甘草が完了してしまうのなら
これを見届けたわたしは?
わたしを完了しても構わない
そういうことになるのではないか
そういうことになるというのに
わたしはわたしを完了しない
そして今日のわたしに
わたしの新しい朝日が昇って来た