◆H17. 4.28 知財高裁 平成17(ネ)10050 特許権 民事訴訟事件
条文:特許法第44条第1項(分割)
○ クレームの広い文言も、原出願の事項の範囲内と解釈するのが合理的。
「本件特許出願は,平成11年7月6日に出願した特願平11-192395号(原出願)の一部を平成11年10月6日に新たな特許出願として分割出願したものである。分割出願が原出願のときにしたものとみなされるという特許法44条2項に規定された分割出願の効果に照らすと,分割出願の対象となる発明は,原出願について補正のできる範囲に限定されるべきであり,原出願の出願当初の明細書又は図面に開示されていなければならないというべきである。
したがって,分割出願の特許請求の範囲の文言は,原出願の出願当初の明細書又は図面に記載された事項の範囲外のものが含まれないことを前提として解釈するのが合理的であり,仮に,分割出願された発明が原出願の出願当初の明細書又は図面に含まれない事項を含む場合には,当該分割出願は分割出願の要件に違反して出願されたものとして,出願日遡及の効果を生じないこととなる。」
○ そうでなければ、権利の濫用。
「仮に,控訴人の主張するとおり,本件特許発明の「弾性体」が環状のものを広く含むとした場合には,本件特許の特許請求の範囲には,原出願明細書及びその図面に開示されていない新たな事項が追加されていることになり,本件分割手続は特許法44条1項に規定する分割手続要件を充足せず,本件分割出願の出願日は,本件分割出願が実際に特許出願された平成11年10月6日となる。その場合,本件特許発明1及び3は,いずれも特許法29条1項1号の規定に違反して特許されたものということができ,本件特許に基づく控訴人の請求は権利の濫用に当たるものとして許されない。」
条文:特許法第44条第1項(分割)
○ クレームの広い文言も、原出願の事項の範囲内と解釈するのが合理的。
「本件特許出願は,平成11年7月6日に出願した特願平11-192395号(原出願)の一部を平成11年10月6日に新たな特許出願として分割出願したものである。分割出願が原出願のときにしたものとみなされるという特許法44条2項に規定された分割出願の効果に照らすと,分割出願の対象となる発明は,原出願について補正のできる範囲に限定されるべきであり,原出願の出願当初の明細書又は図面に開示されていなければならないというべきである。
したがって,分割出願の特許請求の範囲の文言は,原出願の出願当初の明細書又は図面に記載された事項の範囲外のものが含まれないことを前提として解釈するのが合理的であり,仮に,分割出願された発明が原出願の出願当初の明細書又は図面に含まれない事項を含む場合には,当該分割出願は分割出願の要件に違反して出願されたものとして,出願日遡及の効果を生じないこととなる。」
○ そうでなければ、権利の濫用。
「仮に,控訴人の主張するとおり,本件特許発明の「弾性体」が環状のものを広く含むとした場合には,本件特許の特許請求の範囲には,原出願明細書及びその図面に開示されていない新たな事項が追加されていることになり,本件分割手続は特許法44条1項に規定する分割手続要件を充足せず,本件分割出願の出願日は,本件分割出願が実際に特許出願された平成11年10月6日となる。その場合,本件特許発明1及び3は,いずれも特許法29条1項1号の規定に違反して特許されたものということができ,本件特許に基づく控訴人の請求は権利の濫用に当たるものとして許されない。」