知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

審判の手続きに特許法49条の適用はあるか

2007-04-28 21:13:58 | Weblog
事件番号 平成18(行ケ)10335
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成19年04月25日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 飯村敏明

『2 取消事由3(判断遺脱)について
(1) 原告らは,審決が,本件発明(請求項4)は特許を受けることができないから,その他の請求項については判断するまでもなく,本件出願は特許を受けることことができないとして,本件発明(請求項4)以外の請求項に係る発明の特許性について判断を遺脱した違法があると主張する。
しかし,特許法49条柱書きは,「審査官は,特許出願が次の各号のいずれかに該当するときは,その特許出願について拒絶すべき旨の査定をしなければならない。」と規定し,同条2号は,「その特許出願に係る発明」が同法29条の規定により「特許をすることができないものであるとき。」と規定していることに照らすならば,特許出願が複数の請求項に係る発明を対象とするものであっても,一つの請求項に係る発明につき同条の規定により特許を受けることができないときは,その特許出願全体として拒絶すべき旨の査定をしなければならないと解される(なお,原告らの主張も,この点を前提としている。)。
そして,拒絶査定不服審判における審理の対象は,拒絶査定がされた当該特許出願を特許すべきか否かという点にあり,拒絶査定不服審判においても審査においてした手続の効力を有すること(特許法158条)にかんがみると,拒絶査定不服審判においても,拒絶査定に関する同法49条の規定は当然に適用されるものと解すべきである(東京高等裁判所平成14年1月31日判決,平成12年(行ケ)第385号審決取消請求事件参照)。』

(筆者注)
◆H14. 3.28 東京高裁 平成12(行ケ)180 特許権 行政訴訟事件
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