知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

特許出願は特許法30条の刊行物での発表にあたるか

2006-05-20 21:54:22 | Weblog
事件番号 昭和56(行ケ)22
裁判年月日 昭和57年06月22日
裁判所名 東京高等裁判所
特許法30条

(注目判示)
『特許法第二九条第一項第三号にいう「刊行物」と同法第三〇条の「刊行物」を別異に解すべき特段の事由は存しないから、日本国内又は外国において頒布された特許公報が、特許法第二九条第一項第三号にいう「刊行物」に該当すれば、それは当然同法第三〇条にいう「刊行物」でもあると解さなければならない。しかして、日本国内又は外国において頒布された特許公報が第二九条の「刊行物」に該当することは明らかである』

『出願に係る発明が特許公報に掲載されて公表されることは、特許法第三〇条にいう、特許を受ける権利を有する者が、発明を「刊行物に発表」することには該当しない。けだし同条にいう「発表」とは、特許を受ける権利を有する者が自らの発表せんとする積極的な意思をもつて発表することであり、他人が発表することを容認するというような消極的な意思が存在するだけでは同条にいう「発表」とはいえないからである。』

『出願公告は、特許庁長官が特許公報に所定事項を掲載して行なうものであつて(特許法第五一条)、出願人(特許を受ける権利を有する者)の、出願に係る発明を発表しようという積極的な意思に基づいてなされるものではない。特許を受ける権利を有する者が特許出願をするのは、それによつて特許権を取得するか、他人の特許権取得を阻止する(審査請求をしない場合)ことにあり、特許公報による出願公告又は出願公開により、出願に係る発明を発表することを意図してなされるものではないというべきである。
 右の特許公報による発明の公表に関する理は、日本特許公報であつても、米国特許公報であつても異なるところはない。』

最新の画像もっと見る