「[もしも興味と時間がありましたら
甲斐バンドのプロモーション用の映画に出演なさいませんか?]
ビートニク代表取締役の佐藤剛は電話口でこんな風に囁いて来たのだ
[出ます、出ます、いえ、出さして下さい、出さして下さい]
間髪入れずに叫んでいた」と亀和田さん(笑)
「甲斐バンドに関しては、いまだに評論家とかライターというより
徹底して100%純粋ワンフの立場しかとれない僕であるから
たとえ、その他大勢のチョイ役であろうとも
出ないかと誘われれば否も応もあるはずがなかった
それともう一つ、松竹大船撮影所!
この固有名詞の語感が、なんとも言えず魅力的だった
いかにもそれっぽい雰囲気じゃないですか
この地名と共に、日本映画の伝統が
プーンと甘酸っぱい香りを漂わせながら匂って来るようではありませんか
[♪映画、映画♪松竹大船撮影所(ハートマーク)]」と記されていて
かなりの浮かれっぷり(失礼!)が窺えますね(笑)
亀和田さんが出演されたのは
「【ダイナマイトが150屯】が流れるライブハウスのシーン」だけど
「このライブハウスというのがタダモノではないのだ
いわば、僕らの記憶とイメージの中だけにある
[幻のライブハウス]という設定なのですね
観客は、暴走族風あり、竹の子風あり、果てはヒッピー、全共闘
星の流れに身を占って風の街娼ありといった具合に
戦後三十数年の風俗が全て集約されているといった
ま、見ようによっては実はクサーイ設定なのだが
クサイのも、ここまで徹底するといっそ気持ちが良いというものだ」
…って、一応「演出・撮影」は、井出情児さんで
「脚本演出助手」「演出助手」の方もおられるんだけど
最終的にコンテを描かれたのは甲斐さんですよね?(笑)
「フツーなら、撮影チームがやることなのに
ナンで俺が描かなきゃいけないんだ⁉」と話されていたような気が…(笑)
「スタジオには、そんなヒッピー風、街の女風エトセトラ…
の役者さん達が、どこからか集まって来て
なんとも言えず奇っ怪な雰囲気なのですね
悪いとは思いつつも笑いを抑えることが出来ず、ついクスクスしてしまう
ちなみに、僕と田家秀樹は
ヘルメットを被った60年代後半の全共闘風の出で立ちだった
昔とったタカラヅカというヤツで
田家秀樹のスタイルは、なかなかキマッていたな
僕の格好を見て、甲斐よしひろが
[あっ、まるで『気分はもう戦争』じゃない!]って言って喜んでた」そうだけど
これは、甲斐さんご贔屓の大友克洋さんの漫画に登場する
元左翼過激派の「めがね」さんのことかと思われます(笑)
ともあれ、そのライブハウスのシーンのト書きを見ると…
「今まで見えなかったライブハウスの中が、ほのかに浮き上がる
観客というよりは、止まった時間を背負った人々がいる
ここはまるでサメの胃袋の様に凡俗をのみ込んでいる
皮ジャンに長髪の男がいる
パンクがいる
テーブルにウイスキーを抱えて突っ伏している中年の男がいる。アロハシャツが赤い
ヘルメットを抱いた男女がいる。首のタオル
体は濡れ、しずくが落ちている。人夫がいる
白ワイシャツにコットンパンツのGIカットの外国人がいる
眼鏡をかけたスーツの男がカバンを抱えている
ヒッピーがいる
その全てに甲斐バンドの演奏が襲いかかる
だが人々は反応さえしない
【ダイナマイトが150屯】強力にコーダすると
甲斐バンドのステージが床から光を発して真昼の様に燃える」となってます
田家さんが、甲斐バンドのライブに行かれた際に
「立ち上がって頭上で手旗信号のような大きな身振りで手拍子する
決して若いとは言えないカップル」をお見かけになり
「さりげなく表情を確かめると、男は亀和田武
女は中島梓のようであった」と、おっしゃっていたんですが(笑)
奥さんが、亀和田さんの近くの席になった時は、アコギライブだったので
残念ながら、その「勇姿」を拝見することは出来ず…(笑)
でも、この撮影の時に【ダイナマイトが…】で
「反応しない」役は難しかったんじゃないかと奥さん(笑)
が、亀和田さんによれば…
「体験して初めて判ったのは、待ち時間の長いこと
ちょっと撮ったかと思うと、1時間の待機…これが延々と続くのです
ラストの、ライブハウスのセットが壊れるシーンを撮り終えたのは
なんと5時33分!完全に夜が明けていた
でも、おかげで撮影の合間合間に
甲斐よしひろと色々な話ができて嬉しかった
一番サイコーだったのはね
甲斐よしひろがステージでマイクスタンドを蹴り上げるでしょ
あのアクションを手とり足とり教えて貰ったこと
帰る時にはすっかりマスターしました」とのことでした(笑)
甲斐さんも【観覧車'82】用のシーンの撮影がおありで
メンバーの皆さんが帰られた後、明け方まで残っていらして
つい、その辺で用を足しておられたのを
「余貴美子さんに見られた」とおっしゃってましたよね?(笑)
その余さんが出演された【観覧車'82】の遊園地のシーンのト書きに
「よろける様に遊園地に迷い込む女
動かない観覧車
動かない回転木馬
女は別れた男の事を思っている。何のことはない自分の上を通り過ぎた何人目かの男
二人でここへ来ようと思った事もないし来た事もない
だが、今度の男とうまく行ったらこんな所へ来たかもしれない
[滑稽だわ]女は胸の中でつぶやいている
小さい時から、遊園地は自分よりちょっと美しく、
ちょっと素敵な少女達だけが楽しみ所だと思って来た
[滑稽だわ]もう一度女は胸の中でつぶやいてちょっと泣きそうになった」
…と、記されてるんだけど
PVでも、ここまで人物設定するんですね
その「気持ち」を作っておられる時に
甲斐さんの立ちションをご覧になったんじゃなければ良いんですが…(笑)
そうそう!この当時、余さんは「自由劇場」に所属されていたそうで
他のエキストラの皆さんも研究生の方々だったらしいんだけど
もしかしたら、小日向文世さんもいらっしゃったのかなあと…?
また、このPVをじっくり観てみたいです(笑)
余談ですが…この撮影の際、情児さんから
「ちょっと演技してみない?」と言われて
「もともと映画好きだし、断ったとはいえオファーもあったことだし
のめり込むタイプだから(笑)」と甲斐さん
「初めて演技らしい演技をした」とおっしゃるのが
どのシーンのことなのかよく判らなかったんだけど(失礼!)
「甲斐がテーブルのウイスキーをグラスに注ぎ一口飲んだ」
…というト書きを読んでいて
ふと、甲斐さんが「むせて」いらしたシーンが思い浮かび
「もしや⁉」と思った次第です(笑)
ガチのアクシデントかどうか
こちらも確認してみないと…(笑)
甲斐バンドのプロモーション用の映画に出演なさいませんか?]
ビートニク代表取締役の佐藤剛は電話口でこんな風に囁いて来たのだ
[出ます、出ます、いえ、出さして下さい、出さして下さい]
間髪入れずに叫んでいた」と亀和田さん(笑)
「甲斐バンドに関しては、いまだに評論家とかライターというより
徹底して100%純粋ワンフの立場しかとれない僕であるから
たとえ、その他大勢のチョイ役であろうとも
出ないかと誘われれば否も応もあるはずがなかった
それともう一つ、松竹大船撮影所!
この固有名詞の語感が、なんとも言えず魅力的だった
いかにもそれっぽい雰囲気じゃないですか
この地名と共に、日本映画の伝統が
プーンと甘酸っぱい香りを漂わせながら匂って来るようではありませんか
[♪映画、映画♪松竹大船撮影所(ハートマーク)]」と記されていて
かなりの浮かれっぷり(失礼!)が窺えますね(笑)
亀和田さんが出演されたのは
「【ダイナマイトが150屯】が流れるライブハウスのシーン」だけど
「このライブハウスというのがタダモノではないのだ
いわば、僕らの記憶とイメージの中だけにある
[幻のライブハウス]という設定なのですね
観客は、暴走族風あり、竹の子風あり、果てはヒッピー、全共闘
星の流れに身を占って風の街娼ありといった具合に
戦後三十数年の風俗が全て集約されているといった
ま、見ようによっては実はクサーイ設定なのだが
クサイのも、ここまで徹底するといっそ気持ちが良いというものだ」
…って、一応「演出・撮影」は、井出情児さんで
「脚本演出助手」「演出助手」の方もおられるんだけど
最終的にコンテを描かれたのは甲斐さんですよね?(笑)
「フツーなら、撮影チームがやることなのに
ナンで俺が描かなきゃいけないんだ⁉」と話されていたような気が…(笑)
「スタジオには、そんなヒッピー風、街の女風エトセトラ…
の役者さん達が、どこからか集まって来て
なんとも言えず奇っ怪な雰囲気なのですね
悪いとは思いつつも笑いを抑えることが出来ず、ついクスクスしてしまう
ちなみに、僕と田家秀樹は
ヘルメットを被った60年代後半の全共闘風の出で立ちだった
昔とったタカラヅカというヤツで
田家秀樹のスタイルは、なかなかキマッていたな
僕の格好を見て、甲斐よしひろが
[あっ、まるで『気分はもう戦争』じゃない!]って言って喜んでた」そうだけど
これは、甲斐さんご贔屓の大友克洋さんの漫画に登場する
元左翼過激派の「めがね」さんのことかと思われます(笑)
ともあれ、そのライブハウスのシーンのト書きを見ると…
「今まで見えなかったライブハウスの中が、ほのかに浮き上がる
観客というよりは、止まった時間を背負った人々がいる
ここはまるでサメの胃袋の様に凡俗をのみ込んでいる
皮ジャンに長髪の男がいる
パンクがいる
テーブルにウイスキーを抱えて突っ伏している中年の男がいる。アロハシャツが赤い
ヘルメットを抱いた男女がいる。首のタオル
体は濡れ、しずくが落ちている。人夫がいる
白ワイシャツにコットンパンツのGIカットの外国人がいる
眼鏡をかけたスーツの男がカバンを抱えている
ヒッピーがいる
その全てに甲斐バンドの演奏が襲いかかる
だが人々は反応さえしない
【ダイナマイトが150屯】強力にコーダすると
甲斐バンドのステージが床から光を発して真昼の様に燃える」となってます
田家さんが、甲斐バンドのライブに行かれた際に
「立ち上がって頭上で手旗信号のような大きな身振りで手拍子する
決して若いとは言えないカップル」をお見かけになり
「さりげなく表情を確かめると、男は亀和田武
女は中島梓のようであった」と、おっしゃっていたんですが(笑)
奥さんが、亀和田さんの近くの席になった時は、アコギライブだったので
残念ながら、その「勇姿」を拝見することは出来ず…(笑)
でも、この撮影の時に【ダイナマイトが…】で
「反応しない」役は難しかったんじゃないかと奥さん(笑)
が、亀和田さんによれば…
「体験して初めて判ったのは、待ち時間の長いこと
ちょっと撮ったかと思うと、1時間の待機…これが延々と続くのです
ラストの、ライブハウスのセットが壊れるシーンを撮り終えたのは
なんと5時33分!完全に夜が明けていた
でも、おかげで撮影の合間合間に
甲斐よしひろと色々な話ができて嬉しかった
一番サイコーだったのはね
甲斐よしひろがステージでマイクスタンドを蹴り上げるでしょ
あのアクションを手とり足とり教えて貰ったこと
帰る時にはすっかりマスターしました」とのことでした(笑)
甲斐さんも【観覧車'82】用のシーンの撮影がおありで
メンバーの皆さんが帰られた後、明け方まで残っていらして
つい、その辺で用を足しておられたのを
「余貴美子さんに見られた」とおっしゃってましたよね?(笑)
その余さんが出演された【観覧車'82】の遊園地のシーンのト書きに
「よろける様に遊園地に迷い込む女
動かない観覧車
動かない回転木馬
女は別れた男の事を思っている。何のことはない自分の上を通り過ぎた何人目かの男
二人でここへ来ようと思った事もないし来た事もない
だが、今度の男とうまく行ったらこんな所へ来たかもしれない
[滑稽だわ]女は胸の中でつぶやいている
小さい時から、遊園地は自分よりちょっと美しく、
ちょっと素敵な少女達だけが楽しみ所だと思って来た
[滑稽だわ]もう一度女は胸の中でつぶやいてちょっと泣きそうになった」
…と、記されてるんだけど
PVでも、ここまで人物設定するんですね
その「気持ち」を作っておられる時に
甲斐さんの立ちションをご覧になったんじゃなければ良いんですが…(笑)
そうそう!この当時、余さんは「自由劇場」に所属されていたそうで
他のエキストラの皆さんも研究生の方々だったらしいんだけど
もしかしたら、小日向文世さんもいらっしゃったのかなあと…?
また、このPVをじっくり観てみたいです(笑)
余談ですが…この撮影の際、情児さんから
「ちょっと演技してみない?」と言われて
「もともと映画好きだし、断ったとはいえオファーもあったことだし
のめり込むタイプだから(笑)」と甲斐さん
「初めて演技らしい演技をした」とおっしゃるのが
どのシーンのことなのかよく判らなかったんだけど(失礼!)
「甲斐がテーブルのウイスキーをグラスに注ぎ一口飲んだ」
…というト書きを読んでいて
ふと、甲斐さんが「むせて」いらしたシーンが思い浮かび
「もしや⁉」と思った次第です(笑)
ガチのアクシデントかどうか
こちらも確認してみないと…(笑)