5月18日
薪能@東北芸術工科大学
そんなはずはないのに, なんだか懐かしいと感じた.
黒川で蝋燭能を観たときにもあったその感じは, 子どものころ持っていた鬼への恐怖, あるいはこちらとあちらとを繋ぐものへの祈り, 畏敬の念.
水に囲まれた能舞台で演じられる「安達原」を観ながら, ここはどこだっけ, と, まさに夢から覚めるように我に返る瞬間があった.
そんなに数は観たことがないけれど, 能を観るときの自分の場所(立ち位置)というのは本当に不思議.
役者に自分を置き換えることは決してないけれど, とても近いところでその光景を見ている.
薪を取りに行くという老婆が, 絶対に寝屋を覗かないようにと振り返って言うシーンなんて, 野外だというのに観客を含めた空間全体がしんと静まり返った.
きっと, みんな近くで老婆の言葉を聴いたのだろう.
見えないものを見せる術.
すごい世界だよなぁ.
(ド)