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2004年から2018年まで活動した洗足学園音楽大学・延原ゼミの活動の様子を写真を交えて紹介しています。

目指すもの

2008-06-25 06:25:00 | 活動報告
クラシックの編曲では、如何に上手に音を移すかということが
編曲のポイントになってきますが、
ポップスの編曲では、そのメロディやハーモニーを使って
如何に室内楽曲として成立させるかということが重要になります。
原曲のイメージをそれらしく何となく音にするのではなく、
その楽器の表現や書法を用いて別の曲に作り変えるのです。
この辺りが一般的になかなか理解されずらいところですが、
編曲者の個性や独創的な表現を芸術的に表出し、
演奏者の個性や独創的な表現を芸術的に
誘発するものでなければならないと言えます。
つまり、コードを型にはめたビートで鳴らす程度の譜面では、
編曲者や演奏者に個性や独創性の必要はなくなってしまいます。
もしそうであれば、コンピューターの打ち込みで充分であるし、
既成のオリジナルのほうがいいに決まっています。
音楽のジャンルを問わず芸術性を盛り込んだ表現。
なかなか理解している音楽家も聴衆も
まだまだ少ないのではないでしょうか。


私達は音楽大学において音楽を学んでいます。
もし料理大学であれば、そこで料理を学ぶわけですが、
そこにいる人は誰が作っても同じ味がする
ファーストフードを作ろうとは思わないでしょう。
もし仮にハンバーガーを作ったとしても、
自分独自の手間をかけた他にない旨味を
出そうとするのに違いありません。


今、そのことを理解しがんばっている編曲者、
それがこの写真の浅沼君です。
彼は音楽教育専攻ですが、一般的な音楽教育とは
既成の音楽をより簡単にわかりやすく
共感させることかもしれませんが、
芸術とは自分の切り口で捉え直すことであり、
その意味では対局のことなのかもしれません。
しかし、彼は編曲をとおして、
音楽の捉え方をより拡げているのだと思います。


浅沼君が今手掛けている曲は「You raise me up」。
タイムリミットが迫っている中、がんばっています。
完成すれば何度も再演されるおもしろい作品になりそうです。


今日は斎藤ホテルのプロフィール用写真を撮影する予定です。
生憎の曇りです。うまく撮れるでしょうか