虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

笑の大学 (2004/日)

2004年11月08日 | 映画感想わ行
監督: 星護
原作・脚本: 三谷幸喜
出演: 役所広司 (検閲官・向坂) 稲垣吾郎(作家・椿)
 昭和15年。中国戦線は拡大し、庶民の娯楽も取締りの対象となっていたこの時代、軽演劇も脚本段階で厳しい検閲を受けていた頃、警視庁では検閲官・向坂睦夫が“笑の大学”の座付作家・椿一の台本に無茶な注文をつけていた…

 これも見ようかどうしようか迷ったんですが、結局朝の9時から11時過ぎまでの間に見られたのはこれだけでしたし、見てきました。
 結論から言っちゃうと、作品としての完成度はやっぱ舞台が上じゃないかなあ、と思いました。と言っても、私はナマの舞台でなくてテレビで深夜中継されたのしか見てないんですけどね~ そのときの衝撃はけっこう大きかったんです。それが三谷幸喜初体験で以後注目していろいろ見ましたが、当たりもあるけどはずれもありました。
 今でも座薬とか、カラスとか内容けっこう覚えています。検閲官・西村雅彦に椿・近藤芳正だったと思います。すごく面白くて、幕切れ後が切なくなりました。

 メディアが変わって、かなり変わったものになっていました。
 当たり前ながら役者が変われば、人物のイメージも変わるんだなあ、と改めて思わされました。
 私は椿のイメージが舞台で固定されちゃってるので、稲垣吾郎は良くやってますがどうしても点が辛くなってしまいます。近藤さんみたいなああいう丸っこいムードの丸い眼鏡が漫画風に似合う椿が良かったなあ…なんて。
 役所広司はさすがですが、ちょっとオーバーアクション気味に見えてしまう。それに役所広司の重量感は、プラスかマイナスか微妙なとこじゃないかなあ。2人を取り巻く密室の感覚はすごく感じたけど、スピードと軽みがもうちょっと欲しかったような… 高橋昌也さんがとても雰囲気だしてらしたのでほかにもつい欲張りたくなっちゃう。
 7日間の物語なんだけど、時間の流れとか、時代が急展開していく様を、「映画だからこそ」の部分で見せてくれて、そこは良かったんですけど。やっぱり記憶の中で昔の面白さが膨らんでいって、映画の邪魔してるのかもしれません。終わった後に残るものは舞台版のほうが重みがあったように思う。
 あ、イチャモンつけちゃったけど、よく笑ったし、最後はじんわり涙の素敵な映画でした。